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アモリ人 アモリじんAmorites; Amurru

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

アモリ人
アモリじん
Amorites; Amurru

前 2000年頃から前 1600年頃までメソポタミアシリアパレスチナを支配した西セム系種族。アムル人とも呼ばれる。初期王朝時代以来,手に負えない遊牧民としてシュメール人たちに知られ,ウル第3王朝滅亡の一要因とされている。前2千年紀後半に,アッシュールにおいてはイラー,カブカブーが,マリにおいてはヤーギド,リムが王位につき,短期間であるがアモリ人のバビロン第1王朝を開いた。またバビロンに王朝を開いたハンムラビの一族もアモリ人である。前 1600年頃から前 1100年頃までにアモリ人の言語はメソポタミアから消滅したが,シリア,パレスチナ方面では依然として優勢であった。

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世界大百科事典 第2版の解説

アモリびと【アモリ人 Amorites】

古代オリエントのセム系住民。アムル人ともいう。前3千年紀後半のアッカド語の文献にすでに,メソポタミアの西に広がるシリア砂漠の未開の半遊牧民の総称としてでてくる。すなわちアモリ人の原意は〈西方人〉である。前2000年ころからアモリ人はメソポタミア沃地に侵入し定着するようになる。中でもユーフラテス川中流域に栄えたマリはアモリ人の国として有名。マリを征服したバビロン第1王朝のハンムラピ王もアモリ人である。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

アモリ人
あもりじん
Amorites

古代の西セム人に属し、アムル人ともいう。アッカド語ではアムッルAmurru、シュメール語ではマルトゥMartu。アムッルは西方を意味する。アモリ人は地中海沿岸カナン周辺の遊牧生活から、紀元前3000年ごろシリアのユーフラテス川中流に定着し、前2200年ごろからメソポタミアに入った。シュメール文明の影響を強く受け、スム・アブム王が出現するに至って、当時アッカド地方を支配していたウル第3王朝を滅ぼし(前2004)、バビロンでアモリ王朝を創設した。これがバビロン第1王朝で、6代目のハムラビ王(在位前1792~前1750)の時代に最盛期に達し、バビロニア全土を支配する大帝国となった。バビロン第1王朝は前16世紀に滅亡するが、この種族は西方のマリやアレッポなどを拠点として活躍している。言語は前12世紀までにバビロニアから消滅するが、その勢力はシリアやパレスチナでは依然として有力であった。しかし特別な王国を築くことはなかった。[糸賀昌昭]

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世界大百科事典内のアモリ人の言及

【シュメール】より

…シュルギ治下のウルにおけるジッグラト(人工の高い重層基壇の上に小祠を頂く聖塔)の造営や,数千頭の牛や数万束のアシを一括した記録の出現に見られるような繁栄や国家的収納機構の整備にもかかわらず,シュメール地方の土地生産力はかなり低下していた。やがて第4代のシュシンの時代にはアムル人(アモリ人(びと))の侵入が目だち,第5代イビシンの治世の末年にはその配下の武将に支配地域の大部分を奪われた後,王朝はエラムによって滅ぼされた。以後メソポタミアの地がアムル人によってますますセム化されていく過程で,政治中心はイシン,ラルサ,バビロン,エシュヌンナ,マリの5強に絞られ,バビロンのハンムラピによる統一の下でシュメール人はアムル人に吸収され,シュメール人の歴史的役割は終りを告げる。…

【シリア】より


[古代の住民と文化]
 住民の基本構成要素は最古の時代からセム系の民族を中心とした。すなわち,アモリ人(アムル人),カナン人,アラム人,ヘブライ人,フェニキア人,ナバテア人,モアブ人,アンモン人,エドム人などの北西セム語系諸族であり,他の民族(ギリシア人,ローマ人,フルリ人など)は一時的に勢力を伸ばしたにとどまった。しかし,これらのセム系民族も主としてアラビア半島の砂漠からの侵入民であり,7世紀以降のアラブの征服・移住も含め,波状の民族移動が起こること自体シリアの特色であった。…

【スキンダイビング】より

…素もぐり,あるいはとくに大がかりな道具を用いずに行う潜水のこと。潜水そのものは古代から魚をとり,海底の貝や海草などをとる技術として行われてきた。また武道の一つとしての潜水技法も開発されてきた。しかし,スポーツとして楽しまれるようになるのは,1930年代のアメリカにおいてであり,それは潜水に便利な水中眼鏡がつくられたことによる。さらにゴム製の足びれや水に顔をつけたまま呼吸ができるJ字型あるいはS字型の管(スノーケルsnokel)がつくられて,水中での移動がいっそう容易になり,それとともに愛好者の数も増加した。…

※「アモリ人」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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