スウィンバーン(英語表記)Algernon Charles Swinburne

デジタル大辞泉 「スウィンバーン」の意味・読み・例文・類語

スウィンバーン(Algernon Charles Swinburne)

[1837~1909]英国詩人批評家。巧みな韻律美と異教的な官能描写で知られる。劇詩カリドンのアタランタ」、詩集詩とバラード」など。

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精選版 日本国語大辞典 「スウィンバーン」の意味・読み・例文・類語

スウィンバーン

(Algernon Charles Swinburne アルジャーノン=チャールズ━) イギリスの詩人。世紀末文学代表者ギリシア悲劇にならった詩劇カリュドンのアタランタ」や圧政への反逆をうたった詩「日の出前の歌」などを残す。(一八三七‐一九〇九

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改訂新版 世界大百科事典 「スウィンバーン」の意味・わかりやすい解説

スウィンバーン
Algernon Charles Swinburne
生没年:1837-1909

イギリスのラファエル前派の詩人,評論家。オックスフォード大学中退後,ギリシア古典劇の対話法の詩劇《アタランタ》(1865)を発表,たちまち時代のアイドルとなった。その妖しい韻律美と異教精神は,《詩と民謡》(1865)で開花し,ビクトリア朝モラルへの反抗,キリスト教批判,エロティシズムで,熱狂的な反響をひきおこした。〈泥沼の神秘のバラ,わが苦悩の乙女よ〉とうたう〈ドローレス〉は,詩人がマゾ的に仕えた宿命の女だった。《夜明けのうた》(1871)では,共和制をたたえ,《詩と民謡》第2集(1878)で,華麗な技巧のさえをみせたが,メアリー女王の三部作の史劇や《ライオネスのトリストラム》(1882)には,もはや衝撃的な魅力はなかった。W.ブレーク,C.ブロンテ論もあるが,本領は韻律の魔術師としての技巧が発揮されたその抒情詩にあった。晩年は放埒な生活のため精神的にまいり,友人ワッツ・ダントンのもとに預けられキリスト教の再教育を受けたが,昔の覇気を失い生涯をとじた。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スウィンバーン」の意味・わかりやすい解説

スウィンバーン
Swinburne, Algernon Charles

[生]1837.4.5. ロンドン
[没]1909.4.10. ロンドン
イギリスの詩人。オックスフォード大学でギリシア詩に熱中,またイタリア,フランス文学にも親しみ,多くの詩を書いたが,ギリシア風の詩劇『キャリドンのアタランタ』 Atalanta in Calydon (1865) で初めて本領とする韻律技巧の円熟をみせた。代表作はイギリス俗物主義への反抗を示した異教的官能的な『詩と歌謡』 Poems and Ballads (3巻,66~89) や,イタリア独立運動に刺激された『日の出前の歌』 Songs Before Sunrise (71) などである。最も完璧な技法の長詩『ライオネスのトリストラム』 Tristram of Lyonesse (82) 以後は創作力が衰えた。ほかに悲劇の作もあり,シェークスピア,ユゴー,B.ジョンソンらに関する批評,また詩論や小説論もある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「スウィンバーン」の意味・わかりやすい解説

スウィンバーン
すうぃんばーん
Algernon Charles Swinburne
(1837―1909)

イギリスの詩人。オックスフォード大学在学中から華麗な詩才をうたわれ、年を追って異教的耽美(たんび)主義の傾向を強めた。ギリシア悲劇風の劇詩『カリュドンのアタランタ』(1865)で文名を確立し、独自の詩風は群を抜いていたが、ビクトリア王朝期の道徳主義派から激しい非難を浴びた。イギリス世紀末文学の強力な代表者。

[川崎寿彦]

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百科事典マイペディア 「スウィンバーン」の意味・わかりやすい解説

スウィンバーン

英国の詩人。華麗な抒情詩で人気を得た。劇詩《カリドンのアタランタ》(1865年)や《詩とバラッド》(1866年―1889年),シェークスピアらに関する評論などで知られる。

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世界大百科事典(旧版)内のスウィンバーンの言及

【唯美主義】より

…作品の価値はそこに盛られた思想あるいはメッセージではなく形態と色彩の美にある,と主張する。イギリスの詩人スウィンバーンがA.J.ムーアの絵《アザレア》(1868)を〈この絵の意味は美そのものだ。存在するということだけが,この絵の存在理由だ〉と絶賛した言葉が,唯美主義を端的に示している。…

※「スウィンバーン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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