ビーバー(英語表記)beaver

翻訳|beaver

デジタル大辞泉 「ビーバー」の意味・読み・例文・類語

ビーバー(Beaver)

米国アラスカ州中部の村。フェアバンクスの北約160キロメートル、ユーコン川沿いに位置する。20世紀初頭、日系アメリカ人1世フランク安田が、伝染病による危機に瀕していたポイントバロー先住民を引き連れて建設。金鉱採掘および毛皮取引の拠点として栄えた。

ビーバー(beaver)

齧歯げっし目ビーバー科の哺乳類。体長74センチ、尾長30センチくらい。目・耳は小さく、尾は上下に平たくてうろこで覆われ、後ろ足水かきをもつ。川や湖にすみ、かじった木や石でダムを築いて水をせき止め、できた池の中央に安全なすみかを作る。ヨーロッパ北アメリカに分布するが、良質の毛皮のために乱獲され、生息数は少ない。海狸うみだぬき・かいり

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精選版 日本国語大辞典 「ビーバー」の意味・読み・例文・類語

ビーバー

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] beaver ) ビーバー科ビーバー属の哺乳類。体長八〇~一三〇センチメートルの大形の齧歯類。足に水かきがあり、長さ三〇~五〇センチメートルの尾は扁平でほとんど毛がなく、うろこでおおわれる。泳ぎが巧みで、川に生息し、木をかじり倒して運び、水をせきとめダムをつくり、その中央に枝を積み重ねて巣をつくる。体毛は赤褐色ないし暗褐色。雄の肛門腺と包皮腺からの分泌物は海狸香といって香料にする。毛皮は優良。二種あり、ヨーロッパからシベリアにかけて分布するヨーロッパビーバーは乱獲で減少し、エルベ川ローヌ川などに残存。北アメリカには(アメリカ)ビーバーが分布する。ウミダヌキ。かいり。〔音引正解近代新用語辞典(1928)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「ビーバー」の意味・わかりやすい解説

ビーバー
beaver

カイリ(海狸)ともいう。齧歯(げつし)目ビーバー科の哺乳類。北アメリカに分布するアメリカビーバーCastor canadensisとヨーロッパに分布するヨーロッパビーバーC.fiberの2種に分けられるが,両者はしばしば同じ種とみなされるほど似ている。カピバラに次ぐ大きさをもつ水生の大型齧歯類で,水辺に生える木をかじり倒し,ダムをつくることと,きわめて良質の毛皮となることで名高い。長い剛毛と密生する柔らかな下毛の2層の毛をもつ。姿は一見リスに似るが,体がはるかに大きく,太く,耳と目が小さい。尾は扁平で,幅広く,うろこ状の皮膚におおわれている。四肢は短いが,しっかりとしていて太く,後足の指の間には水かきが発達する。体色はつやのある褐色ないし黄褐色。体長60~75cm,尾長30~40cm,体重20~30kg。

 両種とも,川や湖などの淡水域をすみ場所とする。あまり大きくない川の場合には,ふつう水辺近くに生えるヤナギやポプラなどの広葉樹をかじり倒して水中に運び込み,ダムを築いて池をつくる。直径8cm程度の木なら5分弱でかじり倒すことができる。巣はこうしてつくられた池の中に木や枝を積み重ねてつくられ,内部に巣室がしつらえられる。ビーバーは,雌雄のつがいとその子(当歳子と前年に生まれた子)からなる,多くて10頭前後の家族群で生活することから,これらの巣づくりの作業は共同で行われる。巣室の床は水面よりも20~30cm高い位置に設けられ,出入口は水中に開く。積み重ねられた木の樹皮は冬の間の食物ともなる。食物は他に木の葉,小枝,水生植物など。ダムはふつう20m程度であるが,大きなものでは700mという例も知られている。ダムはしばしば何世代にもわたって使用される。大きな川や湖にすむものはダムをつくらず,巣も岸にトンネルを掘ってそのなかにつくられる。

 1~2月に交尾が行われ,妊娠期間100~110日で,4~6月に1~9子,ふつう2~4子が生まれる。1.5~2年で性的に成熟し,寿命は15~21年。

 ビーバーはかつて北半球にもっとも広く分布する哺乳類の一つであったが,良質で高価に取引される毛皮のために近世以降激しく狩猟され,個体数,分布域とも激減した。しかし,最近では保護の効果が上がり,個体数が増加しつつある。
執筆者:

毛皮植民地時代のアメリカにおいて,ビーバーの毛皮取引はきわめて重要な経済活動であった。17世紀以来,イギリス,フランスの上流階級を中心にビーバーの毛皮を使った男用の山高帽が流行したが,その主たる供給源は北アメリカであった。19世紀中葉,絹の山高帽がビーバーの帽子にとってかわるまで,この動物を求める猟師や毛皮商人は開拓の先頭に立った。毛皮取引はインディアンと白人との間の交易の中心であったし,その利益を独占しようとするイギリスとフランスとの対立をもたらすことともなった。19世紀前半には年間10万~50万頭が捕獲され,ビーバーの数は著しく減少したが,20世紀に入ってから各州が保護につとめ,再び多く見られるようになった。
毛皮
執筆者:


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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ビーバー」の意味・わかりやすい解説

ビーバー
びーばー
beaver

哺乳(ほにゅう)綱齧歯(げっし)目ビーバー科ビーバー属に含まれる動物の総称。この属Castorの仲間は水中生活に適応し、ウミダヌキ、カイリ(海狸)ともよばれる。ドイツ、フランス、ノルウェー、ロシア連邦のバイカル湖などに分布するヨーロッパビーバーC. fiberと、アラスカ、カナダ、アメリカ合衆国北部に分布するカナダビーバーC. canadensisの2種がある。両種は形態、生態がきわめて似ており、同一種とみなす学者もいる。フィンランドにはカナダビーバーが移入され、馴化(じゅんか)している。体長74センチメートル、尾長21~30センチメートル。齧歯類としては大形で、太く頑丈な体をもつ。目と耳は小さく、尾は幅広く水平方向に扁平(へんぺい)で、鱗(うろこ)に覆われる。後足の指の間には水かきが発達する。体色は栗(くり)色、赤褐色、黒褐色など多様で、南方産の個体ほど明色の傾向がある。毛は密生し、柔らかい。

 低地の森林内の川や湖にすみ、おもに水中で生活する。地上を走るのは遅いが、泳ぎと潜水は巧みである。大きな川では川岸に巣穴を掘り、比較的小さい川では川の中に土、石、木を積んで頑丈な島を築き、ともに内側に木の皮などを敷いた巣室をつくる。どちらも出入口(普通二つ以上ある)は水面下にあけられ、外敵の侵入を防ぐ。天井と壁は防水性に優れ、天井には通気孔がある。さらにビーバーは、水位を一定に保つために、川近くの木をかじり倒して川床に立て、石、泥、藻などで固定し、枝などを積み重ねてダムを築く。ダムの長さは普通20~30メートル、ときには700メートルに及ぶ。かつて莫大(ばくだい)な数のビーバーが生息したアメリカ合衆国では、そのダムのおかげで多くの洪水を免れた。ビーバーの門歯は堅い木をかじるのに適しており、直径8~20センチメートルの木を短時間でかじり倒す。一つの巣穴にはつがいと性的に未成熟な子、または3世代からなる家族群ですむ。1~3月に水中で交尾し、約105日の妊娠期間ののち1~8子を産む。出生時の子は体毛を有し、門歯もみられる。雌親は地上では子を両前肢にのせて、後肢だけで歩いて運搬するといわれる。食物は樹皮、芽などである。冬には活動量が減少し、ダム内に蓄えた枝の樹皮を食べて過ごす。

 ビーバーはかつてはユーラシアと北アメリカの北部に広く分布したが、良質の毛皮を求めての乱獲によって、イギリスなど多くの地域では絶滅した。現在は各地で保護され、個体数は増加しつつある。

[今泉吉晴]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ビーバー」の意味・わかりやすい解説

ビーバー
Castor; beaver

齧歯目ビーバー科ビーバー属に属する動物の総称。アメリカビーバー C. canadensisとヨーロッパビーバー C. fiberの2種から成る。2種とも形態,生態がよく似ており,体長 75~95cm,尾長 30cm内外,耳は小さく体は太っている。尾は先が扁平で幅 15cmぐらいに広がり,皮膚は鱗状,後肢には蹼 (みずかき) がある。泳ぎがうまく,長時間潜水することもできる。河川にすむものは,倒した樹木と泥と石とでダムをつくる。ダム内に巣をつくるが,巣の入口は1つ以上あり,凍っても出入りに困らないよう水面下深いところにつくられている。上質の毛皮が得られるので乱獲され,急速にその数が減ったが,現在保護が行届いて少しずつふえつつある。アメリカビーバーは北アメリカ,カナダに,ヨーロッパビーバーはドイツ,フランス,ポーランドなどに分布している。

ビーバー
Biber, Heinrich Ignaz Franz von

[生]1644.8.12. ワルテンベルク
[没]1704.5.3. ザルツブルク
ボヘミア生れの作曲家,バイオリニスト。 1670年オルミュッツ司教,73年ザルツブルク大司教に仕え,84年楽長になった。 90年皇帝レオポルト1世から爵位を受けた。 17世紀ドイツ音楽圏最大のバイオリン奏者で,ポリフォニックな奏法とスコルダトゥーラ奏法を得意とした。マリアの秘跡を扱った 15曲の『ロザリオのソナタ』 (1675頃) ,標題的な『戦争』『夜警のセレナード』などのほか宗教曲がある。

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百科事典マイペディア 「ビーバー」の意味・わかりやすい解説

ビーバー

カイリ(海狸),ウミダヌキとも。齧歯(げっし)目ビーバー科の哺乳(ほにゅう)類で,アメリカビーバーとヨーロッパビーバーの2種がいる。体長80〜120cm,尾25〜50cmほど。体は赤みをおびた茶色で後肢にはみずかきがあり,尾は扁平で無毛。北米,ヨーロッパ西部〜北部に分布。川に家族群ですみ,木をかじり倒し,泥,石なども使いダムを作り,巣も水中に木を積みあげて作る。草食で樹皮,木の葉,草などを食べ,実,根も食べる。1腹1〜5子。毛皮は優良で,乱獲された結果,数が減った。包皮腺から海狸香(ビーバー香)がとれる。
→関連項目ムートン

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デジタル大辞泉プラス 「ビーバー」の解説

ビーバー〔菓子〕

①石川県金沢市に本社を置く北陸製菓の菓子。揚げあられ。1970年発売。名称は、発売年に開催された大阪万博のカナダ館で展示されていたビーバー人形の歯と、あられの形が似ていたことから。
②①のキャラクター。パッケージに描かれている動物。

ビーバー〔キャラクター〕

NHKの子供向けテレビ番組『ばくさんのかばん』(1980年放映開始)に登場するキャラクター。

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世界大百科事典(旧版)内のビーバーの言及

【毛皮】より

…南アメリカ産の野生獣には厳しい輸出規制がある。 ビーバーbeaverビーバーの毛皮。カナダ産が最高級品。…

【毛皮】より

…油汚れと汗は,消毒用エタノールに酢を少々入れ,水で2倍程度に薄めた液でふく。スワカララム,シール,ビーバーにはベンジンをしみこませた綿かガーゼでなでるようにする。いずれの場合も,最後に風通しのよい所で陰干しにする。…

※「ビーバー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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