縁の下の力持ち(読み)エンノシタノチカラモチ

デジタル大辞泉 「縁の下の力持ち」の意味・読み・例文・類語

えんした力持ちからも

他人のために陰で苦労努力をすること、また、そのような人のたとえ。

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ことわざを知る辞典 「縁の下の力持ち」の解説

縁の下の力持ち

人には見えないところで力をつくし、苦労すること(人)のたとえ。脚光を浴びていないが、陰で重要な役割を果たす者のたとえ。

[使用例] 「君、そんなことをやっても駄目だよ。そんな損な骨折を、縁の下の力持って言うのだよ。よし給え、つまらないじゃないか。」[細川謙二*俚諺読本|1936]

[使用例] 実力なるものの内容は、時世につれて常に変化する。〈略〉今や〈略〉縁の下の力持ちをなし得る人間が一番早くその実力を認められる時代であって、実力本位とは、平凡の仕事を規則正しく几帳面に終始一貫遂行し得るという事に外ならない[小林一三*私の行き方|1937]

[使用例] 女は世の中で縁の下の力持ちのような役割をさせられるから、息が長く続くようにできてるんだって[石坂洋次郎青い山脈|1947]

[解説] このことわざは、近代に入ってから意味や用法が大きく変わっています。明治大正の頃までは、他人のために骨を折るばかりで報われないこと(人)をさし、だからそんな仕事はやめたほうがよいという、おおむね否定的な文脈で使われていました。しかし、今日では、目立たないが重要な裏方を称賛するのが普通の用法になっています。なぜ、それほど大きな違いが生じたのでしょうか。
 第一の要因は、「力持ち」の絶滅です。この「力持ち」は、人前で演じる力持ち芸のことで、人に見えない縁の下でやってもむだなことでした。しかし、明治初期にこの芸がすたれため、単に腕力が強い者と解されるようになったのです。さらに、近代には、あらゆる分野で組織的な活動が求められ、裏方の評価が徐々に高まったことも、ことわざの背後で大きな影響を及ぼしたといえるでしょう。

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