道路運送車両法に基づく自動車の検査の通称である。公道上で使用される自動車は,安全で公害を発生しないものでなければならない。このため新車,車検切れの中古車ともに新たに使用しようとする場合は,新規検査を受け自動車検査証の発行を受けなければならない。検査証には,登録番号(軽自動車および2輪の小型自動車では車両番号),車台番号,使用者・所有者,主要諸元,次回の検査(継続検査)の期限などが記載される。検査の間隔は,自家用乗用車,軽自動車が2年(ただし軽乗用車を含む自家用乗用車の新車は初回のみ3年),バス,タクシー,車齢11年をこえる自家用乗用車などが1年である。検査は陸運事務所(軽自動車は軽自動車検査協会)で実施されるが,データ伝送システムが導入されているため,継続検査は全国どこでも受けられ,また,整備設備,整備技術,検査責任者および設備の管理体制について一定の基準に適合し,陸運局長の指定を受けた整備工場でも受けられる。検査は安全の確保,公害の防止に関する各機能について行われ,ブレーキ能力,ホイールアライメント,前照灯,騒音,排出ガス,速度計,最大安定傾斜角度は計器を用いて検査され,多数の受検車を能率的に検査するため,誘導,測定,判定,記録が自動化されている。検査はその自動車の保安基準への適合状態の確認行為であり,検査日以降使用者が保安基準に適合するよう,使用状態に見合った整備を実施することを前提として,検査の間隔が定められている。したがって期限前であっても,衰損,磨滅,劣化などにより保安基準に適合しなくなった場合の使用は禁止されている。検査には新規検査,継続検査のほか,臨時検査,構造等変更検査,予備検査などがある。
1995年より法改正により車検が簡素化された。(1)6ヵ月点検は義務ではなくなり,(2)12ヵ月点検,24ヵ月点検が簡素化された,(3)車検前の整備を義務づけた〈前整備・後検査〉原則の廃止,(4)車齢11年超の自家用乗用車の車検有効期間を1年から2年にする,がその内容。(3)によってユーザーが自分で車検場に持ち込むユーザー車検への道が開かれた。
実施機関と方法に差はあるが,自動車交通の発達している大部分の国では車検が強制されている。自家用乗用車の継続検査の間隔はスウェーデン,イギリス,ベルギー,アメリカの一部で1年,ドイツ,オーストリア,ノルウェーで2年,スイスで3年である。
執筆者:景山 久
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自動車の構造、装置、性能などの検査の通称。自動車の使用者は、道路運送車両法(昭和26年法律185号)に基づき、定期的に検査を受けることが義務づけられている。1994年(平成6)6月、道路運送車両法の一部を改正する法律が成立、1995年7月から施行され、車検制度が簡素化された。おもな改正点は、24か月点検を車検の後でも認める、12か月・24か月点検の項目数を半減する、自家用乗用車の6か月点検を廃止する、11年を越えた自家用乗用車の車検を1年ごとから2年ごとに延長する、など。
[編集部]
…保安基準に関しては自動車の構造,装置,定員,最大積載量等に関して詳細な技術基準が運輸省令で定められており,それに適合しない車両は運行の用に供することが禁止されている。整備に関しては自動車の運行者,使用者に仕業点検,定期点検整備が義務づけられ,車両の検査(いわゆる車検)に関しては,新規検査,継続検査,臨時検査等が定められ,新規検査に合格した車両については自動車検査証が交付される。自動車検査証の有効期間は車両の種類によって異なる。…
※「車検」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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