出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
(1)江戸時代、町奉行(ぶぎょう)所において召し捕るための罪人とその罪状を書き記した帳簿。(2)時代小説として、捕物を題材とした作品。町奉行配下の与力(よりき)・目明しが登場し、江戸情緒、人々の人情・風俗などを描いたものが多い。かつて作品がシリーズものの映画となり、近年ではテレビで取り上げられ、好評を博している。作品としては岡本綺堂(きどう)の『半七捕物帳』をはじめ、佐々木味津三(みつぞう)の『右門(うもん)捕物帳』、野村胡堂(こどう)の『銭形平次捕物控』、久生十蘭(ひさおじゅうらん)の『顎(あご)十郎捕物帳』、城昌幸(じょうまさゆき)の『若さま侍捕物手帖(てちょう)』、横溝正史(よこみぞせいし)の『人形佐七捕物帳』などがある。
[芳井敬郎]
…しかしホームズ・シリーズが世界推理小説史上不滅の地位を今日なお占めているのは,創始者ポーのやらなかった新機軸を出したからである。例えば1891年以後,雑誌《ストランド・マガジン》に定期的に読切り短編を連載し,日本でいう〈捕物帳〉形式を確立したこと,語り手のワトソンに,ポーの場合見られなかった人間味を添えたこと,なぞ解きの興味だけでなく,時代の風俗や冒険的興味,すなわちディケンズやコリンズが重視した要素をも取り込んだこと,などである。以後ホームズの後継者,亜流は今日に至るまで後を絶たず,推理小説の一つの定型が確立されたのである。…
※「捕物帳」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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