コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

音韻変化 おんいんへんかsound(phonetic, phonological) change

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

音韻変化
おんいんへんか
sound(phonetic, phonological) change

ある言語のある時期の音韻が,意味とは無関係に歴史的に変化すること。 19世紀後半の比較言語学の発達とともに,同じ音韻的環境にある音韻は,変化する場合には,すべての語において規則的に同じ音韻に変化し,決して2つに分化しないことが経験的に明らかにされた。音韻変化は,調音そのものの変化をさし,調音的に,また音響的・聴覚的に近い音韻に変るものである。この点,類推,省略,通俗語源 (→通俗語源説 ) などによる語形の変化は,意味や意識などの心理的要素が入る異質なもので,借用とともに音韻法則上の「例外」をなす要因となる。音韻変化は,1対1の変化,2対1の変化 (統合または合流) ,1対2の変化 (分化) に分けることができる。1つの音韻は,異なる音韻的環境にあるときにのみ,2つ (以上) に分化しうる。変化は世代差という形をとって進行するのが普通である。なお「音韻」変化は,これを音韻体系に変化をもたらすものに限定し,そうでないものは「音声」変化としたり,また必ずしも現代的な意味での「音韻」とは関係なしに,一般的に音の変化をさすこともある。この場合は「音」変化と呼ぶことも多い。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

デジタル大辞泉の解説

おんいん‐へんか〔オンヰンヘンクワ〕【音韻変化】

ある言語のある音が、歴史上の一時期に他の音へ変化すること。例えば、日本語のハ行の頭子音が[Φ]から[h]になった類。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

大辞林 第三版の解説

おんいんへんか【音韻変化】

ある言語のある音の発音が歴史的に一定の条件のもとで変化すること。例えば、日本語におけるハ・ヘ・ホの子音が [Φ] から [h] へ変化したなど。

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

音韻変化
おんいんへんか

言語音声における変化。言語音声は一部ずつ絶えず変化している。そのため、小規模でわずかな音声の変化も、長い期間を経れば、音韻体系までも大きく変貌(へんぼう)させてしまう。音韻変化には、〔1〕個々の音が内的原因から個別的に変化する場合と、〔2〕隣接する音の影響により条件的に変化する場合とに分けられる。
〔1〕個別的変化は、古い世代と若い世代との間にみられる発音方法の相違に基づくとする説と、調音運動における労力をできる限り節減しようとする経済的傾向に帰因するという説がある。
〔2〕条件的変化については、ある音が隣接する音から調音の面で影響を受ける同化作用が問題となる。(a)前の音が後の音を同化する順行同化は、英語の複数形cats[kts]「ネコ」とdogs[dgz]「イヌ」の複数語尾-sにおける発音の仕方にみられる。(b)後の音が前の音を同化する逆行同化は、five pence[faifpens]「5ペンス」とfive[faiv]を比較すればわかる。
 また、日本語のkutiwa→kutuwa「くつわ」では、母音uが子音tを飛び越えて次の母音iに遠隔の同化を行っている。変化においてある音声が変わると、それにつれて他の音も変わることがある。中世英語でmeet[me:t]が[mi:t]「会う」と母音が変化すると、mite[mi:t]のほうも[mait]「ダニ」に変わった。このように、音韻体系のなかで音韻変化は連鎖反応をおこす、という見解もある。[小泉 保]
『池上二良編『言語の変化』(『講座言語 第2巻』1980・大修館書店)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

音韻変化の関連キーワードクルシェフスキーフェルナーの法則ウェルネルの法則グリムの法則青年文法学派ポルトガル語ガーベレンツフランス語疑問仮名遣シュハルト同音異義語かなづかいマルティネ蜆縮凉鼓集ジリエロンチベット語有坂秀世五十音図賀茂真淵綴字発音

今日のキーワード

いい夫婦の日

11月22日。通商産業省(現経済産業省)が制定。パートナーへの感謝の意を示し、絆を深める。...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android