因て・依て・仍て(読み)よって

精選版 日本国語大辞典 「因て・依て・仍て」の意味・読み・例文・類語

よっ‐て【因て・依て・仍て】

[1] 〘接続〙 (動詞「よる(寄)」の連用形に助詞「て」の付いた「よりて」の変化してできた語。漢文訓読から生じた) 前の事柄が原因・理由になって、後の事柄が起こることを示す。だから。故に。よて。
※高野本平家(13C前)二「謀反の輩(ともがら)からめとるべき由下知せらる。仍(ヨッテ)二百余き三百余騎あそこここにおしよせおしよせからめとる」
[2] 〘接助〙 (活用語の終止形に付き)理由・原因を表わす。ので。よて。
咄本・軽口五色紙(1774)下「イヤ、剥がれると悪いよって、裸体で来た」
[語誌](1)(一)の出現時期については、読み仮名・送り仮名が無い場合の「因」「依」「仍」を「よりて」「よって」のどちらに読むのか断定できないため、鎌倉時代初頭頃までさかのぼる可能性がある。
(2)(二)は近世上方語で「によって」から変化し、一八世紀後半から一般化した。→よる(寄)(三)③

より‐て【因て・依て・仍て】

〘接続〙 =よって(因━)
千載(1187)序「伝教大師はわがたつ杣(そま)のことばをのこせり。よりて世々のみかどもこのみちをばすて給はざるをや」
歎異抄(13C後)三「他力をたのみたてまつる悪人もと往生正因なり。よりて善人だにこそ往生すれ」

よ‐て【因て・依て・仍て】

〘接続〙 (「よりて」の変化した「よって」の促音「っ」の無表記) =よって(因━)色葉字類抄(1177‐81)〕
※夢庵記(1504‐16頃)「四時の花万木にたえず。是をもてあそびて晨夕老を忘る。よて書院を弄花軒と号す」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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