タアサイ(読み)たあさい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「タアサイ」の意味・わかりやすい解説

タアサイ
たあさい / 塌菜
[学] Brassica rapa L. var. narinosa (L.H.Bailey) Kitam.
Brassica campestris L. var. narinosa (Bailey) Olsson

アブラナ科(APG分類:アブラナ科)の中国野菜の一種で、ツケナの類。中国読みはターツァイ。「塌」はぺしゃんことか、つぶれたという意味で、冬場は全体が扁平(へんぺい)に育つ特色から名づけられた。冬季は葉を放射状に密生展開するが、高温期には葉が立ち上がり、姿が変わる。ロゼット葉は直径20~30センチメートルで、重さ200~600グラムになる。日本では200グラムほどで出荷される。葉は杓子(しゃくし)形で、光沢があり、全縁。葉身は円形から卵円形で、しわが寄り、濃い緑色から暗緑色葉柄は幅8~20ミリメートルで白緑色。花茎は高さ30~40センチメートル、花は長さ2~4ミリメートルで淡黄色。莢(さや)は円柱形で長さ4~8センチメートル。中国の主要品種には小八葉(シャオパーイエ)(株径約20センチメートル)、中八葉(チョンパーイエ)(株径約25センチメートル)、大八葉(ターパーイエ)(株径約30センチメートル)、烏塌菜(ウーターツァイ)(暗緑色)、黒葉油塌菜(ヘイイエユーターツァイ)などがある。70~80日で収穫でき、周年栽培が可能である。中国では南京(ナンキン)から上海(シャンハイ)一帯で栽培が盛んであり、冬季の重要な野菜の一つになっている。ごわごわした感じだが、見かけによらず柔らかく、油炒(いた)めに向く。日本のキサラギナはタアサイ系で、ビタミンナは大阪シロナと本系の雑種である。

 成分的にはビタミンA、Cや鉄分が多い。中国での分析では100グラム中ビタミンAが2.6ミリグラム、B1が0.67ミリグラム、B2が1ミリグラム、Cが48ミリグラム、鉄分が3.7ミリグラムである。

[湯浅浩史 2020年11月13日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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