不均化(読み)フキンカ(英語表記)disproportionation

デジタル大辞泉 「不均化」の意味・読み・例文・類語

ふきん‐か〔‐クワ〕【不均化】

一種類の物質の2分子以上が、互いに酸化・還元などを行い、二種類以上の物質を生じる反応

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改訂新版 世界大百科事典 「不均化」の意味・わかりやすい解説

不均化 (ふきんか)
disproportionation

ある化合物置換基が同一種類の分子間で移行し,置換基をもたない化合物と置換基を二つもつ化合物を生ずる反応をいう。工業的に重要な不均化反応の二,三の例をあげれば次のとおりである。

 プロピレンからエチレンブチレン(2-ブテン)の生成

トルエンからベンゼンキシレンの生成。

安息香酸カリウムからベンゼンとテレフタル酸カリウムの生成。

モリブデン塩化物の不均化。

これらの反応の進行には触媒が必要であり,オレフィンの不均化にはレニウム,モリブデンなどの酸化物,芳香族の不均化には固体酸触媒などが用いられる。
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化学辞典 第2版 「不均化」の解説

不均化
フキンカ
disproportionation

1種類の物質が2分子以上反応して,2種類以上の別な物質にかわる反応をいう.2分子のトルエンから,ゼオライト触媒でベンゼンとキシレンを生じる反応は,タトレー法などとして知られている工業的に重要な例である.

安定な分子の不均化反応のほか,無機塩が金属イオン酸化還元を伴って不均化する例

2MoCl4 → MoCl3 + MoCl5

や,遊離基などの不安定物質が不均化する反応も知られている.

2C2H5 → C2H4 + C2H6

工業的な例としては,タトレー法のほかに第二ヘンケル法による安息香酸カリウムの不均化(テレフタル酸製造法),トリオレフィン法によるプロペンの不均化(メタセシス)などがある.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報