裏方(読み)ウラカタ

デジタル大辞泉 「裏方」の意味・読み・例文・類語

うら‐かた【裏方】

芝居で、舞台の裏側で働く人。大道具小道具衣装音響照明などの係、伝統芸能での囃子方はやしかたなど。→表方おもてかた
表立たず、陰で実質的な仕事を引き受け、すすめる人。「大会の裏方をつとめる」
貴人の妻の称。奥方。内室。
「ある武将の―におこりをわづらへることあり」〈咄・醒睡笑・三〉
江戸時代以後、本願寺門主の夫人の称。
[類語]スタッフ道具方衣装方助手表方殺陣師

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精選版 日本国語大辞典 「裏方」の意味・読み・例文・類語

うら‐かた【裏方】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 裏の方。
    1. [初出の実例]「裏方より人数二百余寄来て」(出典:多聞院日記‐弘治二年(1556)正月六日)
  3. 貴人の奥方。うちかた。内室。
    1. [初出の実例]「ある武将の裏方に瘧(おこり)をわづらへることあり」(出典:咄本・醒睡笑(1628)三)
  4. 近世以降、特に本願寺法主の夫人の称。
  5. 楽屋や舞台裏で働く人々。俳優を除いた、作者、囃子方(はやしかた)大道具方小道具方、衣裳方、床山(とこやま)などが含まれる。転じて、表立たないところで働く人。⇔表方
    1. [初出の実例]「合唱隊と教授が裏方に扮し〈略〉寝台を片付けながら」(出典:日本人のへそ(1969)〈井上ひさし〉一)

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改訂新版 世界大百科事典 「裏方」の意味・わかりやすい解説

裏方 (うらかた)

劇場用語。劇場の引幕を境に客席側を〈表〉といい,興行経営などに当たる人を〈表方〉と呼ぶ。それに対し,幕の内側,楽屋を〈裏〉といい,舞台で演ずることに携わる関係者を〈裏方〉と称する。頭取狂言作者,囃子方,大道具方,小道具方,衣装方,床山,楽屋の口番などが含まれる。近年は照明,音響担当者など広く演出面に携わる人をも含める。観客の目に立たないところという本来の意味からか,演技者は含めないことになっている。転じて,映画,テレビ,また一般的にも,表面に出ずに活動を援助する人をさす。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「裏方」の意味・わかりやすい解説

裏方
うらかた

劇場用語。「表方(おもてかた)」に対する名称で、舞台の引幕(ひきまく)を境として、それよりも奥(裏)で働く演技関係者。ただし俳優は含まない。大道具方、小道具方、衣装、床山(とこやま)、狂言作者、囃子方(はやしかた)をはじめ、頭取(とうどり)や楽屋口(がくやくち)番などが「裏方」にあたる。華やかに演劇が上演される背後にあって、直接観客の目に触れることのないところで創造を支えている重要な役割の人たちである。これが転じて一般用語でも「縁の下の力持ち」的な役割をする人をこの名でよぶ。

[服部幸雄]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「裏方」の意味・わかりやすい解説

裏方
うらかた

劇場用語。舞台の引き幕を境に,その奥の楽屋,演出関係にたずさわる人々をいう。経営,宣伝その他客を扱う人々を表方というのに対する語で,俳優を除いて,演出家,脚本家,舞台監督をはじめ,大道具,小道具,メーキャップ,床山,衣装,囃子方などをさす。

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百科事典マイペディア 「裏方」の意味・わかりやすい解説

裏方【うらかた】

演劇用語。舞台の幕を境にして,裏で働く劇場関係者。舞台監督,大道具,小道具,照明,衣装,床山などの舞台関係者の総称。ただし俳優は普通含まれない。表方の対。

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