翻訳|workshop
もともと〈仕事場〉や〈作業場〉を意味する言葉だが,アメリカでは一般に,専門的な技術やアイデアを試験的に実施しながら検討を行う研究会やセミナーを指す言葉としても使われていた。ところがアメリカの演劇の世界では,1960年代ごろから新しい形態の演劇を創造する母体としてのワークショップに大いに関心が持たれるようになり,そういったアメリカでの試みが注目をあびて,演劇の世界では広く世界的にこの呼名が使われるようになった。それは,固定した理論や方法論を持つ学校方式の修業の場とは異なり,新しい理念と技術を参加者全員で模索しながら流動的に訓練を重ねていくことを特徴としている。当初は劇団など上演グループの中で組織され,技術の研修とグループ独自の上演活動の追求を目的とした小規模な内輪の仕事場であったが,しだいにアメリカの〈オープン・シアター〉やポーランドのJ.グロトフスキの演劇実験室などが評判を呼び,劇団組織の枠を越えるものも増え,ワークショップによる上演がクローズアップされるケースも多くなった。そこでは,演者,演出者,また作者がいっしょに研修を重ねながら共同作業としての舞台づくりが行われるが,こうした実験の成果としての舞台はさまざまの意味で前衛的なものであり,作品と演出と演技ほかが有機的に働く生きた総体としての迫力を持ち,感銘を与えることが少なくなかった。ここからさらに,フランスの太陽劇団の《1789年》ほかの作品のように,ワークショップを通して作品が共作される〈集団創作〉への道も開かれていったわけで,そのようなことも含めてワークショップの意義はきわめて大であったということができるだろう。
執筆者:斎藤 偕子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
(山盛英司 朝日新聞記者 / 2007年)
(扇田昭彦 演劇評論家 / 2007年)
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…工房は,金属器のように制作に特別な技能を要する物品の発生と共に諸文明中に登場したと考えられる。
[西洋]
工房を,英語ではワークショップworkshop,ステューディオ(スタジオ)studio,フランス語ではアトリエatelier,ドイツ語ではウェルクシュタットWerkstatt,イタリア語ではボッテガbottegaと呼ぶ。都市の発達に伴って発展した中世の工房は,ギルド(同業組合)の統制下にあり,同一職種内部の相互扶助,規制,技術水準の保持に努めた。…
…工房は,金属器のように制作に特別な技能を要する物品の発生と共に諸文明中に登場したと考えられる。
[西洋]
工房を,英語ではワークショップworkshop,ステューディオ(スタジオ)studio,フランス語ではアトリエatelier,ドイツ語ではウェルクシュタットWerkstatt,イタリア語ではボッテガbottegaと呼ぶ。都市の発達に伴って発展した中世の工房は,ギルド(同業組合)の統制下にあり,同一職種内部の相互扶助,規制,技術水準の保持に努めた。…
※「ワークショップ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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