家庭医学館 「眼瞼下垂」の解説
がんけんかすい【眼瞼下垂 Blepharoptosis】
生まれつきみられる場合(先天性眼瞼下垂(「先天性眼瞼下垂」))と、中高年にみられる場合(後天的な眼瞼下垂)に分けることができます。多くは片側の上まぶた(上眼瞼)が下垂した状態で、まれに両側のことがあります。両方の上まぶたに発生して、とくに疲労がたまると悪くなる場合は、重症筋無力症(じゅうしょうきんむりょくしょう)が疑われます。この場合は内科の専門医の検査を受ける必要があります。
[診断]
重症筋無力症が疑われる場合は、テンシロンRという薬を静脈内に注射し、下垂が改善するかどうかを判定する、テンシロンテストを行ないます。
[治療]
重症筋無力症の場合は薬を内服したり、胸腺(きょうせん)の摘出術を行なったりします。それ以外の先天的、後天的な眼瞼下垂では、手術によって下垂の程度を減らすことが治療の目的になります。左右差が小さい場合や子どもでは、手術後にも顔全体が成長するので、ある程度手術を待ったほうがよいこともあります。しかし、とくに生まれて間もない乳児の眼瞼下垂では、上まぶたの縁が角膜(かくまく)中央部を隠すと強い弱視(じゃくし)をおこすので、できるかぎり早期に手術を受けなければなりません。