アンドン(安東)市(読み)アンドン(英語表記)Andong

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アンドン(安東)市」の意味・わかりやすい解説

アンドン(安東)〔市〕
アンドン
Andong

大韓民国(韓国),キョンサンプク(慶尚北)道の中部にある市。テベク(太白)山脈の西に続く丘陵地に開けた盆地にあり,ナクトン(洛東)江に臨む。農産物の集散地として発達し,高麗末に都護府となった。李氏朝鮮(→朝鮮王朝)では都護府あるいは観察府が置かれ,ヨンナム(嶺南)地方北部の行政中心地であった。この地出身の安東金氏一族は李朝の哲宗(在位 1849~63)の代などに王室の外戚として実権を握ったことで知られる。朝鮮戦争で被害を受けたが,町は古都の面影を残す。ハフェ(河回)村には 14~15世紀の住宅様式が残されており,キョンジュ(慶州)市のヤンドン(良洞)村とともに歴史的村落として 2010年世界遺産の文化遺産に登録された。ハフェ村にはこのほか正月神事に用いられた河回仮面が伝わる。陶山書院とハフェ村の構成資産でもある屏山書院は,李朝中期に隆盛した儒学の一大勢力である嶺南学派の李退渓柳成龍それぞれゆかりの新儒教教育機関(→書院)として 2019年,国内の七つの書院とともに世界遺産の文化遺産に登録された。安東焼酎,安東褓(麻織物)を特産する。国立の安東大学校(1979創立)がある。チュンアン(中央鉄道が通る。面積 1520km2人口 16万8581(2015)。

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