有刺鉄線(読み)ユウシテッセン(英語表記)barbed wire

翻訳|barbed wire

デジタル大辞泉 「有刺鉄線」の意味・読み・例文・類語

ゆうし‐てっせん〔イウシ‐〕【有刺鉄線】

先を鋭く切った短い針金とげのようにからませた針金。防護用柵などに利用

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精選版 日本国語大辞典 「有刺鉄線」の意味・読み・例文・類語

ゆうし‐てっせん イウシ‥【有刺鉄線】

〘名〙 鉄製の針金のところどころに鋭く切った針金のとげをつけてより合わせたもの。柵などに張りめぐらす。茨線(ばらせん)
※レイテの雨(1948)〈大岡昇平〉「幅十間奥行二十間ほどの有刺鉄線の柵に囲まれた」

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改訂新版 世界大百科事典 「有刺鉄線」の意味・わかりやすい解説

有刺鉄線 (ゆうしてっせん)
barbed wire

2本の針金をより合わせ,短い間隔でとげを植えたもの。鉄条網ともいう。アメリカ西部において農地牧場の囲い用に考案され,1873年,イリノイ州農民グリデンJoseph F.Gliddenが発明したものが実用化,大量生産の先端を切った。グレート・プレーンズ地方では樹木が少なく生垣も満足なものが作れず,東部のように石や木材も利用できなかったので,農民は畑を囲う材料を入手できなかった。放牧されている家畜から農作物を守ることが困難であった農民は有刺鉄線を大いに歓迎し,1880年にはグリデン工場は200台の自動製造機をそなえ,年間8000万ポンドの鉄線を売った。有刺鉄線は牛を傷つけることもあったので,放牧業者に敵視されたが,結局,家畜をも安上がりに囲うことができるので,放飼いはすたれ,品種改良にも貢献した。農民によるグレート・プレーンズの開拓を可能にしたのは有刺鉄線であったとする歴史家もいる。20世紀にはいると,戦時の障害物としても利用されはじめた。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「有刺鉄線」の意味・わかりやすい解説

有刺鉄線
ゆうしてっせん
barbed wire

鉄条網ともいう。2本の亜鉛メッキ鉄線に一定間隔にとげを巻きつけたのち,2本の針金をより合せたもの。4点とげが標準物。かつて軍需用 (鉄条網) として多く使用されていたが,現在では垣根用,塀の忍び返し用,農場用,牧場用,境界線用として使用されている。大半がアメリカに輸出されているが,1963年2万 3000tをピーク減少一途をたどっている。最近はカラー有刺鉄線が開発されている。 (→電気牧柵 )

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百科事典マイペディア 「有刺鉄線」の意味・わかりやすい解説

有刺鉄線【ゆうしてっせん】

俗にばら線,鉄条網,鬼針金とも。針金を撚り合わせ,適当な間隔でとげを植えたもの。19世紀後半にアメリカ西部で,放飼いされている家畜から農作物を守るために農地,牧場の囲い用に考案されたのが始まり。素線の線径,撚り線数,とげの形・数,とげの間隔などにより多くの種類がある。軍用のほか垣根用などに使われる。

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世界大百科事典(旧版)内の有刺鉄線の言及

【ガウチョ】より

…19世紀後半欧化主義者が政権に就くと,ガウチョは厳しく弾圧され,ヨーロッパ系移民の流入に伴うパンパの農業の発展は,彼らの生活の場をしだいに奪っていった。さらに追打ちをかけたのが有刺鉄線の普及だった。これにより牧場(エスタンシア)の境界が確定され,牛の移動範囲が狭まったため,ガウチョが数週間もエスタンシアの牛群を率いてパンパ内を放浪することは不可能となってしまった。…

※「有刺鉄線」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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