改訂新版 世界大百科事典 「カテーナ」の意味・わかりやすい解説
カテーナ
catena
鎖を意味するラテン語に由来する土壌地理学の用語。母材が同じ地帯であっても起伏(地形)や排水条件の違いによって,異なる土壌型が生成する。こうした一連の土壌群がカテーナと呼ばれる。その好例は丘頂から谷底にかけての地形断面に見られる。カテーナは,小気候,植生,動物相,土地利用,作物,集落立地などとも関連があるので,地域環境や景観の比較研究にとっては優れた複合対象であり,そのためカテーナは景観系列の意味にも使用されることがある。1973年に西ドイツのカテーナ社が創刊した同名の学術雑誌(編集局はブラウンシュワイク大学の自然地理学・地域生態学教室)は,土壌学,水文学,地形学などにわたる学際的な国際的雑誌であり,この名称は,関連科学や諸学派の思想,諸国民をつなぐ役割にふさわしいものとして選ばれた。
執筆者:西川 治
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報