プロピレン(英語表記)propylene

翻訳|propylene

精選版 日本国語大辞典 「プロピレン」の意味・読み・例文・類語

プロピレン

〘名〙 (propylene) 炭素数三個のオレフィン系炭化水素化学式 CH3CH=CH2 特有の弱い刺激臭をもつ無色の気体。石油の分解ガスから分留される。ポリプロピレン樹脂や合成洗剤の原料として重要。

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デジタル大辞泉 「プロピレン」の意味・読み・例文・類語

プロピレン(propylene)

エチレン系炭化水素の一。特異臭をもつ無色の気体。反応性に富み、重合しやすく、石油化学工業の原料として重要。分子式C3H6 示性式CH3CH=CH2 プロペン

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改訂新版 世界大百科事典 「プロピレン」の意味・わかりやすい解説

プロピレン
propylene

脂肪族鎖式不飽和炭化水素アルケン)の一つ。化学式CH2=CH-CH3ナフサの高温熱分解反応によって生産されるほか,石油の接触分解の副産物として得られる。実験室では,イソプロピルアルコールCH3CH(OH)CH3を固体酸触媒上に通し,脱水反応を行わせて製造することができる。エチレンとならんで重要な有機合成化学原料である。

常温・常圧下では気体であり,無色だが,やや臭気をもっている。沸点-47.0℃。引火性で,空気中で2.0~11.1%(容量)の範囲で爆発的に燃焼する。二重結合をもつので,重合反応,付加反応,酸化反応などの化学反応性に富み,この性質を利用して有機合成原料として使われる。

日本では石油化学工業において,ナフサを原料とし750~850℃の高温熱分解を行い,エチレン,ブチレンなどのオレフィン類とともに生産されている(ナフサ分解)。収率は原料ナフサの約15%(重量)。そのほか,石油精製工業において,ガソリン生産を主目的とする減圧軽油の接触分解プロセスから,その副産ガスの一部として生産される。アメリカでは,もっぱらこの方法によってプロピレンが生産されている。また,エチレンと2-ブテンから,次式に示す不均化反応によってプロピレンを生産することが可能であるが,工業的にはむしろこの逆反応を利用してエチレンと2-ブテンの製造を行っている。

触媒としては,モリブデンタングステンレニウムなどの酸化物が用いられる。

1980年における日本のプロピレン生産量は約260万tであり,これから最大の用途ポリプロピレンが90万t,アクリロニトリル47万t,プロピレンオキシド20万t,そのほかにアセトンブチルアルコールオクチルアルコール(2-エチルヘキサノール)などの各種の誘導体が生産された(1995年の生産量は約350万t)。主要な誘導体を図に示す。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「プロピレン」の意味・わかりやすい解説

プロピレン
ぷろぴれん
propylene

炭素数3個の不飽和炭化水素(アルケンの一種)。プロペンpropeneともいう。合成化学工業ではエチレンとともに重要な化合物である。日本では年間約550万トン生産されている。天然ガス、石油精製の排ガス、ナフサや軽油の熱分解によりエチレンとともに得られる。エチレンと同様に、重合、酸化などの反応を受け、反応活性はエチレンよりも大きい。

 常温では弱い刺激臭の引火性の気体。ポリプロピレン(合成繊維、合成樹脂)をはじめ多くの物質の合成原料として利用される。

[徳丸克己]

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百科事典マイペディア 「プロピレン」の意味・わかりやすい解説

プロピレン

化学式はCH2=CH−CH3。エチレン系炭化水素の一つ。無色の可燃性気体。融点−185.3℃,沸点−47.0℃。反応性に富み重合しやすい。石油分解ガス中に存在し,プロパンの接触脱水素などでも得られる。石油化学工業原料として重要。
→関連項目石油化学石油化学コンビナートポリプロピレン

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「プロピレン」の意味・わかりやすい解説

プロピレン
propylene

(1) プロパンから水素原子2個を除いた2価の原子団 -C3H6- 。遊離状態では存在しない。 (2) エチレン系炭化水素の一つ。化学式 C3H6 。プロペンともいう。弱い刺激性の特臭をもつ無色の気体。沸点-47.70℃。石油分解ガスから低温分留するか,プロパンの脱水素によって工業的に多量に生産される。液化石油ガスとして燃料,重合ガソリン製造原料となる。また石油化学製品,たとえばイソプロピルアルコール,アセトン,プロピレングリコール,アリルアルコール,グリセリン,アクロレイン,アクリロニトリル,フェノール,ポリプロピレンなどの原料となる。

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