日経平均株価(225種)と並ぶ日本の代表的な株価指数で、TOPIX(トピックス)とも呼ばれる。東京証券取引所の旧第1部に上場していた約2170銘柄の時価総額を、1968年1月4日の時価総額を100として指数化したもの。日銀が買い入れ対象とする上場投資信託(ETF)などの投資商品の指標としても利用されている。終値の史上最高値は89年12月に付けた2884・80。
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東京証券取引所(東証)が算出・公表する日本の代表的な株価指数。英語名をもとに「TOPIX(トピックス)」と略称される。
[高橋 元 2023年1月19日]
東証は市場の株価動向を示す公式な指標として、1950年(昭和25)から「ダウ式平均株価」(現在の日経平均株価)を使用していた。しかし、ダウ式平均株価が内包するさまざまな問題が顕在化し、それらを解決する目的から、海外の諸例を参考にして、東証第一部市場上場の全銘柄を対象とする時価総額ウエイト方式の株価指数を採用することとなった。こうして誕生したのがTOPIXである。1969年7月1日から新たに公表され、1968年1月4日を100として現在までの時価総額の増減が計算されている(遡及(そきゅう)発表は第二次世界大戦後に東証が再開した1949年5月16日まで)。さらに、より精密な市況性格分析のニーズに応じられるように、「全銘柄総合指数」(一般にTOPIXといえばこれをさす)に加え、大型、中型、小型という企業規模別、および業種別などについて、それぞれの株価指数を算出・公表してきた。
なお、TOPIXは、1988年9月から株価指数先物取引、1989年(平成1)10月から株価指数オプション取引の対象ともなっている。
[高橋 元 2023年1月19日]
TOPIXは時価総額を指数化したものである。つまり、株価に上場株式数を加味することにより、一部の値嵩株(ねがさかぶ)の値動きから大きな影響を受ける危険性を排除している。その計算方法は以下のように表される。
TOPIX=(当日の時価総額÷基準時価総額)×100
基準時価総額の修正は、新規上場、上場廃止、増資権利落ち、市場間の指定替え(従来の、たとえば市場第一部⇔市場第二部)、公募・第三者割当による株式増加等があったつど行われる。こうした基準時価総額の修正によって、株価の騰落が純粋に指数に反映されるようにくふうされている。基準時価総額の修正は、以下の要領で行われる。まず、
修正前日の時価総額÷旧(修正前日の)基準時価総額
=[修正前日の時価総額+払込金額]÷新(修正後の)基準時価総額
のようにバランスすることが必要であるから、
新基準時価総額=旧基準時価総額×{[修正前日の時価総額+払込金額]÷修正前日の時価総額}
のように求められる。これで当日の時価総額を除せば、TOPIXが得られる仕組みである。
[高橋 元 2023年1月19日]
TOPIXは、ダウ式平均株価の特殊性を解決するために開発された指標であり、市場第一部上場全銘柄を計算対象とし、時価総額加重方式を採用したことで、ダウ式平均株価が内包する問題点のかなりの部分について解決が図られた。しかし同時に、TOPIXには独自に新たな問題も発生している。すなわち、市場第一部上場全銘柄という広範な対象銘柄としたため、市場包容力には優れているものの、短期的な動きが緩慢になりがちで、指標性の見地から重視される変動幅が日経平均に比べてフラットになりやすい。つまり、この面では、225銘柄に限定された日経平均の指標性を補うはずの存在が、対象を広げることでかえって指標性を損なうというパラドックス(逆説)を演じているのである。また、ポイント表示であるために、円・銭表示の日経平均に比べると実在感をとらえにくい。しかも、歴史的な利用実績に乏しく、1989年末の史上最高値(終値ベース)が2881.37ポイントといってもあまりピンとこない。このため、市況性格の把握などの分析作業に際しては、規模別、業種別株価指数等との併用が有効となるのである。
[高橋 元 2023年1月19日]
TOPIXは、計算開始以来、東証第一部市場に上場する全銘柄を対象に算出されてきた。現在、多くの機関投資家が資産運用成績の評価基準(ベンチマーク)としてTOPIXを用いているが、算出対象が上場銘柄すべてであり、時価総額加重方式であることから、急成長していてもまだ小規模な水準にとどまるような企業の株価変動が反映されにくいという問題があった。その半面、銀行株など時価総額の大きい銘柄の影響を受けやすいという問題も指摘されてきた。
2022年(令和4)4月に東証では市場の再編が実施され、それまでの第一部市場は、新たにプライム市場とスタンダード市場とに分割された。これに対して、TOPIXの構成銘柄は、当面は従来の対象(旧東証第一部上場全銘柄)を維持することとなった。ただし、上場株式から大株主所有株や政策保有株を除いた流通株式(いわゆる浮動株)の時価総額100億円以上をTOPIXの採用基準としたため(これはプライム市場の上場基準と整合する)、100億円未満の銘柄については指数の構成比率を段階的に引き下げるという措置がとられた。こうした措置は、株価指数の連続性を確保するうえでは許容される対応である。しかし、株価指数のもう一つの要件である指標性を確保する必要もあるため、この過程で採用基準の時価総額水準が満たされない銘柄については、2025年1月末でTOPIXの計算対象から外されることになっている。
なお、市場再編に伴い、東証は新しい市場区分に応じたプライム市場指数、スタンダード市場指数、グロース市場指数を新たに設けた。また、企業規模別指数についても、東証プライム市場の上場銘柄に算出対象が変更された。
[高橋 元 2023年1月19日]
『東京証券取引所情報サービス部著『学んでみよう!株価指数 TOPIX Q&A HANDBOOK』(2007・東京証券取引所)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
(熊井泰明 証券アナリスト / 2007年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…個々の株価には権利落ちがあるので,それを修正して連続性を保つようにくふうされている。日本の場合,平均方式の代表は,東証225種日経ダウ平均株価(日経ダウといえば通常これをさす)であり,総合計方式の代表は東証株価指数である。 銘柄数n,基準時点の株価P0,比較時点の株価P1,売買高や上場株式数などのウェイト要因を基準時点Q0,比較時点Q1とすると各算式は次のように表される。…
※「東証株価指数」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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