デジタル大辞泉
「御手前」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
お‐てまえ ‥てまへ【御手前】
[1] 〘名〙
※浮世草子・武道伝来記(1687)二「あなたの御手前よろしきゆへに此小判を送らるるなり」
② おてなみ。技量。
※
婦系図(1907)〈泉鏡花〉前「些
(ちっ)とぐらゐ抜いたって、敢てお手前が崩れるといふでもないよ」
③ (「御点前」とも書く) 茶の湯の作法。また、そのてなみ。
※宗湛日記‐文祿二年(1593)正月二一日「なごやにて 一家康様に 御会〈略〉めんつう引切 御手前にてたてらるるなり」
※
狂歌・後撰夷曲集(1672)二「垢のぬけし御手前なればたつお茶もふくかげんよき風炉のすき哉」
[2] 〘代名〙
対称。室町以後、主として武士が対等もしくはそれに近い下位者に対して用いたことば。男に対しても女に対しても用いられた。そなた。
※狂言記・胸突(1660)「いや、お手前のてがたでおぢゃる」
[語誌](1)(二)は後期江戸語でも主に
武家によって受け継がれたが、学者、
易者、
僧侶等の用いた例も見られる。明治前期においても
官吏の言葉として使われていることが、E・サトウの「会話編」等でわかるが、武家階級の消滅とともに使用がみられなくなった。
(2)この語より待遇価が高い語に「おてまえさま」がある。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報