ドイツの作家ハウプトマンの五幕戯曲。1889年作。同年自由劇場初演。自然主義の代表作。シュレージエンのある地方では、炭坑が発見されたため地所が高騰し、にわか成金になった貧農たちは、無為からアルコール中毒になる。その状況を調査にきた社会改革者アルフレート・ロートは、旧友の技師ホフマンが婿に入ったクラウゼ家に止宿するが、当主のクラウゼはアル中で廃人同様であり、後妻は甥(おい)の白痴の青年カールと通じており、ホフマンの妻である長女マルタもアル中で子供を死産する。次女のヘレーネは、寄宿学校で教育を受けたために、腐敗した環境に染まっていないが、カールと結婚を強いられている。ロートは自分に恋したヘレーネをこの泥沼から救い出そうとするが、友人の医師から、彼女もアル中の遺伝を受けていると忠告され、彼女を置いて出立し、捨てられたヘレーネは自殺する。当時の習慣では赤裸々にすぎる描写が劇場騒動に発展したが、自然主義運動の支持者は歓呼してこの作品を迎えた。
[岩淵達治]
『橋本忠夫訳『日の出前』(岩波文庫)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…シュレジエンのオーバーザルツブルン(現,ポーランド領)に生まれ,実業学校,農業見習,美術学校をへて,イェーナ大学で自然科学,哲学,歴史を修めた。ベルリンで自然主義文学運動に接触,当時流行のH.イプセンや,A.ホルツ,J.シュラーフの〈徹底自然主義〉の影響が濃い戯曲《日の出前》(1889)を発表してセンセーションを興す。その後《平和祭》(1890),《寂しき人びと》(1891),代表作《はた織りたち》(1892)や喜劇《海狸の外套》(1893)を著し,ドイツ自然主義の中心的人物となる。…
※「日の出前」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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