phase locked loopの略。無線通信の受信システムにおいて、受信帯域幅の中心周波数と受信電波の周波数とのずれを補正するため、ずれの大きさだけ局部発振周波数を自動的に変化させるようにした周波数制御回路をいう。到来する電波の周波数は、割り当てられた周波数との間に偏差をもっている。この偏差は時々刻々、微小な変動をしているのが常であり、受信機の側においても局部発振器の発振周波数が温度の変化などによっていくらか変動をしていたりする。このような電波を安定に受信するには、局部発振器の周波数を、受信周波数と中間周波数との和になるように、絶えず調節しなくてはならない。この調節を自動的に行わせる回路がPLLで、中間周波トランスの帯域幅の中心周波数と中心を同じくする周波数弁別器を設け、受信電波の周波数変動量を直流出力電圧の変化量として取り出せるようにする。この電圧を、VCO(voltage controlled oscillatorの略で、電圧制御発振器のこと)を併用して発振周波数を可変できるようにした局部発振器に加えて周波数を変化させ、周波数変動を相殺するようにする。このようにすると、占有周波数帯幅の非常に狭い電波を受信するとき、受信機の帯域幅をこれに適合する幅に狭めることができて雑音発生を抑えることができるから、受信感度を驚異的に向上させることができる。また衛星通信のように高い周波数を用いる通信システムの受信機では、局部発振器の発振周波数も相対的に高く、発振周波数変動の絶対値も大きいから、PLL回路による局部発振器の制御がぜひとも必要である。VCOの発振周波数の変化は可変容量ダイオード(バリキャップ)を用いて行っており、電子チューナーと同様の手法がとられている。
[石島 巖]
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