道路やその他の社会資本の充実を目的として1971年(昭和46)に自動車重量税法により創設された国税。
課税物件は、道路運送車両法の規定により、新規検査、継続検査、臨時検査、分解整備検査もしくは構造等変更検査を受け、または自動車予備検査証を提出して自動車検査証の交付または返付を受ける自動車、および使用の届出をして車両番号の指定を受ける軽自動車である。
2009年(平成21)現在において、自動車重量税の課税標準は検査自動車および届出軽自動車の数量であり、その税率は自動車の区分に応じ1両につきいくらという金額で定められる。例をあげると、自動車検査証の有効期間が3年と定められた検査自動車のうち、乗用自動車は車両重量が0.5トン以下のものは7500円、車両重量が0.5トンを超えるものについては車両重量が0.5トンまたはその端数ごとに7500円、軽自動車の場合には7500円である。本則に規定された税率は、自家用車で0.5トン当り2500円であるが、自動車重量税にも暫定税率が適用されており、1974年(昭和49)には同5000円、1976年には同6300円に、さらに2006年(平成18)から同7500円に引き上げられた。暫定税率廃止の方針は打ち出されているが、まだ実現していない。納税義務者は、自動車検査証の交付等を受ける者および車両番号の指定を受ける者であり、当該検査自動車および届出自動車につき、自動車重量税を納める義務がある。
自動車重量税は、その税収のうち3分の2は国の一般財源とされるが、残りの3分の1は自動車重量譲与税法により、道路法に規定する道路台帳に記載されている市町村道で各市町村が管理するものの延長および面積に案分して、市町村の道路整備財源として譲与されることになっている。自動車重量税は法律上は一般財源であるが、当初から運用上特定財源とする、とされた。2009年度予算においては、自動車重量税の税収額は6460億円で国税歳入総額46兆1030億円の1.4%を占める。
[林 正寿]
1971年の税制改正において,自動車の走行が多くの社会的費用をもたらしていること,道路その他の社会資本の充実の要請が強いことを考慮して,広く自動車の使用者に負担を求めるために同年創設された国税。車検または届出により自動車が道路を走行しうる権利を獲得することに着目して課税される,一種の権利創設税である(自動車重量税法)。課税物件は,道路運送車両法の規定に基づき,自動車検査証の交付等を受ける検査自動車および使用の届出をして車両番号の指定を受ける届出軽自動車である。納税義務者は,自動車検査証の交付等または車両番号の指定を受ける者,すなわち自動車の使用者である。税率は,自動車の種類,自動車検査証の有効期間,車両重量等に応じて定められており,たとえば自家用乗用自動車で自動車検査証の有効期間が2年のものの場合は,車両重量0.5tごとに1万2600円とされている。納付は,原則として自動車検査証の交付等または車両番号の指定を受けるときまでに税相当額の自動車重量税印紙を自動車重量税納付書にはりつけて運輸大臣等に提出することにより行うこととされている。自動車重量税の収入額の3/4は国の一般財源であるが,残る1/4は自動車重量譲与税法に基づき,道路特定財源として市町村に譲与することとされている。
執筆者:浜本 英輔
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…自動車関係税は,(1)直接的に自動車の取得や保有に対して課される税と,(2)自動車の利用にあたって不可欠な燃料に課される税とに大きく区分できる。(1)としては,国税の自動車重量税,都道府県税の自動車税,自動車取得税,市町村税の軽自動車税がある。自動車重量税は道路その他の社会資本の充実の要請を考慮して1971年に創設され,自動車や軽自動車の重量区分に応じた税額を自動車の使用者が納税義務者として払う税である。…
… 道路整備事業の財源としては国費,地方費,財政投融資資金等がある。国費のうち純粋の一般財源は1%に満たず,法定の特定財源である揮発油税と行政取決めによってその6割が国の準道路財源とされている自動車重量税が,そのほとんど全額を賄っている。地方費の約45%は特定財源で,国税として徴収され地方公共団体に譲与される地方道路譲与税,石油ガス譲与税,自動車重量譲与税と,地方税である軽油引取税,自動車取得税からなっている。…
※「自動車重量税」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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