イネ科植物などに含まれる多量のケイ酸が細胞に集積したもの。植物ケイ酸体,植物タンパク石ともいう。とくに葉身にある細胞ケイ酸体は,種により特有の形と大きさを示し,考古学などではこれを利用し,遺跡の土壌や土器の胎土中のプラント・オパールの同定により,農耕の起源に迫ろうとする研究が進められている。熊本県の縄文時代晩期初めの土器からは,イネのプラント・オパールが検出されている。水田遺構の検出にも有効で,青森県南津軽郡田舎館(いなかだて)遺跡では,発掘前のボーリング資料から推定された水田址が,実際の発掘で検出された。また縄文時代以降に形成されたと考えられる黒土に多量のプラント・オパールが含まれており,野焼きによって生じた草原がその供給源と考えられている。
執筆者:野村島 泰生
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