翻訳|rhenium
周期表第ⅦA族に属するマンガン族元素の一つ。1925年ノダックWalter Karl Friedrich Noddackとその妻Ida Eva Tacke N.により白金鉱中から発見され,ライン川のラテン名Rhenusにちなんで命名された。モリブデンの鉱石(輝水鉛鉱),ニオブの鉱石(コロンブ石),白金鉱,含銅片岩等の中に微量に存在する。鉱石として最も重要な輝水鉛鉱中のRe含有量は0.1~21g/t,精鉱中のRe濃度は0.01~0.02%である。おもな産出国はチリとカナダ。
銀白色の金属。空気中で安定。加熱すると1000℃以上ではじめて酸化される。粉末は黒色または暗灰色で,酸素中で少し加熱すると酸化されて酸化レニウム(Ⅶ) Re2O7を生ずる。湿った空気中では室温でも徐々に酸化されて過レニウム酸HReO4を生ずる。微粉末は発火性である。水素および窒素とは反応しない。リン,ヒ素,タングステン,硫黄,フッ素,塩素,臭素などと反応する。塩化ナトリウムNaClと混ぜ,加熱しながら塩素を通すとヘキサクロロレニウム(Ⅳ)酸カリウムK2[ReCl6]となる。この水溶液をアラビアゴムの存在で還元するとレニウムコロイドが得られる。フッ化水素酸および塩酸にはほとんど侵されない。硝酸には速やかに,硫酸にはゆっくり溶けてHReO4になる。過酸化水素水,臭素水,塩素水などにも溶ける。酸素の存在で水酸化アルカリと融解すると過レニウム酸アルカリになる。水銀とはアマルガムをつくる。化合物は酸化数ⅦおよびⅣのものが安定。六方晶系。モース硬度8。タングステンに次いで融点が高い。比重もタングステン,オスミウム,白金に次いで高く,電気抵抗もタングステンの数倍も高い。抗張力が強く,高温で焼結したレニウムは800℃以上で圧延,鍛造ができる。
レニウムは輝水鉛鉱MoS2の中には硫化レニウム(Ⅶ) Re2S7または硫化レニウム(Ⅳ) ReS2として含まれている。これを焼くと硫化レニウムも酸化されてRe2O7となる。このものは300℃以上で著しく気化するので,煙塵(えんじん)中のレニウムを水で抽出し,液に空気を通じながら塩化カリウムKClを加えると過レニウム酸カリウムKReO4が沈殿する。これを再結晶により精製し,水素で還元して金属とする。
触媒,高真空電子管材料,熱電対,接点超耐熱材料として注目されている。白金の硬化元素,耐熱合金などに用いられる。
執筆者:近藤 幸夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
Re.原子番号75の元素.電子配置[Xe]4f 145d56s2の周期表7族遷移金属元素.D.I. Mendeleev(メンデレーエフ)のdvi-マンガン(dvi,サンスクリット語の2→エカ元素).原子量186.207(1).天然に安定同位体 185Re(37.40(2)%)と β- 崩壊(半減期4.12×1011 y)核種 187Re(62.60(2)%)が存在する.質量数160から194までの放射性同位体核種が知られている.1925年,W.K.F. Noddack(ノダック)とI. Tacke-Noddack,O. Bergにより発見され,ライン川のラテン名Rhenusから命名された.1908年に,小川正孝(後に東北帝国大学総長)がW. Ramsay(ラムゼー)のもとで方トリウム石から分離し,原子番号43の元素と誤ってnipponiumと名づけたものは,じつは一周期下のレニウムであったことが後年判明した.
地殻中の存在度0.0005 ppm.レニウム資源は偏在しており,埋蔵量の50% がチリ,ついでアメリカ,カザフスタンである.レニウムには固有の鉱物はなく,主として高温で生成した銅,硫化鉱物,たとえば輝水鉛鉱中に濃縮している(1 t の輝水鉛鉱中に0.6~21 g).輝水鉛鉱ばい焼の煙灰中のRe2O7を処理してテトラオキソレニウム(Ⅶ)酸アンモニウムNH4ReO2として得,これを水素で還元して金属を得る.銀白色の六方最密構造の金属.粉末は黒色または暗灰色.融点3180 ℃,沸点5596 ℃.密度21.02 g cm-3.第一イオン化エネルギー7.76 eV.1.70 K 以下で超伝導.酸化数-1~7で範囲が広い.化学的な性質はマンガンに似ている点もあるが,主要な酸化数は4~7で,Mnの2とは異なる.室温の空気中で安定であるが,300 ℃ 以上で酸化されて揮発性のRe2O7となる.フッ化水素酸,塩酸には不溶,濃硫酸,濃硝酸,過酸化水素に可溶.フッ素と反応してReF6,塩素,臭素とは高温で反応してReX5化合物となる.水銀とアマルガムをつくる.
おもな用途は,航空機用ジェットエンジン,ガスタービン用ニッケル-ベース超合金と,石油改質用白金-レニウム触媒の成分である.レニウム合金は,そのほか,るつぼ材,電気接点,熱電子放出能力が高いことから電子管材料,質量分析計,真空計などのフィラメントに使用される.[CAS 7440-15-5]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
周期表第7族に属し、金属元素の一つ。1925年ドイツのノダックとタッケIda Eva Tacke(1896―1978)は、コルンブ石と白金鉱を化学処理して得た試料中に、X線分光分析により新元素をみつけ、ライン川にちなんでレニウムと命名した。希産元素の一つ。輝水鉛鉱MoS2中に硫化物が微量に含まれる。鉱石焙焼(ばいしょう)の煙塵(えんじん)中に酸化レニウム(Ⅶ)Re2O7が濃縮される。水で処理して酸化物を溶かし、塩化カリウムを加えて過レニウム酸塩KReO4を沈殿させ、これを水素還元して金属を得る。銀白色の金属。タングステンに次いで融点が高く、比重も大きい。空気中に置くと室温で表面が酸化され、1000℃以上で黄色の酸化レニウム(Ⅶ)Re2O7(融点297℃、250℃で昇華)となる。湿った空気中では室温でも徐々に酸化されて過レニウム酸となる。微粉末は発火性。高温ではハロゲン、硫黄(いおう)などと直接反応する。金属は酸化力のある酸に溶ける。過レニウム酸イオンReO4-の酸化作用は過マンガン酸イオンよりはるかに弱い。酸化数Ⅱ~Ⅵの化合物が知られる。タングステンよりも電球のフィラメントとして優れ、高真空管材料、熱電対、電気接点、触媒としての用途がある。
[守永健一・中原勝儼]
レニウム
元素記号 Re
原子番号 75
原子量 186.207
融点 3180℃
沸点 5700℃
比重 21.02(測定温度20℃)
結晶系 六方
元素存在度 宇宙 0.055(第77位)
(Si106個当りの原子数)
海水 4×10-3μg/dm3
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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