お夏狂乱(読み)おなつきょうらん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

お夏狂乱
おなつきょうらん

歌舞伎舞踊曲。常磐津。 1908年坪内逍遙が『お夏物狂い』の題で『早稲田文学』に発表。 14年東京帝国劇場で,6世尾上梅幸により初演。作曲6世常磐津文字太夫,振付2世藤間勘右衛門。逍遥による新舞踊の代表作の一つ。富本節などの先行作があるがそれを避けて,井原西鶴作『好色五人女』のお夏清十郎にモチーフをとり,清十郎と引裂かれたために狂う女のさまを近代的な視点から描写した。3世清元梅吉の改曲により清元でも演じられる。

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世界大百科事典 第2版の解説

おなつきょうらん【お夏狂乱】

歌舞伎舞踊。常磐津。坪内逍遥作詞,2世常磐津文字兵衛作曲。1914年9月東京帝国劇場でお夏を6世尾上梅幸,馬士を7世松本幸四郎により初演。台本は井原西鶴の《好色五人女》に材をとり舞踊劇革新の意図で作ったもの。1908年《お夏物狂い》として発表された。秋の野を清十郎恋しさに狂気となったお夏がさまよう。子どもらにからかわれたり,酔った馬士がからんだりする。演技面のみならず,大道具鳴物,鬘などにも逍遥の思想が反映された。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

お夏狂乱
おなつきょうらん

歌舞伎(かぶき)舞踊劇。常磐津(ときわず)。坪内逍遙(しょうよう)作詞、2世常磐津文字兵衛(もじべえ)作曲、2世藤間勘右衞門(かんえもん)振付け。1914年(大正3)9月東京・帝国劇場で6世尾上(おのえ)梅幸のお夏、7世松本幸四郎の馬士(まご)により初演。お夏清十郎の情話に取材し、恋人清十郎に死別して乱心したお夏が秋の田舎(いなか)道をさまよう姿を、里の子、酔った馬士、順礼の老夫婦などを配して詩情豊かに哀れに描く。「新楽劇論」で日本舞踊の芸術的改革を提唱した逍遙が、自己の理論の実践を試みた作品で、好評を得て、いわゆる新舞踊の代表作となった。[松井俊諭]

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