東京都千代田区外神田(そとかんだ)2丁目に鎮座する神田神社(旧府社、通称神田明神)の例祭。通称、神田明神祭。江戸時代に将軍の上覧に供することで赤坂山王権現(さんのうごんげん)(日枝(ひえ)神社)の大祭とともに天下祭、御用祭と称される盛大な祭りであった。毎年行われていたが、1681年(天和1)以後、山王権現と隔年で行われるようになったため、丑(うし)、卯(う)、巳(み)、未(ひつじ)、酉(とり)、亥(い)の年を大祭とし、それ以外の年を蔭祭(かげまつり)とした。大祭は江戸町人生粋(きっすい)の心意気を示す江戸っ子、神田っ子の祭りとして京都の祇園祭(ぎおんまつり)、大阪の天満天神祭(てんまてんじんまつり)の両祭とともに日本三大祭とも自称する。もと神田橋御門内の将門首塚(しょうもんくびづか)(大手町に現存)を創祀(そうし)とし、元和(げんな)年間(1615~24)に現社地へ移転した神田明神は、主祭神に大己貴命(おおなむちのみこと)、少彦名命(すくなひこなのみこと)を祀(まつ)るが、地元氏子(うじこ)の信仰は相殿神(あいどのしん)の平将門(まさかど)霊にあり、その点で祇園、天満とともに一種の御霊(ごりょう)祭の性格もある。もと旧暦9月14日から17日まで江戸城内を含む神田、京橋、下谷(したや)に神幸行列を繰り出し、最盛期には各町内より33番の山車(だし)が供奉(ぐぶ)したが、明治以後は祭日を5月中旬に変更し、たび重なる震災、戦災で山車を焼失したこともあって、現在では神輿(みこし)を中心とした祭りとなっている。
[薗田 稔]
歌舞伎(かぶき)舞踊。清元。本名題(ほんなだい)『〆能色相図(しめろやれいろのかけごえ)』。三升屋二三治(みますやにそうじ)作詞・2世清元斎兵衛作曲。1839年(天保10)9月、江戸・河原崎(かわらさき)座で市川海老蔵(えびぞう)(前名7世団十郎)、沢村訥升(とっしょう)(5世宗十郎)らにより初演。江戸の三大祭の一つとされる神田祭の情景を描いたもので、上下2段のうち下の巻だけが後世に残った。鳶頭(とびがしら)と芸者の手古舞(てこまい)の踊りで、華やかな手踊りから、芸者のクドキ、鳶頭の投節(なげぶし)などがあって、木遣(きやり)で終わる。振りは流派によって差があるが、江戸の祭りらしい粋(いき)な感覚が興味の中心。なお別に、1911年(明治44)演奏会で発表された幸堂得知(こうどうとくち)作詞、3世杵屋(きねや)六四郎・4世吉住小三郎作曲の長唄(ながうた)『神田祭』がある。
[松井俊諭]
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東京都千代田区に鎮座する神田神社の5月15日を中心とする祭り。江戸時代より山王日枝神社の山王祭とともにその豪華さをもって〈天下祭〉と呼ばれた。また徳川将軍家の上覧があることから〈御用祭〉とも称せられた。もとは9月15日を中心に行われ,毎年同じように執行されたが,1681年(天和1)以降山王社と隔年で行うようになり,以後一時変動があったものの,丑・卯・巳・未・酉・亥年に大祭を行い,その他の年は蔭祭といった。さらに88年(元禄1)からは,神輿(みこし)が江戸城内に入り大変にぎわった。氏子各町内からは山車・屋台踊・太神楽などが数多く出て,その趣向がつねに江戸の話題になったという。9月14日が宵祭(よいまつり)で,15日が本祭であったが,しだいに一日に巡幸することが不可能になり延長された。1890-91年のコレラ流行以降,祭日を現在の5月に改めた。この祭りの様式は,関東各地の祭りに大きな影響を及ぼした。
執筆者:茂木 貞純
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東京都千代田区にある神田神社の祭。山王祭とともに,徳川将軍が上覧したことから天下祭・御用祭ともいう。もとは9月15日に行われたが,現在は5月15日。1681年(天和元)氏子の負担を軽くする名目で幕府が介入し,山王祭と隔年で行われるようになった。祭を行わない年を,本祭に対して陰祭(かげまつり)という。祭では,社家が馬に乗って2基の神輿とともに行列の中心となり,各町からでた36基の山車(だし),雇(やとい)祭とよばれる歌舞の列とともに巡幸した。幕末には将軍の上覧がなくなり,盛時ほどではないが現在でも東京有数の祭。
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…63年,吉住慈恭(じきよう)と改名。作曲には《鳥羽の恋塚》《醍醐の花見》などが,六四郎との合作には《紀文大尽(きぶんだいじん)》《神田祭》《お七》《みやこ風流》などがある。(5)5世(1908‐83∥明治41‐昭和58) 4世の子。…
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