小美玉(市)(読み)おみたま

日本大百科全書(ニッポニカ) 「小美玉(市)」の意味・わかりやすい解説

小美玉(市)
おみたま

茨城県中部に位置する市。2006年(平成18)、東茨城郡小川町、美野里町(みのりまち)、新治(にいはり)郡玉里村(たまりむら)が合併して市制施行、小美玉市が成立。市名は合併した3町村から1字ずつをとった。市域霞ヶ浦(かすみがうら)に注ぐ園部(そのべ)川と北浦に入る巴(ともえ)川の沿岸低地、および両低地の間に発達した台地上に展開し、南は霞ヶ浦に面する。西端部をJR常磐(じょうばん)線、国道6号、355号、常磐自動車道が通り、北隣の笠間(かさま)市岩間(いわま)インターチェンジが近い。西部の大谷(おおや)には1180年(治承4)源頼朝に討たれた佐竹義政の首塚が残る。中世には平国香(くにか)の子孫大掾氏(だいじょううじ)が勢力をふるい、1559年(永禄2)には竹原(たけはら)に大掾義国(竹原義国)が城を築いている。江戸時代、小川村の河岸は水戸藩領から園部川・霞ヶ浦を経て江戸に通ずる水運上の要所となった。水戸藩の運漕奉行(うんそうぶぎょう)所が置かれ、町場も形成された。また藩の郷校稽医館(けいいかん)(後の小川郷校)も開かれた。下吉影(しもよしかげ)、上吉影は巴川水運の河岸場で、堅倉(かたくら)は水戸街道宿場であった。

 主産業は農業で、米作のほかレンコン、ニライチゴメロン、柿、梨、栗やトロロアオイ(製紙用のりの原料)などを栽培。北部では酪農が盛ん。霞ヶ浦沿岸では漁業も行われている。石岡(いしおか)市に隣接して南西部には工業団地があり、プラスチック、鉄鋼などの工場が進出。東部に茨城空港、航空自衛隊百里基地(ひゃくりきち)がある。面積144.74平方キロメートル、人口4万8870(2020)。

[編集部]


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