光情報処理(読み)ひかりじょうほうしょり(英語表記)optical information processing

改訂新版 世界大百科事典 「光情報処理」の意味・わかりやすい解説

光情報処理 (ひかりじょうほうしょり)
optical information processing

光の回折,結像などの現象を利用して画像を修正したり特定の情報をとり出したりする処理を光情報処理,あるいは光学的画像処理という。レーザーなどのコヒーレント光(可干渉光)による処理,一般の光を用いた干渉を利用しない処理,電子技術を併用したものなどがある。レーザーなどの光を縞模様に垂直に当てると,これを通過した光は回折を生じ,縞が細かいほど光軸と大きな角度で曲がって進む。コヒーレント光学処理はこの現象を応用したもので,図の例ではスライド状の画像Iで回折が生ずるため,F面での光のパターンから原画のきめの粗さの情報がわかる(F面のパターンは原画の空間周波数スペクトルに対応する)。レンズL2を置くとその焦点P面では原画の像が再生されるが,途中F面で光軸に遠い成分を遮光すると再生画から細かい成分(例えばフィルム粒子の荒れ)が失われ,逆に光軸に近い部分を遮光すると細かい部分が強調(ぼけ修正)される。またホログラフィーを応用した処理ではパターン間の相関が求められ,例えば文書中から文字Aのみ抽出できるが,書体や文字寸法が異なる場合は適用できない。以上の処理は瞬時に行われる利点があり,1970年代まで研究されパターン検査などに実用化されたが,光の波長程度の振動が許されず融通性を欠くところから,ディジタル画像処理が実用になって使われなくなった。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「光情報処理」の意味・わかりやすい解説

光情報処理
ひかりじょうほうしょり

光の伝搬(でんぱん)の並列性を利用した情報処理。光は空間を伝搬しながら2次元(平面)的に同時に並列処理を行うことができる。その並列処理性は画像処理するときに非常に力を発揮する。ある画像をレーザーなどで照射し、そこからの光をレンズに通すことにより、画像のフーリエ変換が一瞬でできる。同様の画像処理は現在の電子コンピュータでも逐次的に処理できるが、演算すべき画像の画素数が大きくなると処理に時間を要する。光情報処理ではどんなに画素数が増えてもほぼ同じ時間で処理できる。光情報処理はホログラフィー技術(ホログラフィックメモリーや3D画像表示)や光コンピュータなどへの応用が進んでいる。

[山本将史 2022年4月19日]

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