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てきdi

翻訳|di

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説


てき
di

中国の横笛。中国の史料には,笛の字は漢代から現れる。漢代の軍楽および俗楽で用いられた横笛は,胡人から輸入したもので横吹と呼ばれた。隋・唐代に盛んに行われた西域楽の横笛はインド系である。後世各種の笛が俗楽でも雅楽でも用いられた。指孔は5~7孔である。俗楽用のは笛子という。


ふえ

楽器名,または楽器分類名。一般的には,管楽器のなかでも縦または横吹きの無簧楽器をいう。リコーダーフルート鼻笛などが含まれる。日本の伝統的な管楽器について用いるときには,現在では縦吹きのもの,つまり尺八類を除外するのが普通である。古くは気鳴楽器の総称としても用いられ,縦吹きの尺八はもちろん,笙のような有簧楽器も含まれた。各種目ごとでは,それぞれが用いる横吹管楽器を単に「ふえ」といい,同類を2種以上併用する場合には,そのなかの特定の1種だけを「ふえ」という。たとえば雅楽の竜笛 (りゅうてき) ,能楽能管,歌舞伎囃子や民俗芸能篠笛など。

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デジタル大辞泉の解説

ちゃく【笛】

ふえ。また、ふえの音。
「簫(せう)、―、琴…その音も妙(たへ)なりといへども」〈沙石集・六〉

てき【笛】[漢字項目]

[音]テキ(漢) [訓]ふえ
学習漢字]3年
〈テキ〉管楽器の一。ふえ。「汽笛銀笛警笛鼓笛牧笛魔笛霧笛
〈ふえ(ぶえ)〉「草笛口笛角笛横笛
[難読]横笛(ようじょう)

ふえ【笛】

管楽器のうち、らっぱ類を除いたものの一般的呼称。フルート篠笛(しのぶえ)などの横笛と、リコーダー尺八篳篥(ひちりき)などの縦笛に分けられる。また、口笛草笛など。
特に、横笛のこと。
呼び子ホイッスルなど、合図に吹き鳴らすもの。「集合のが鳴る」
汽笛
(「吭」とも書く)のどぶえ
「横に―を切ったが、それでは死に切れなかったので」〈鴎外高瀬舟
[下接語]竽(う)の笛・笙(しょう)の笛早笛(ぶえ)葦(あし)笛鶯(うぐいす)笛神楽(かぐら)笛烏(からす)笛雉(きじ)笛草笛口笛駒(こま)笛高麗(こま)笛鹿(しか)笛篠(しの)笛柴(しば)笛蝉(せみ)笛竹笛縦笛調子笛角(つの)笛唐人笛鳥笛喉(のど)笛鳩(はと)笛鼻笛雲雀(ひばり)笛牧(まき)笛麦笛虫笛虎落(もがり)笛指笛横笛

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百科事典マイペディアの解説

笛【ふえ】

管楽器,特に木管楽器に対する一般的な呼び名。日本の場合は竜笛(りゅうてき)(横笛),篠笛(しのぶえ),篳篥(ひちりき),尺八など。

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能楽事典の解説

能で使われる笛は、横笛属の中では能管(のうかん)と呼ばれ、竹で作られています。
能管は能の楽器の中で唯一のメロディ楽器で、序ノ舞や中ノ舞などの舞の部分では拍子(リズム)に合った旋律を奏でます。能の笛は、一本一本、長さ太さなどに若の差があり、音色にもそれぞれに個性があります。

出典 社団法人能楽協会能楽事典について 情報

世界大百科事典 第2版の解説

てき【笛 dí】

中国のノンリード管楽器。八音(はちおん)の分類では竹の部に属する。雅楽,俗楽に多くの種類の笛が用いられてきた。笛という字は漢代ころから使用され,それ以前の周代では横笛を篴(てき)と書いた。漢代に胡人の横笛が伝わって横吹と呼ばれ,軍楽,俗楽に用いられた。その後,種々の笛が雅楽,俗楽,胡楽で使用されたが,南北朝,隋・唐の時代の胡楽の笛はインド系と考えられている。指孔は5~8。元以後は俗楽器として戯劇の伴奏に用いられ,明の崑曲(こんきよく)では笛が主要楽器となった。

ふえ【笛】

〈ふきえ(吹柄,吹枝)〉の意から生じたともいわれる古来の言葉で,元来は吹いて鳴らす楽器一般を指し,吹奏楽器とか管楽器など近代の用語とも範囲がほぼ重なる。しかし日本では,それらのなかでもいわゆる横笛の類が多用され,とくに親しまれてきたため,笛といえば横笛のことという観念もまた強い。 横笛とは竜笛(りゆうてき),能管篠笛等々を指す俗称で,演奏時の構えに由来する呼び方であるが,原理的・構造的にも共通性があり,和楽器以外(たとえば洋楽のフルート)にも適用が可能である。

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大辞林 第三版の解説

ちゃく【笛】

〔呉音〕
ふえ。 「簫しよう・-・琴きん・箜篌くご、孤雲の外ほかに満ち満ちて/謡曲・羽衣」

ふえ【笛】

管楽器の一般的呼称。リコーダー・尺八などの縦笛、フルート・能管などの横笛に大別するほか、クラリネット・篳篥ひちりきなどリード(簧こう・舌)をもつ吹奏楽器をも含む。狭義には、日本古来の横笛をさすことが多い。
合図のために息を吹き込んで音を出す道具。呼び子・ホイッスルなど。 「 -を合図に集合する」
汽笛きてき
[句項目] 笛吹けども踊らず

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説


ふえ

日本における吹いて鳴らす楽器の総称。語源はフキエ(吹柄・吹枝)あるいはフキイルネ(吹気入音)の略など諸説あり、さだかではない。今日笛という語はもっとも広義には、吹き方、リード(簧(こう))のあるなし、形態を問わず、吹奏楽器の総称の意味で用いられるが、狭義にはこのうち横笛、すなわちリードのない横吹きフルートのみをさすことが多い。これは日本ではとくに横笛が優れて発達したためで、世界には横笛をもたない民族も多いことを考え合わせると、横笛の発達は日本を含めて東アジア音楽の特徴の一つといえよう。英語で笛にあたるものにフルートflute、パイプpipe、ホイッスルwhistleなど各種あるが、日本では洋楽器のうち主として木管楽器類をさすことが多く、トランペットのようにマウスピースを用いる金管楽器類は「らっぱ」とよんで区別していた。
 日本における笛の歴史は古く、『古事記』や『日本書紀』にも記述がみられる。古来、日本人は音楽のことを「ふえつづみ」と呼び習わして親しんできたが、最古の笛がどのような形態であったのかは不明である。ここでは横笛、縦笛、その他、の3種に分けて考察する。[川口明子]

横笛

雅楽で用いられる横笛に神楽笛(かぐらぶえ)(和笛(やまとぶえ)、太笛(ふとぶえ))、竜笛(りゅうてき)(横笛(おうてき))、高麗(狛)笛(こまぶえ)の3種があるが、雅楽で「笛」というととくに竜笛のことだけをさす。神楽笛はほかの二つが大陸から輸入される以前に存在した日本古来の笛だともいわれるが、さだかではない。室町時代になると能楽の興隆とともに竜笛を改作した能管が現れた。さらに、歌謡にあうようなより柔和な音色の篠笛(しのぶえ)も生まれ、江戸時代には歌舞伎囃子(かぶきばやし)をはじめ各地の民俗芸能などで広く用いられた。このほか中国から伝わった明清楽(みんしんがく)用の明笛(みんてき)や清笛(しんてき)も愛用され、西洋音楽にも適合するので明治時代に流行した。
 これらの横笛はすべて竹製で、竹の表面そのままのものと、割れにくいように表面をカバやサクラの皮で巻いて漆を塗って固めたものとがある。後者は乾湿の変化の激しい気候にあわせた日本独特のくふうである。指孔は6孔または7孔だが、吹口と指孔にキーのような特別の仕掛けはなく、その簡素な構造ゆえに可能な、微妙な息づかいや指づかいの妙技により、微小音程や音色のあやを粋(すい)とする繊細で豊かな表現を生み出している。[川口明子]

縦笛

リードを用いないものに一節切(ひとよぎり)、尺八、天吹(てんぷく)などの尺八系の笛が、リードを用いるものに雅楽の篳篥(ひちりき)、屋台の中華そばでおなじみのチャルメラ(いずれも2枚リード)などがあるが、リードを用いる管楽器は笛に含めないこともある。このほかホイッスル式のリコーダーも今日では教育楽器として広く普及し、縦笛の愛称で親しまれている。[川口明子]

その他

丸型・容器型のものとして石に穴をあけて吹く石笛や岩笛、土で壺(つぼ)型をつくってそれに吹口と指孔をつけた土笛(中国の(けん)と同型)なども古代の遺跡から発掘されている。このほか雅楽の笙(しょう)や山伏の楽器ともいえる法螺貝(ほらがい)、さらに草笛・麦笛など自然の植物を利用したものや、口笛、指笛なども広義には笛に入れられよう。また、歌舞伎でも黒御簾(くろみす)でさまざまな鳥の鳴き声や虫の音を模倣した擬音笛が用いられている。世界にはこのほか鼻で吹く鼻笛(オセアニアなど)や、パンパイプのような多数管、インドの蛇使いの笛プーンギのような複管、バッグパイプのようなふいご式など、種々の笛がある。[川口明子]

玩具

笛を玩具(がんぐ)化したものは数多く、音の出るおもちゃとして、玩具のなかで大きな分野を占めているが、古くは草笛、麦笛などの自然物玩具の程度にすぎなかった。玩具としての笛が発達したのは江戸時代に入ってからで、その先駆をなすものは鶯笛(うぐいすぶえ)以下の鳥寄せ笛である。鶯笛は10センチメートルほどの竹製のもので、指でその両端を押さえ、指先の開閉でウグイスのさえずりに似た音を出す。1633年(寛永10)刊の『犬子(えのこ)集』に、「けふははや鶯笛もねの日かな」とあり、当時すでに用いられていたが、まだ鳥寄せや芝居の擬音用などのものであった。元禄(げんろく)年間(1688~1704)前後は、鶯笛に次いで、雲雀(ひばり)笛や伊勢(いせ)参宮土産(みやげ)の笙(しょう)の笛が子供たちに親しまれるようになった。笙の笛とは、篳篥(ひちりき)に似た音を出す短い縦笛と推察されるが、これは子守歌にも詠み込まれ、江戸時代を通じて長い期間愛玩された。このほか、頭に獅子(しし)を飾り付けた獅子笛、子供をあやす猿松(さるまつ)笛などもあった。鶯笛は会津若松(福島県)で、「初音(はつね)の笛」の名で正月の縁起物玩具として売られるほか、大正時代から昭和期にかけて、日光(栃木県)、善光寺(長野県)、伊勢(三重県)、屋島(香川県)など各地に郷土玩具としてあり、現在も観光地などにみられる。
 笙の笛に続いて中国からチャルメラ形の唐人笛が伝来し、乳児用の鳴り物玩具としてつくられた。野沢温泉(長野県)にはアケビ細工のものがある。また管の中に経木(きょうぎ)などの舌をつけた「ぴいぴい」や、土製の鳥笛などが子供たちに愛用された。
 明治以降は、外国から輸入された新しい材料や製作技法で、育児玩具などが各種出回っているが、筒を吹くと巻紙が伸びる巻笛、ゴム風船が取り付けてあって、風船がしぼむとき笛が鳴る毛笛がある。また江戸期から明治にかけて、金属製のビヤボンという笛玩具が流行したほか、土製の鳩笛(はとぶえ)や木製の挽物(ひきもの)細工、竹笛、張り子製など、現在も郷土玩具として全国各地にみられるものが少なくない。[斎藤良輔]
『赤井逸著『音楽選書 53 笛ものがたり』(1987・音楽之友社)』

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世界大百科事典内のの言及

【雅楽】より


【楽器】
 管楽器,弦楽器,打楽器の3種は,それぞれ奏法によって,〈吹きもの〉〈弾きもの〉〈打ちもの〉とよばれる(表1)。〈吹きもの〉には篳篥(ひちりき)と各種の笛,(しよう)がある。篳篥は最も多くの種目で用いられる重要な楽器で,〈塩梅(えんばい∥あんばい)〉というポルタメントの効いた奏法に特徴があり,大きな音量で曲の骨格となる旋律を奏する。…

【楽器】より

… 音楽の模倣起源説は動物の鳴声の模倣から音楽が発生したとみなすのであるが,肉声だけでなく道具を用いて動物の鳴声をまねるものも多い。今でも狩猟民はこのような道具を使うが,日本の鹿笛などもその一例である。これらが楽器に転用されたと考えることもできる。…

【篠笛】より

…日本の管楽器。横笛。竹笛あるいは単に笛,〈しの〉ともいう。…

【日本音楽】より

…この変化は改革ではなく,別系統の琴の制覇ではあるまいか。ほかに竹製横吹きの笛と皮を張った打楽器があった。前者は〈やまとぶえ(大和笛,倭笛)〉と呼ばれ,後者は〈つづみ(鼓)〉と呼ばれる。…

【能】より

…構造面では能本(のうほん)の詞章やその小段(しようだん)構成など,技法面では謡の美を息扱いとリズムの細かな変化に求めることなどがそれである。なお,囃子は,世阿弥のころすでに笛,鼓(つづみ),太鼓(たいこ)が用いられていたが,小鼓(こつづみ),大鼓(おおつづみ)の区別があった確証はなく,現在の囃子の楽型が確認できる資料は,江戸時代初頭のものまでしかさかのぼれない。狂言猿楽
【能本】
 能の脚本を古くは能本と呼んだ。…

【能管】より

…日本の横笛の一種。能・狂言においては唯一の旋律楽器であり,歌舞伎囃子,江戸の里神楽,京都の祇園囃子などでも用いられる。…

※「笛」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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