デジタル大辞泉
「肯」の意味・読み・例文・類語
こう【肯】[漢字項目]
[常用漢字] [音]コウ(呉)(漢) [訓]がえんずる うけがう
1 うなずいて承知する。「肯定/首肯」
2 骨についた肉。「肯綮」
[名のり]さき・むね
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
がえん‐・ずる がへん‥【肯】
〘他サ変〙 がへん・ず 〘他サ変〙 (「かえにす(不肯)」の変化した語)
※
色葉字類抄(1177‐81)「肯 ガヘンズ 不肯」
② (本来の
否定の
意味が失われて肯定の意味に転じた。ふつうは打消の
助動詞「ず」を伴い、「がえんぜず」の形で承諾しないの意に用いる) 承諾する。ひきうける。うけがう。うべなう。
※
書紀(720)継体二三年四月(寛文版訓)「勅の旨を聞かむと佇
(のぞ)めども尚宣
(の)り不肯
(カヘンセす)」
[語誌](1)「かへにす」「がへんぜず」ともに「不肯」を訓読したもの。「かへにす」は
上代では
清音によまれていたが、後に「に」が
音便で「ん」となり、また動詞連用形に直ちに接続する
用法において「か」が
連濁をおこして「がへんず」となったとされる。この
音韻変化の
過程で、「かへず」の形も現われた。
(2)もともと「かへにす」
自体に否定の意味が含まれていたが、「甘んず」「軽んず」のような
語形にひかれて、「がへんず」も肯定の意味に取り違えられるようになり、②のように「がへんぜず」と、さらに打消の助動詞「ず」が付け加えられることになったのであろう。
うけ‐が・う ‥がふ【肯】
〘他ハ四〙 よいと認める。肯定する。承諾する。承知する。
※
神皇正統記(1339‐43)上「『これより西に宝の国あり。
うちてしたがへ給へ。〈略〉』とありしを、天皇うけがひ給はず」
※読本・雨月物語(1776)浅茅が宿「
商人となりて京にまうのぼらんことを頼みしに、雀部
(ささべ)いとやすく肯
(ウケ)がひて」
[
補注]「観智院本名義抄」に「不肯受 ウケカヘス」などとあるのは、下二段活用ともみられるが、
訓点資料特有の語として「うけ・かへす」とも分析しうるので、確例とはしがたい。→
かう
うけ‐ご・う ‥ごふ【肯】
※平仮名古活字三巻本宝物集(1179頃)上「あなんこれをさとりて大どくじゃなりとうけこひ給ひぬ」
うけ‐がえ ‥がへ【肯】
〘名〙 よいと認めること。肯定すること。承諾すること。
※色葉字類抄(1177‐81)「肯 ウケカヘ」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報