石火矢(読み)イシビヤ

デジタル大辞泉 「石火矢」の意味・読み・例文・類語

いし‐びや【石火矢/石火×箭】

石または鉄・鉛などを飛ばして城攻めに用いた兵器
近世初期に西洋から伝来した大砲のこと。
「江戸屋勝二郎というては―でも崩れまい」〈浄・淀鯉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「石火矢」の意味・わかりやすい解説

石火矢 (いしびや)

初め16世紀中ごろポルトガルから伝来した大砲〈仏狼機〉に対する呼称であったが,のち大砲一般の名称となった。銅発熕(はつこう),砲石西洋砲ともいう。火薬の力で大小の石,鉛,鉄製弾丸を発射する滑腔式大砲で,初めは後装式が多いが,17世紀から前装式が増える。青銅シンチュウ,鉄などで鋳造され,砲架台車にすえられて使用された。射手が抱えて打つ場合には抱筒(かかえづつ)といった。弾丸重量は400~500匁(約1.5~1.9kg)から4~5貫目(約15~19kg)ほどで,3~4町離れた敵を倒すことができた。1576年(天正4)大友宗麟南蛮から入手して国崩(くにくずし)と命名したものが初伝といわれる。織田信長,竜造寺隆信らに重視されたが,鉄砲ほどには進歩しなかった。このため文禄・慶長の役では日本軍は海戦において朝鮮水軍の大砲に悩まされ続けた。大坂の陣,島原の乱に使用されたが,その後は技術的にとくに大きな改良もなく,幕末にいたる。
大砲
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