鞍馬獅子(読み)クラマジシ

デジタル大辞泉 「鞍馬獅子」の意味・読み・例文・類語

くらまじし【鞍馬獅子】

歌舞伎舞踊富本、のち清元本名題夫婦酒替奴中仲みょうとざけかわらぬなかなか」。中村重助作詞、名見崎徳治作曲。安永6年(1777)江戸市村座初演義経が殺されたと聞いて狂乱する静御前太神楽だいかぐらに身をやつした御厩おんまやの喜三太、もち売り・酒売りの夫婦に姿を変えた女夫狐みょうとぎつねを配したもの。

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精選版 日本国語大辞典 「鞍馬獅子」の意味・読み・例文・類語

くらまじし【鞍馬獅子】

  1. 歌舞伎所作事。富本(清元)。中村重助作詞。名見崎徳治作曲。本名題「夫婦酒替奴中仲(みょうとざけかわらぬなかなか)」。安永六年(一七七七)江戸市村座初演。義経が殺されたと聞いて狂乱する静御前と、太神楽(だいかぐら)角兵衛にふんする御厩(おんまや)の喜三太の踊りに、餠(もち)・酒を売る夫婦(実はキツネ)の踊りを配したもの。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「鞍馬獅子」の意味・わかりやすい解説

鞍馬獅子
くらまじし

歌舞伎(かぶき)舞踊劇。清元(きよもと)。本名題(ほんなだい)『夫婦酒替奴中仲(めおとざけかわらぬなかなか)』。初世中村重助作。原曲は富本(とみもと)で名見崎徳治(なみさきとくじ)作曲。西川扇蔵振付け。1777年(安永6)11月、江戸・市村座で3世瀬川菊之丞(きくのじょう)の静御前、初世中村仲蔵の御厩喜三太(おうまやきさんだ)により初演された。顔見世狂言『児華表飛入阿紫(ちごとりいとびいりきつね)』の一番目大詰で、義経(よしつね)の死を悲しんで狂気した静御前が、薙刀(なぎなた)を手に伊勢(いせ)の御裳裾(みもすそ)川のほとりをさまようのを、太神楽(だいかぐら)に身をやつした喜三太が戯れかかり、ともに鞍馬へ向かう。原作には下の巻として酒売りと餅(もち)売りに姿を変えた女夫狐(めおとぎつね)がからむ話があったが、上の巻だけ伝わり、幕末には清元に改曲、また静御前は卿(きょう)の君の役に改められ現在に残った。喜三太演ずる神楽の仕方話(しかたばなし)、狂女と獅子舞のからみなどが眼目である。

[松井俊諭]

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改訂新版 世界大百科事典 「鞍馬獅子」の意味・わかりやすい解説

鞍馬獅子 (くらまじし)

歌舞伎舞踊の曲名。富本。本名題《夫婦酒替奴中仲(めおとざけかわらぬなかなか)》。1777年(安永6)11月江戸市村座で静御前を3世瀬川菊之丞,喜三太を初世中村仲蔵により初演。作詞中村重助。作曲名見崎徳治。振付西川扇蔵。顔見世狂言の大切所作事で,長編であったが,前半の狂女と太神楽(だいかぐら)のからみだけ残る。義経が死んだと聞き狂気となった静御前(現在は卿の君)が形見の薙刀(なぎなた)を持って出,太神楽実は御厩喜三太がからむという筋。のちに清元に移された。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「鞍馬獅子」の意味・わかりやすい解説

鞍馬獅子
くらまじし

歌舞伎舞踊曲。本名題『夫婦酒替ぬ中仲 (めおとざけかわらぬなかなか) 』。作詞中村重助,作曲名見崎徳治,振付2世西川扇蔵。初演は富本,のちに清元に移調される。現行のものは原作の前半にあたる。狂乱の静御前に,角兵衛,実は喜三太が獅子舞を舞い,からんで踊る。

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「鞍馬獅子」の解説

鞍馬獅子
(通称)
くらまじし

歌舞伎・浄瑠璃外題
元の外題
夫婦酒替奴中仲 など
初演
安永6.11(江戸・市村座)

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