川越祭り(読み)かわごえまつり

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「川越祭り」の意味・わかりやすい解説

川越祭り
かわごえまつり

埼玉県川越市に鎮座する川越氷川神社の例祭。かつては毎年 10月14日に例祭,翌 15日に神幸祭が行なわれていたが,今日では 14日の例祭後の土曜日,日曜日に神幸祭および山車行事が行なわれている。慶安1(1648)年に,川越城主松平信綱神輿太鼓などを寄進して祭りを奨励したのをうけて,慶安4(1651)年に江戸の天下祭(神田祭山王祭)にならって神幸祭を始めたのが起源とされ,氏子 28町内が出す山車の引き回しで知られる。山車は,囃子方の乗る舞台が 360°回転し,最上部はせり出し式で,神話や歴史上の人物の人形を御神像として載せる。川越の中心部を神輿のあとについて巡行するほか各所を引き回し,他町の山車とはちあわせした際には,お互いに向き合って囃子の競演をする「曳っかわせ」が行なわれる。囃子は,もとは周辺農村が担っていたもので,江戸の葛西囃子系(→祭囃子)が伝えられており,太鼓締太鼓の音に乗せて天狐や獅子,おかめやひょっとこなどが登場する。江戸時代後期には傘鉾踊り屋台なども出ていたが,遅くとも天保15(1844)年までに一本柱の上に人形を載せる山車となり,明治から大正にかけて今日のような回転舞台をもつ豪華な山車が登場した。2005年に「川越氷川祭の山車行事」として国の重要無形民俗文化財に指定され,2016年には「山・鉾・屋台行事」の一つとして国際連合教育科学文化機関 UNESCO世界無形遺産に登録された。

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