遅発中性子(読み)チハツチュウセイシ

化学辞典 第2版「遅発中性子」の解説

遅発中性子
チハツチュウセイシ
delayed neutron

核分裂によって出てくる中性子には2種類あって,すぐに出てくる即発中性子(prompt neutron)と,遅れて出てくる遅発中性子とがある.遅発中性子は核分裂生成物崩壊系列中のある核種,たとえば起された 87Kr,137Xe などが中性子を放出して崩壊することに起因する.遅い中性子による 235U の核分裂のときの遅発中性子の割合は,全核分裂中性子の0.0075である.遅発中性子の性質原子炉の時間的変化に重要であり,熱中性子を利用した原子炉の制御をするときは,この遅発中性子があることによって原子炉の出力増加の時間変化が緩やかになり,制御が容易になる.遅発中性子の半減期は0.4 s 程度から55 s 程度のものまである.[別用語参照]核分裂中性子

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「遅発中性子」の解説

遅発中性子
ちはつちゅうせいし
delayed neutron

放射性元素でβ崩壊したのちの娘核種が,さらに放射する中性子をいう (→即発中性子 ) 。全中性子の約 0.3~0.8%を占め,0.1~数十秒にわたって遅れて発生する。崩壊と生成過程一例は次のとおり。 87Br → 87Kr +β→ 86Kr+n  娘核種クリプトン 87 87Kr からは中性子は瞬時に放射されるが,見かけ上は親核種臭素 87 87Br のβ崩壊の半減期だけ時間がかかって放射されるようにみえる。ウランなどの核分裂生成物のなかに例が多い。遅発中性子が原子炉の臨界にかかわっていれば,出力上昇はゆっくりしたものになり,これを遅発臨界という。

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デジタル大辞泉「遅発中性子」の解説

ちはつ‐ちゅうせいし【遅発中性子】

核分裂の後に約0.3秒から80秒遅れて放出される中性子。核分裂直後に即発中性子が放出されたあと、不安定な状態にある核分裂生成物から、β崩壊により放出される。核分裂で放出される中性子のうち、99パーセントは即発中性子、1パーセントは遅発中性子であり、数少ない遅発中性子が原子炉の制御に重要な役割をもつ。遅延中性子

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