メロン
〘名〙 (melon)
ウリ科のつる性
一年草。インドから西アジアの
原産といわれ、古く西洋に渡り、現在では世界中で広く
栽培される。ほぼ共通の
祖先が東アジアに伝わり改良されたものが
マクワウリで、普通はメロンの
変種とされる。茎は長さ三メートルに達する。葉は互生し
卵形から
円形ないし腎臓形でわずかに五~七裂し縁に
鋸歯(きょし)がある。雌雄同株あるいは両性
雄花同株。
雌花や両性花は一ないし二個、雄花は三~五個ずつ葉腋につく。花冠は黄色で径二センチメートルあまり、鐘形で先が五裂する。
果実は
球形ないし長楕円形で大きく、径九~二一センチメートルぐらい。多くは
芳香・甘味がある。
品種が極めて多いが、ふつうは果実が球形で外皮に
網目のある
マスクメロンをいう。《季・夏》
※普請中(1910)〈
森鴎外〉「メロンの肉を剥がして食べながら」
[補注]明治初年(
一八六八)に露地メロンが輸入され、明治一八年には
温室メロンも輸入種子による栽培が始められた。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
デジタル大辞泉
「メロン」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
メロン
《栄養と働き&調理のポイント》
メロンの原産地は東アフリカとも中近東ともいわれます。栽培の歴史は古く、メロンの一種ハミウリは、シルクロードを行き交う隊商のビタミンや水分補給に欠かせないものでした。日本でもマクワウリ栽培は2000年を超える歴史があります。
○栄養成分としての働き
メロンの主成分は糖質で、吸収されやすいブドウ糖、果糖が多く、エネルギー補給に役立ちます。カリウムとカロテンも多く、とくに露地ものの赤肉種メロンでは100gあたりのカロテン含有量は3600μgと、くだもの中では屈指です。カロテンは免疫力を高めるので、かぜやがんの予防に期待ができます。一方、食物繊維が少ないので、胃に負担をかけずに栄養補給ができます。
メロンにはアデニシンという成分が含まれ、血液の凝固を阻止し、動脈硬化症や脳卒中のリスクが減ると考えられています。
アレルギーのある人は注意してください。口の中に含んだときにチクチクしたり、違和感がある場合は、アレルギー反応の前ぶれです。なお、メロンは冷やすと甘みが増しますが、冷やしすぎは胃に負担をかけるので、胃腸の弱い人は注意しましょう。
メロンはまだかたいうちに出荷されて売られる場合が多いので、室温で完熟させてから冷蔵庫に入れます。メロンのお尻の部分が黄色くなり、押してみて少しやわらかくなったら食べごろです。
出典 小学館食の医学館について 情報
メロン
果実を食用とするウリ科のつる性植物の一群の総称。日本では主に網メロン,カンタループ,冬メロンなど欧米系の3変種およびそれら相互あるいはマクワウリとの交雑品種をさす。茎,葉,花などの性状はマクワウリなどとほぼ同様。熟果は大型の球形。 網メロンの代表格はアールスフェボリットで,芳香(じゃ香musk)があるところからマスクメロンとも呼ばれる。果皮が淡緑か淡黄色で,表面に網目があり,果肉は淡緑色で甘い。ハネデューは冬メロンの一種で,表面は平滑で灰白色,果肉は淡緑色で甘いが,香りは少ない。いずれも温室で栽培される。 プリンスメロンは欧米系のメロンとマクワウリの雑種で,果皮は灰白色で緑の縞(しま)がある。果肉は淡い鮭肉色で甘い。このほか表面に縞のある肉質のよいアムスや,細かい網目のあるアンデスなどがあり,いずれも果肉は緑色である。果肉の赤い夕張メロンやクインシーなども作られ,ほとんどビニルハウスで栽培されている。
→関連項目ウリ(瓜)
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
メロン
Cucumis melo; melon
ウリ科のつる性の一年草で,西アジアから北アフリカの原産とされる。つるは角張り,全体にあらい毛がある。葉は3~7裂する掌状葉で,葉に対生する巻きひげがある。花は黄色で雌雄同株,ときに両性花が混る。果実は球形で品種により大きさはさまざまあり,果肉の色も白,淡緑,橙黄色などがある。現在では欧米系の次の3群が最も広く栽培されている。網メロン系 (イギリスのマスクメロン,アメリカのカンタループ) は,果実の縦溝は浅いかあるいはまったくなく,外皮に網目を生じて,果肉に芳香をもつ。カンタループ系 (ヨーロッパ産のカンタループ) は果肉にはっきりした深い縦溝をつけ,いぼ状,鱗状に凹凸があり硬く,網目はなく,芳香がある。中東にこの群の品種の基本型が多くみられる。冬メロン系は果実に滑溝をもつかあるいはほとんどなく,網目もなく,晩熟で貯蔵に耐える。網メロン系とカンタループ系はマスクメロンと呼ばれ,musk麝香 (じゃこう) にちなむ名で,特有の芳香をもつことによる。植物分類学上はこれらのメロンはシロウリやマクワウリとも同一種と考えられている。
メロン
Mellon, Andrew William
[生]1855.3.24. アメリカ,ピッツバーグ
[没]1937.8.26. アメリカ,サウサンプトン
アメリカの企業家。 1902年メロン・ナショナル銀行総裁となり,化学工業を中心に巨財を築き上げた。 21~32年共和党政権のもとで財務長官をつとめ,一貫して大企業の利益を重視する政策を推進した。ワシントン D.C.のナショナル・ギャラリー設立のため,37年莫大な金額と収集美術品を政府に寄付した。
メロン
Meron
メイロンともいう。イスラエルの北部,ガリラヤ高地地方,ツェファトの北西の山地にある村。付近に,旧約聖書のヨシュアに関係ある「メロムの泉」がある。メロン山 (1208m) は,北西 3kmにあり,イスラエルの最高峰。現在のメロンは,1949年に信仰心の厚い元軍人によって創設された。森林におおわれ,高原に囲まれている。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
メロン【melon】
ウリ科の一年草で,近年その栽培・消費の増加が著しい果菜。日本ではCucumis melo L.に属する3変種の欧米系メロン,およびそれら相互あるいはマクワウリとの交雑品種をさす。3変種とは(1)網メロンC.melo L.var.reticulatus Naud.(英名netted melon),(2)カンタループC.melo L.var.cantalupensis Naud.(英名cantaloupe),(3)冬メロンC.melo L.var.inodorus Naud.(英名winter melon)である。
メロン【Andrew William Mellon】
1855‐1937
アメリカの実業家。富裕な銀行家T.メロンの子としてペンシルベニア州に生まれ,長じてのち1886年父親の銀行を引き継ぎ,大きく発展させた。ついで,のちにALCOA(アルコア)の名で知られる企業に出資しアルミニウム産業を支配,さらに石油,鉄鋼,石炭,電機などの産業にも進出し,モルガン,ロックフェラーと並ぶメロン財閥を築き上げた。のち政界においても活躍し,長年にわたり財務長官(1921‐32)や駐英大使の要職を務めた。
メロン【Thomas Mellon】
1813‐1908
アメリカの巨大財閥の一つであるメロン財閥の創始者。北アイルランドに生まれ,5歳のとき,家族とともにアメリカに移住。貧窮のなか大学で修得した法律の知識をいかして不動産売買業を始め,しだいに富を築いていった。1859年から10年間,判事を務めたが,退任後は事業に専念,70年には,後のメロン財閥の母体である私立銀行メロン父子商会を設立し,息子アンドルー,リチャードとともに経営にあたった。開業まもなく73年の恐慌に見舞われたが,恐慌中に倒産した企業や個人の抵当不動産取得により,ますます資産を増加させた。
出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報
メロン[果樹類]
めろん
関東地方、茨城県の地域ブランド。
全国有数のメロン産地である茨城県。青肉系アンデスメロンと赤肉系クインシーメロンを栽培し、その生産量や作付面積は全国トップクラス。特に鹿行地域で栽培が盛ん。海岸沿いの水はけのよい火山灰土の砂地と昼夜の温度差の大きい気候が、甘くてみずみずしいメロンを育てる。ミツバチによる自然交配をおこなっている点が、茨城のメロンの特徴。
メロン[果樹類]
めろん
関東地方、栃木県の地域ブランド。
主に真岡市・芳賀郡二宮町で生産されている。品種としては、果肉が赤色のクインシー、緑色のタカミ、緑白色のオトメなどがある。4月下旬〜7月中旬頃まで収穫される。
出典 日外アソシエーツ「事典 日本の地域ブランド・名産品」事典 日本の地域ブランド・名産品について 情報
メロン
[Cucumis melo].スミレ目ウリ科キュウリ属の一年草で,果実を食用にする.網メロン,カンタロープメロン,冬メロン,マクワウリに大別される.
出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報
世界大百科事典内のメロンの言及
【山高帽】より
…ロンドンではウィリアム・ボーラーという帽子屋の名にちなんで,ボーラーBowlerと呼んだ。アメリカでは19世紀半ば,ダービーderbyと名づけられ,フランスではメロンmelonと称した。ロンドン,パリ,ニューヨークの紳士たちに愛用され,19世紀末に黒が一般の礼装用となって今日まで続いている。…
【ウリ(瓜)】より
…ウリは広義にはウリ科に属する栽培植物(ウリ類)やその果実の総称であるが,狭義にはマクワウリ(イラスト),メロン(イラスト),シロウリ,キュウリ(イラスト)などを含むキュウリ属の果実を指す。ウリ類の果実は,多肉・多汁な果肉を有するものが多いので,食用としての利用価値が高い。…
【メロン財閥】より
…銀行資本と産業資本の高度の結合を実現していること,政治権力との結びつきがとくに強いことなどに,この財閥の特徴がある。アイルランド移民T.メロンが,南北戦争前後,鉄,石炭の中心地として急速に膨張していたピッツバーグで金融・不動産売買業を始め,1870年私立銀行メロン父子商会T.Mellon and Sonsを設立して,メロン財閥の基礎を築いた。父子協力のもと,その資産を着実に増やすとともに,89年に設立したユニオン・トラスト社を通じて,ピッツバーグおよび西部ペンシルベニアの諸銀行を支配した。…
【メロン財閥】より
…銀行資本と産業資本の高度の結合を実現していること,政治権力との結びつきがとくに強いことなどに,この財閥の特徴がある。アイルランド移民T.メロンが,南北戦争前後,鉄,石炭の中心地として急速に膨張していたピッツバーグで金融・不動産売買業を始め,1870年私立銀行メロン父子商会T.Mellon and Sonsを設立して,メロン財閥の基礎を築いた。父子協力のもと,その資産を着実に増やすとともに,89年に設立したユニオン・トラスト社を通じて,ピッツバーグおよび西部ペンシルベニアの諸銀行を支配した。…
※「メロン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報