ダウ式平均株価(読み)だうしきへいきんかぶか

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ダウ式平均株価」の意味・わかりやすい解説

ダウ式平均株価
だうしきへいきんかぶか

株価指標の一つ。単純平均株価には株式に特有な株価変動、たとえば増資新株の権利落ちなどによる株価の急落が現れるなどの欠点がある。これらの欠点を修正し、価格の長期的な連続性を表示するために考案されたものがダウ式平均株価である。アメリカの『ウォール・ストリート・ジャーナル』を発行するダウ・ジョーンズ社が、工業株30種平均をはじめ、数種の株価平均を算出するのに用いているダウ式修正法の算式によっていることからこの名がある。単純平均株価が株価合計を銘柄数で割って求められるのに対し、ダウ式平均株価Xは、株価合計を別途に計算された恒常除数で割って求めるところに特色がある。その算式は

恒常除数は、次の算式から求められる。


 額面発行による増資の多い日本の場合、ダウ式平均株価は単純平均株価より高くなる傾向があり、時の経過とともに現実の株価水準と遊離していく。そのため、東京証券取引所では、初め1949年(昭和24)5月16日を基準とする旧ダウ(旧東証修正平均株価指数)を発表していたが、1959年1月5日を基準とする新ダウ式平均株価を並行して発表することになった。その後1968年1月4日を基準とする東証株価指数を発表するようになって、1971年に新・旧ダウとも廃止となった。

 旧ダウについては当時の日本短波放送(NSB。現日経ラジオ社)が受け継いで、NSB225種修正平均の呼び名で発表、1975年からは日本経済新聞社日経ダウ平均株価として発表、1985年からは日経平均株価(日経平均)と改称している。

[桶田 篤]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ダウ式平均株価」の意味・わかりやすい解説

ダウ式平均株価
ダウしきへいきんかぶか
Dow-Jones stock price average

ニューヨークのダウ・ジョーンズ社が毎日発表しているニューヨーク株式市場の平均株価。工業株 30種,鉄道株 20種,公共株 15種およびこれらの総合 65種の4種類がある。その特徴は,増資新株の権利落ちや,その他の人為的要因による株価変動を修正し,平均株価に株価動向の指標としての長期的連続性をもたせることにある。この創案者は,アメリカの『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙の発行所であるダウ・ジョーンズ社 (経済統計学者 Ch.H.ダウ創立) であり,その社名を冠してこのように呼ばれている。単純平均株価が株価合計を銘柄数で割って求めるのに対し,ダウ平均株価の計算方法は,権利落ちの都度新恒常除数を算出し,新株価平均を割って求められる。採用銘柄が少い,出来高または発行株数によるウエイトづけをしていない点で市場全体の動きを的確に反映していないという問題はあるが,統計の歴史が最も古く,世界的大企業を対象としていることから広く利用されている。日本でこの方式が応用されたのは第2次世界大戦後で,東京証券取引所では 1952年1月から上場株中の 225種につき,取引所再開日である 49年5月 16日の単純計算 176円 21銭を基準とした平均株価を発表した。 71年7月末に日本短波放送がこれを引継ぎ,さらに 75年5月1日からは日本経済新聞社が日々発表している (日経平均株価) 。

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