検出限界(読み)ケンシュツゲンカイ(英語表記)identification limit

デジタル大辞泉 「検出限界」の意味・読み・例文・類語

けんしゅつ‐げんかい【検出限界】

ある分析方法によって検出できる、物質最小の量または濃度確認限界
[補説]測定結果が検出限界以下の場合、「不検出」と表示されることがあるが、これは試料中に対象物質が存在しないという意味ではない。

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改訂新版 世界大百科事典 「検出限界」の意味・わかりやすい解説

検出限界 (けんしゅつげんかい)
identification limit

確認限界ともいう。化学分析において,ある化学反応を用いて検出しうる物質の最小質量として定義された概念であったが,近年の機器分析法の発展により,機器分析法を含めた分析法によって検出されうる物質の最低濃度(または最小質量,この場合には絶対検出限界として区別することがある)であると定義される。化学分析では物質の確認,検出は反応による色の変化,沈殿の生成を目視法や顕微鏡下で認識することが主であったが,機器分析法では物質の検出は対応する物質の量,性質,構造,形態の変化に対応する電気的信号として記録計やメーター上に取り出される。このような電気的信号の検出では,励起源,光源検出器増幅器,記録計など機器の構成要素から電気的,熱的,機械的,光学的な原因によって発生する雑音ノイズ)を伴うので,物質の検出が可能かどうかは信号とノイズの相対的な大きさで決まる。そこで,国際純正応用化学連合IUPAC)では,定常的信号の場合にはベースラインノイズの3倍(S/N=3),過渡的信号の場合にはブランク信号の大きさの標準偏差の3倍(3σ)に相当する大きさの信号を与える物質の濃度(または質量)を検出限界とすることを勧告している。ここでは,定量分析,とくに微量分析の概念が優先されており,S/N=10または10σに相当する物質濃度を定量下限,検量線が曲がりはじめる上限を定量上限とし,各分析法の感度精度,適用範囲とその限界を量的に示す尺度にしている。
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栄養・生化学辞典 「検出限界」の解説

検出限界

 ある物質の分析について,検出できる限界の量すなわち最小の量.

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世界大百科事典(旧版)内の検出限界の言及

【限界濃度】より

…物質の確認反応や検出反応において,その反応や方法によって検出されうる物質の最低濃度をいう。特異試薬との反応を利用して特定物質の確認(または検出)を行うことを確認反応と呼び,このとき確認された物質の最小質量を,その物質に対する確認限界(または検出限界)という。一方,限界濃度の概念は微少量物質の確認を目的として溶液中の物質の最低濃度を表すので,通常は溶液の単位体積1ml中のμg単位の物質量,すなわちμg/ml=ppmの単位で表示する。…

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