伊藤桂一(読み)イトウケイイチ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「伊藤桂一」の意味・わかりやすい解説

伊藤桂一
いとうけいいち
(1917―2016)

小説家、詩人。三重県生まれ。東京の世田谷中学卒業。習志野(ならしの)騎兵連隊に入隊し、一兵卒として中国大陸に赴く。戦争体験を生かし戦記物を多く書く。『螢(ほたる)の河』(1962)により第46回直木賞受賞。その叙情詩的作風が評価され、発展して叙情詩人としての風格を現す。おもな作品に小説『悲しき戦記』(1963)、『落日戦場』(1965)、『淵(ふち)の底』(1965)、『源流へ』(1969)、『遙(はる)かな戦場』(1970)、『椿(つばき)の散るとき』(1970)など、詩集『竹の思想』(1961)などがある。

[栗坪良樹]

『『螢の河』(文春文庫)』『『悲しき戦記』(講談社文庫)』

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「伊藤桂一」の解説

伊藤桂一 いとう-けいいち

1917- 昭和後期-平成時代の小説家,詩人。
大正6年8月23日生まれ。昭和13年入隊し,7年近くを中国大陸ですごす。戦後実録と小説の形で戦記をかきつづけ,37年「蛍の河」で直木賞,59年「静かなノモンハン」で芸術選奨,同年吉川英治文学賞。時代小説もかき,「月下の剣法者」などの剣豪小説や捕物帳シリーズもある。詩集に「竹の思想」がある。平成13年芸術院恩賜賞,芸術院会員。19年「ある年の年頭所感」で三好達治賞。三重県出身。世田谷中学卒。

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