1915年ころから開発された水銀を含む有機殺菌剤で,初めは種子殺菌剤として用いられていた。日本では,この種の薬剤が稲作の重要病害であるいもち病に著効を示すことから,第2次大戦後,散布用抗いもち剤として広範に用いられるようになった。しかし有機水銀剤は化学的に安定で,その残留性が問題となり,新しい非水銀系の抗いもち剤の開発によって,68年には,他薬剤に切りかえられるに至った。有機水銀剤として開発,使用されていた薬剤には,酢酸フェニル水銀(PMA),塩化メトキシエチレン水銀(MMC),塩化フェニル水銀(PMC)がある。
そのうち,酢酸フェニル水銀の哺乳類に対する急性毒性は,50%致死量LD50=40mg/kg(ラット,経口)と高く,いったん体内に入ると排出されにくく,蓄積して慢性毒性をひき起こすおそれが高い。例えば,粉剤酢酸フェニル水銀(0.2%)を10a当たり4 kg散布した水田から収穫された白米には0.066 ppm,玄米には0.14 ppm,ぬかには0.37 ppmの水銀が含まれているという。
→農薬
執筆者:高橋 信孝
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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