翻訳|oryx
雄,雌とも長いまっすぐな,またはサーベル状の角をもった偶蹄目ウシ科オリックス属に属する哺乳類の総称。アラビアとアフリカの砂漠やサバンナに分布。肩高85~140cm,体長160~235cm,角50~127cm,体重55~255kg。ゲムズボックOryx gazella(英名gemsbok/beisa),アラビアオリックスO.leucoryx(英名Arabian oryx),シロオリックスO.dammah(英名scimitar oryx)の3種がある。ゲムズボックはベイサオリックスともいい,東および南アフリカのサバンナ~半砂漠地帯にすみ,肩高115~140cm,体重180kg以上。体の大部分は赤褐色~灰白色,顔,腹,四肢などは白く顕著な黒斑がある。角はまっすぐで耳介がまるい。ふつう1頭の雄と数頭の雌およびその子で6頭くらいの小群をなすが,ときに30頭くらいの群れも見かける。早朝と夕方および月夜に出歩き,草や木の芽と葉を食べるほか,水分に富んだ球根を前脚で掘り出して食べる。妊娠期間260~300日,1腹1子,まれに2子,雌は出産に際して,2~3週間群れから離れる。子は3~4ヵ月で離乳,1年半~2年で成熟する。飼育下では18~22年生きる。天敵はライオン,ヒョウ,リカオンなど。アラビアの砂漠にすむアラビアオリックスは小型で肩高85~90cm,体重35~70kg。体は白く,四肢が黒い。妊娠期間は255~260日,雌は出産時に2~3時間群れから離れるにすぎない。野生のものは絶滅,保護下に約100頭が残生する。サハラ砂漠の南縁にすむシロオリックスは,肩高110~125cm,体重180~200kg。角はサーベル状に曲がり,首が赤褐色,胴と四肢は白色で黒斑を欠く。妊娠期間242~256日,しばしば30~200頭の大群をなし,季節に応じて長距離の移動をする。乾燥に強く,数週間水を飲まずに過ごすことができる。100年ほど前まではセネガルからナイル川流域まで広く分布していたが,近年分布域が狭くなり絶滅の恐れがでてきた。
執筆者:今泉 吉典
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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