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送り仮名 おくりがな

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

送り仮名
おくりがな

漢字とかなを使って単語を表記する場合,その漢字の読み方を示すためにそのあとに添えられるかなをさす。ただし,合成語では各構成部分についていわれる。起源的には漢文の訓読にさかのぼるが,平安時代に漢字仮名交り文が成立して以来,習慣的に用いられるようになった。漢字の誤読を避けるという実用的目的によるもので,用法が一定しておらず,名称も「捨て仮名」「添え仮名」という補助的な呼び方をされたりした。いまでも送り仮名は,人により,文脈により一定しておらず,1973年に公布された「送りがなの付け方」自体一貫した原則に基づいているとはいえない点がある。これには,実際の文脈において,送り仮名の有無により読み方が左右されることがそう多くはない点もからんでいる。

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デジタル大辞泉の解説

おくり‐がな【送り仮名】

言葉を漢字を使って書き表す場合に、誤読を避け読みやすくするために、その漢字に添える仮名。「明かり」「明るい」「明ける」「明らか」の「かり」「るい」「ける」「らか」の類。送り。
漢文の訓読を助けるために、漢字の右下に小さく添える仮名。片仮名活用語尾助詞助動詞などを添える。添え仮名。捨て仮名。

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百科事典マイペディアの解説

送り仮名【おくりがな】

漢字と仮名を交えて日本語を記すとき,漢字の読み方を限定するために添える仮名。〈書く〉〈静か〉の〈く〉〈か〉など。もと漢文に訓点で字の読み方を注することから起こり,漢字仮名交じり文でも用いられた。

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世界大百科事典 第2版の解説

おくりがな【送り仮名】

日本語を漢字と仮名とで書く場合,漢字の読み方をはっきり限定するために添える仮名。たとえば〈行く〉〈美しい〉の〈く〉〈しい〉などが送り仮名であるが,〈起る〉〈細い〉のような場合,それぞれ〈おきる〉〈おこる〉,〈ほそい〉〈こまかい〉と二様に読まれるおそれがあるときは,〈起きる〉〈起こる〉,〈細い〉〈細かい〉と送り仮名して読み方を明らかにすることができる。すでに送り仮名の芽ばえは奈良時代の万葉仮名の中にある。

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大辞林 第三版の解説

おくりがな【送り仮名】

漢字仮名交じりの文を書く時、漢字の読みを補うためにその字の下に付ける仮名。「書く」の「く」、「長い」の「い」など。
漢文訓読の際、その読みを示すために漢字の右下に付ける仮名。片仮名で、助詞や活用語尾などを示す。捨て仮名。そえがな。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

送り仮名
おくりがな

単語を漢字と仮名で表記する場合、漢字のあとに書き添える仮名の部分をいう。古くは副(そえ)仮名、捨(す)て仮名ともいった。漢字の読みを明らかにし、誤読のないように、単語の末尾の部分を示すのである。「さん」「湿しん」のように、接頭語、接尾語や漢語の一部などを記した仮名の部分は、漢字の読みを明らかにするためのものではないから、送り仮名ではない。[沖森卓也]

送り仮名の歴史

送り仮名は、漢字の訓義を借りて日本語の表記に用いた段階から行われたもので、「常念弊利(つねにおもへど)」(『万葉集』巻4)「他支事交倍波(ほかしきことまじへば)」(天平勝宝(てんぴょうしょうほう)九年宣命(せんみょう))など、奈良時代にすでに万葉仮名でみえる。後者の宣命体は仮名の発達に伴って平仮名宣命体、片仮名宣命体となり、中世以降は小字の仮名も大きく表記することが多くなった。また平仮名文でもしだいに漢字を交え用いるようになって、送り仮名が行われるに至った。漢文の訓点で漢字の読みを傍らに記入することも、形式的には似たものである。しかし、これらの送り仮名のつけ方は一様ではなく、活用語尾などは記さないことも少なくなかった。読みが明らかな場合には、ことさらに送り仮名をつける必要がないから、法則的に活用語尾などを送る習慣もなかったのである。
 そのような無秩序なつけ方では実務上不便であることから、明治以降、送り仮名の整理統一が説かれるようになった。送り仮名のつけ方に関する規則、すなわち送り仮名法がいくつか提出されたが、なかでも1907年(明治40)の国語調査委員会「送仮名法」は比較的広く行われた。
 1959年(昭和34)、それまでまちまちであった送り仮名法に対して、初めての公的な基準「送りがなのつけ方」が内閣訓令・告示をもって定められた。これを改定して、73年に「送り仮名の付け方」が内閣訓令・告示をもって公布された。これは七つの通則からなり、本則のほか例外、許容を設けている。改定前のものに比べて、例外、許容を大幅に認めるとともに、その運用は個々人の自由な選択にゆだねるようになっている。[沖森卓也]

改定送り仮名の付け方

その大要を次に示す(〈 〉内は語例)。
通則1 本則―活用のある語(通則2を適用する語を除く)は、活用語尾を送る〈憤、荒、主〉。
例外―語幹がシで終わる形容詞は、「し」から送り〈著い〉、活用語尾の前にカ、ヤカ、ラカを含む形容動詞は、その音節から送る〈暖だ、穏やかだ〉。また「あじわう、あわれだ」などは〈味う、哀だ〉のように送る。
許容―〈表す(表す)、行う(行う)〉などは、( )の中に示すように送ることができる。
注意―語幹と活用語尾との区別がつかない動詞は、たとえば〈着、寝、来〉などのように送る。
通則2 本則―活用語尾以外の部分に他の語を含む語は、含まれている語の送り仮名の付け方によって送る(含まれている語を〔 〕の中に示す)〈動かす〔動く〕、勇ましい〔勇む〕、んずる〔重い〕、細かい〔細かだ〕、ばむ〔汗〕、後ろめたい〔後ろ〕〉。
許容―〈浮ぶ(浮ぶ)、晴やかだ(晴やかだ)〉などは、( )の中に示すように、送り仮名を省くことができる。
注意―〈明るい〔明ける〕、悔しい〔悔いる〕〉などは、〔 〕の中に示す語を含むものとは考えず、通則1によるものとする。
通則3 本則―名詞(通則4を適用する語を除く)は、送り仮名を付けない〈月、男、彼〉。
例外―〈辺、情、自〉などは、最後の音節を送る。数をかぞえるツを含む名詞は、その「つ」を送る〈一、幾〉。
通則4 本則―活用のある語から転じた名詞および活用のある語にサ、ミ、ゲなどの接尾語が付いて名詞になったものは、もとの語の送り仮名の付け方によって送る〈動、大さ、明み、惜げ〉。
例外―〈謡、折〉などは、送り仮名を付けない。ただし、この例外は、動詞の意識が残っているような使い方の場合には該当しない。
許容―〈曇(曇)、当り(当り)〉などは、( )の中に示すように、送り仮名を省くことができる。
通則5 本則―副詞、連体詞、接続詞は、最後の音節を送る〈必、来、及〉。
例外―「あくる、おおいに」などは〈明くる、大いに〉のように送る。〈又〉は送り仮名を付けない。他の語を含む語は、含まれている語の送り仮名の付け方によって送る〈併せて〔併せる〕、辛うじて〔辛い〕〉。
通則6 本則―複合の語(通則7を適用する語を除く)の送り仮名は、その複合の語を書き表す漢字の、それぞれの音訓を用いた単独の語の送り仮名の付け方による〈書、斜左、田植、申、休〉。
許容―〈書抜く(書抜く)、田植(田植)、申(申込み、申込)〉などは、( )の中に示すように、送り仮名を省くことができる。
通則7 本則―複合の語のうち、特定の領域で、または一般に慣用が固定していると認められる名詞は、送り仮名を付けない〈関取、博多織、書留、木立、合図、受付〉。
注意―慣用が固定しているかどうか、通則7の適用に判断がつかない場合には、通則6を適用する。[沖森卓也]
『『送り仮名法資料集』(『国立国語研究所資料集 3』1952・国立国語研究所)』

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