恒星進化(読み)こうせいしんか(英語表記)stellar evolution

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「恒星進化」の意味・わかりやすい解説

恒星進化
こうせいしんか
stellar evolution

恒星の誕生から終焉にいたる歴史。恒星は,中心部で原子核反応を起しており,そこで生じた熱を外部に放出することによって輝いている。巨大な自己重力は,高温ガスおよび放射圧力によって支えられており,力学的に安定な状態にある。星間物質が集って星ができると,星の中心部で水素4個をヘリウム1個に変える核反応が行われ,主系列と呼ばれる安定な状態に落ち着く。中心部の水素が尽き,ヘリウムがたまりだすと,ヘリウム核の表面で水素が燃焼する。中心部の温度が上昇するため,星は膨張しだし,光度が大きく表面温度の低い赤色巨星進化する。星の質量が大きいほど,進化の速度は速い。太陽の 15倍の質量をもつ星は,太陽より1万倍明るく,進化の速度は 670倍速い。質量が太陽の 1.4倍 (チャンドラセカールの限界) 以下の星は,重力を電子の縮退圧で支え,白色矮星になる。核反応はそれ以上進まず進化は終る。しかし,質量がそれ以上の星は,ヘリウムを炭素に変えたり,さらに原子番号の大きい元素をつくる核反応を起し,最後に鉄をつくる。質量が太陽の 3.5倍以下の星は,赤色巨星の時代,宇宙空間に質量を放出し,白色矮星になる。それ以上の質量をもつ星は,鉄の中心核ができたのち,超新星爆発を起す。星の外層は吹飛び,あとに中性子星が残る。このとき,中性子星がその限界質量 (太陽の約3倍) よりも大きいとブラックホールになると思われている。星の進化はヘルツスプルング=ラッセル図上で追うことができる。また,近接連星系では,2つの星が進化の途上で互いに質量を交換し,複雑な進化をする。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

自動車税・軽自動車税

自動車税は自動車(軽自動車税の対象となる軽自動車等および固定資産税の対象となる大型特殊自動車を除く)の所有者に対し都道府県が課する税であり、軽自動車税は軽自動車等(原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自...

自動車税・軽自動車税の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android