朝日日本歴史人物事典 「名見崎徳治(初代)」の解説
名見崎徳治(初代)
生年:生年不詳
江戸中期の富本節の三味線方。2代目富本豊前太夫が,安永1(1772)年11月中村座に出勤したとき以来,寛政6(1794)年まで,富本節の立三味線を勤めた。当時,富本の三味線方には,常磐津節から移った佐々木市四郎,初代鳥羽屋里長ら名手もいたが,初代徳治の劇場出演記録は圧倒的に多く,彼らをもしのぐ名手であったことがうかがわれる。「相撲・鴛鴦」「鞍馬獅子」「浅間」「身替りお俊」など,富本節の代表曲はいずれも,2代目豊前太夫と初代徳治が太夫と三味線のコンビを組んだ時代に生まれている。2代目は初代の子。
(根岸正海)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報