バラク(英語表記)Barak, Ehud

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バラク」の意味・わかりやすい解説

バラク
Barak, Ehud

[生]1942.2.12. イギリス領パレスチナ,ミシュマル・ハシャロン
イスラエル軍人,政治家。首相(在任 1999~2001)。旧名は Ehud Brog。リトアニアからの移民である父親が 1932年に創設したキブツで生まれた。1959年にイスラエル国防軍に召集されて輝かしい軍歴のスタートを切り,このとき改名した。1967年の六日戦争(第3次中東戦争)と 1973年の十月戦争(第4次中東戦争)では戦闘指揮官を務めたが,特に奇襲攻撃を指揮する特殊部隊の司令官として名をはせた。1968年にエルサレムヘブライ大学で物理学と数学の理学士号を取得,1978年にアメリカ合衆国のスタンフォード大学で経済システム工学の修士号を取得した。1990年代半ばに政界へと転身し,労働党政権下で 1995年に内務大臣,1995~96年に外務大臣を務めた。1996年5月にイスラエル国会(クネセト)議員に初当選を果たす。1997年6月労働党党首に就任し,1999年に労働党連合「一つのイスラエル」を結成して首相選挙に立候補,56%をこえる得票率で当選した。首相就任後は中東和平の達成を公約に掲げ,1999年9月パレスチナ解放機構 PLOの指導者ヤセル・アラファトとの和平交渉を再開。同 1999年12月,3年以上膠着していたシリアとの和平交渉を再開し,17年間に及ぶイスラエルによる南部レバノン占領も終結させた。2000年12月首相を辞任し,その後政界を離れたが,2007年労働党党首に再選され,政界に復帰した。

バラク
Barak

旧約聖書中の人物。士師時代のイスラエルの司令官。ナフタリケデシのアビノアムの子。当時イスラエルの民を裁いていた女預言者デボラ (ラピドテの妻) の命によってナフタリとゼブルン部族から1万人を率い,ヤビンの軍勢の長シセラと配下軍隊を壊滅させてイスラエルを救った (士師記4~5章) 。『ヘブル書』 (11章 32~33) では信仰によって国々を征服し義を行なった者としてたたえられている。

バラク
Balak

旧約聖書中の人物。モアブの王。アモリ人を破ったイスラエルの民の勢いを恐れてベオルの子パラームを招き,イスラエルを呪詛するように頼んだ (民数記 22~24章) 。その後バラクはイスラエルと戦ったが,神は彼の計画を挫折させたとある (ヨシュア記 24章,ミカ書6・5) 。

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