電力系統各部の絶縁を,絶縁故障を最小限におさえて技術的にも経済的にもまた系統運用上からも全体としてもっともバランスのとれた形にすること。電力事業の初期には各部の絶縁を独立に行ったため,雷によって送電線路での故障が続発すると送電線の碍子個数を増やして線路の絶縁を強化した。このため送電線路で大地へ逃れなくなった雷電圧が変電所へ侵入し,変圧器や遮断器を破壊することになった。これらの経験から,1928年アメリカのスポーンP.Spornは電力系統各部の絶縁を重要な機器の順に高くすることを提案した。これが絶縁協調という考え方の最初とされる。現在では変電所内機器の絶縁は避雷器の保護を前提としてこれにある安全率だけ高い値にし,送電線路は,開閉サージに耐え,交流では碍子が汚損しても耐えるようにし,雷に対してはある程度のフラッシオーバーはやむをえないという考え方で絶縁協調を実現している。
執筆者:河野 照哉
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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