国際連合教育科学文化機関UNESCOの「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表(無形文化遺産代表リスト)」Representative List of the Intangible Cultural Heritage of Humanityに記載された無形の文化財。遺産は,「無形文化遺産の保護に関する条約」(無形文化遺産保護条約)に基づいて選定される。条約は 2003年に世界各地の口承による伝統・表現,芸能,社会的慣習,儀式・祭礼行事,伝統工芸技術などの無形文化の保護を目的として UNESCO総会で採択され,2006年に発効した。保護基金創設のほか,代表的な遺産のリスト作成などを定めている。任期 4年 24ヵ国で構成される委員会が,条約加盟国から推薦を受けた遺産について登録を決定する。特に消滅の危機にあるものについては,「緊急に保護する必要がある無形文化遺産の一覧表」に登録する。条約発効に先立ち,UNESCOは 2001年から隔年で 3回にわたり「人類の口承及び無形遺産の傑作の宣言」を発表。日本初の遺産となる能楽(→狂言,能),人形浄瑠璃文楽,歌舞伎を含む 90件が傑作と宣言され,2008年代表リストに記載された。その後も日本の無形文化遺産として雅楽,アイヌ古式舞踊(→アイヌ舞踊),和食(→日本料理),和紙,風流踊などが登録された。