言語教育学(読み)げんごきょういくがく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「言語教育学」の意味・わかりやすい解説

言語教育学
げんごきょういくがく

「言語教育学」は広義には言語教育の研究分野全般ととることもできるが、専門家の間では通例、母語に関する教育は「国語教育」とよび、「言語教育学」という際には「第二言語教育second language teaching」または「外国語教育foreign language teaching」に関する研究分野をさす。対象となる言語は問わない。狭義には第二言語教育と外国語教育のどちらをさすかで研究分野が異なる。前者は当該目標言語が日常話されている言語環境での教育をさし、後者は教室環境以外では通常当該言語が話されていない場合をいう。しかし、広義の主として英語圏での研究では前者の「第二言語」という名称で母語以外の言語を総称的にさすことが一般的である。また、海外では特別に「言語教育学」という学問分野を意識するよりも、応用言語学の一領域としてとらえる見方も根強い。日本においては「英語教育学」「日本語教育学」など外国語教育としての視点で学問分野を確立しようとする一連の動きがある。

 言語教育学は対象言語の学習・習得をとりまくさまざまな研究分野を包括的に扱う。おもな領域としては第二言語習得、学習者要因(動機づけ、学習スタイル、年齢との関係など)、学習環境要因(言語教育政策、カリキュラム、シラバス、教室サイズ)、教師要因(教員養成・研修、教授法)、教材、言語テストなどがあげられる。またこれらを学校内教育と位置づけ、対応する学校外教育(塾・予備校、通信講座、会話学校など)をも視野に入れた研究を行おうとする立場もある。

[投野由紀夫]

由来

母語以外の言語の学習は、人間の文明の発祥以来、他の言語を話す外国人との接触が必要な状況でつねに存在していたといっても過言ではない。異国人に占領されれば、言語政策としてその民の話す言語を学ぶ必要があった。それらは古くは古代ギリシア・ローマの時代から存在していた。また外国語教授法に関しても紀元400年ごろには聖アウグスティヌスが現在の学習者の内的動機づけと等しい内容のことを言及している(L. G. Kelly“25 centuries of language teaching”1969)。また中世では聖書の伝搬と関連してラテン語教育、教養教育としての外国語習得が広く行われていた。英語に関していうと最初の英語教授の会話集として認知されているのは、ウイリアム・カクストンWilliam CaxtonのDialogues(『会話集』)という著作でこれが1483年といわれている(Anthony P. R. Howatt‘Five hundred years of English language teaching’in“ELT Journal”Vol.37, 1983)。ただし、これらが専門的な研究領域として意識され始めたのは、20世紀に入ってからである。

 言語教育学の潮流を築いていくのはやはりイギリス・アメリカといったいわゆる帝国主義時代の覇者である国々の言語、つまり外国語としての英語の分野であった。大きな流れとしては、20世紀前半のイギリス出身のハロルド・E・パーマーHarold E. Palmer、マイケル・フィリップ・ウエストMichael Philip West(1888―1973)、アルバート・シドニー・ホーンビーAlbert Sidney Hornby(1898―1978)らの外国語教授法(とくにパーマーの教授法は昭和初期に日本に紹介され、オーラルメソッドと称された)をとくにアジア圏に普及させた一連の学者たちの活動がある。彼らの貢献によって、いわゆるS‐O‐S(Structural-oral-situational:構造‐口頭‐場面)といわれる広く普及される外国語教授法の骨格ができあがったといってよい(Smith, 2004)。

 アメリカでは行動主義心理学を背景にしたオーディオリンガル・アプローチaudio-lingual approachが第二次世界大戦を前後して隆盛になり、ミシガン大学を中心にロバート・ラドRobert Lado(1915―95)、フリーズC. C. Friesといった学者たちが一時代を築く。言語学では1950年代後半にチョムスキーが現れ生成文法を提唱、これを受けて言語教育の分野でも学習者の内的言語発達の視点から言語学習過程を研究しようという一派がエジンバラ大学を中心に応用言語学科school of applied linguisticsという名称の大学院コースを設立、この時期を境に、言語教育が言語学とは独立した研究分野として徐々に認知されていくようになる。

 日本では昭和初期のパーマーらのオーラルメソッド、第二次世界大戦後のフリーズらのオーラルアプローチと外来の教授法によって英語教育が推進されたが、1970年代ごろまでは、これらの教授法にかかわる日本側の研究者は英文法学者や英米文学の研究者が多く、いわゆる言語教育学の専門家というものはきわめて少なかった。しかしながら、前記のような海外での動向を受けて、外国語教育学を専門で海外で勉強してくる日本人も増加し、1980年代後半から徐々に「応用言語学」または「言語教育学」という学問分野として受け入れられるようになっていった。

[投野由紀夫]

沿革

言語教育学の中心課題として「言語をいかに教育するか」という教授法の視点が重視されるのは当然であるが、今日の言語教育学の研究領域のとらえ方はより複合的になってきている。それは第一に「学習者中心」という立場である。言語教育において、実際に言語を習得するのは当該学習者自身であるから、学習者がいかにことばを身につけるのか、という学習(習得)プロセスの研究が肝要である。そのプロセスを理解しつつ、そこにどのように教師なり教授法がかかわっていくかを研究していくことになる。この学習者の言語習得過程の解明は「第二言語習得second language acquisition」の分野になる。この分野は過去20年ほどで独立した認知科学の一分野として、言語教育とは直接関係なく人間の心の解明の一部分として研究する立場が増えているが、ただ実際には明示的な教科教育の枠組における教室環境での研究との明確な区別は曖昧(あいまい)であるといってよい。また言語習得研究の際にどのような第二言語の能力を仮定するかもこの分野の問題である。第二言語の場合には、現在では広くコミュニケーション能力communicative competenceとよばれるものが全般的な用語として用いられるが、その内容は言語能力linguistic competence、談話能力discourse competence、語用能力pragmatic competence、社会言語的能力sociolinguistic competence、社会文化的能力sociocultural competenceなどに分かれる(William Littlewood : Second Language Learning, 2005)。また研究分野としては、能力をより細分化し、教師の指導内容と対応させていわゆる4技能(話す・聞く・読む・書く)と語彙(ごい)・文法というような区分で能力発達を研究する立場も多い。

 この学習プロセスに学習者自身の内的な要因と環境的な要因が関与してくる。内的な要因としては学習者自身の認知的要因として、年齢、認知スタイル、学習スタイル、言語適性、知能などが、また情意的要因としては外国語や外国文化に対する態度や動機づけ、人格(内向性・外向性)などが研究分野として関心をもたれている。さらに環境的な要因として、教室環境と教室外環境の相違、教師に関するさまざまな要因(教授法、指導技術、教員養成、教員研修など)、学習材に関する要因(教科書、副教材、タスク、CALLなどの視聴覚・コンピュータ機器利用など)、授業の枠組みとしてのシラバス、授業時間数、クラスサイズ、そしてより大きくは、その自治体・国の外国語教育政策、学習指導要領などの教育行政的な面、等々さまざまな要因が学習者を取り巻く「学習環境」の要因として関心をもたれている。さらにこれらのそれぞれの点に関連するのが、学習・指導の測定と評価の問題である。

 方法論的には、学習者の学習・習得プロセスの記述と説明に関しては主として社会科学の一般的な研究方法(質的・量的な研究)が研究課題によって適宜選択されて試みられている。またこれらと環境的な要因をからめたさまざまな準実験的quasi-experimentalなアプローチや、学校環境を一つの社会と見立てて、そのまま文化人類学的な手法でフィールドワークを行ったり、より主観的な方法を生かした自己観察self-accountや日記研究diary studyなどの回顧的retrospectiveな方法を用いる場合もある。

[投野由紀夫]

概論

言語教育学の分野を概論として、ここでは〔1〕第二言語習得研究、〔2〕学習者要因、〔3〕学習環境要因に分けて解説する。

[投野由紀夫]

〔1〕第二言語習得研究

第二言語習得研究そのものが現在ではきわめて広範囲の現象を含む一つの研究分野として確立しているので、ここでは主として言語教育学との関連性の高い項目に関してのみ扱うことにする。大別すると、(1)第二言語の習得プロセス、(2)第二言語の習得順序、(3)第二言語の習得理論、の3点である。

[投野由紀夫]

(1)第二言語の習得プロセス

1950年代末までは、構造主義の影響で、外国語学習は母語との相違点を調べて、違いの大きい部分がむずかしく、同じ部分は習得がやさしい、とする対照分析Contrastive Analysisの考え方が主流であった。しかしチョムスキーの生成文法の考え方が言語学のパラダイムを転換し、人間の生得的な言語能力の存在が注目されると、第二言語習得にもそのような学習者の主体的な言語獲得のメカニズムが存在するはずだと人々は考えるようになった。そのような見方を鮮明に提示したのが、エジンバラ大学のコーダーStephen Pit Corder(1918―1990)である。彼はその論考のなかで、学習者の犯す誤り自体はけっして悪いことではなく、第二言語習得の各段階でエラーを観察することによって、その学習者のその時点での脳内にある文法の状態を知ることができる、と主張した(S. P. Corder“The significance of learners' errors”1967)。これがいわゆる「エラー分析Error Analysis」の先駆けである。エラー分析の詳細に関しては、ジャック・リチャーズJack C. Richardsの“Error analysis ; perspectives on second language acquisition”(1974)、カール・ジェームスCarl JamesのErrors in language learning and use ; exploring error analysis(1998)が出版されている。

 ここでは、エラー分析によって知られる重要な第二言語習得のプロセスについて簡単に解説する。

(a)母語の転移(L1 transfer)
第二言語習得の過程でもっとも顕著なのは母語の転移である。とくに母語との構造や語彙が近い言語系の場合には母語の知識をもとにして第二言語の構造・語彙に関する予測が積極的に行われる。たとえばフランス語の話者が英語を学ぶ場合には、語順、冠詞、関係節、時制など多少の用法の相違はあるが、英語を学習する際にフランス語の使用ルールをかなりの程度参考にすることができる(Littlewood, 2005)。しかし、日本語の母語話者の場合には冠詞はまったく存在しないので、母語からのルールを参考にできない。また中国語やインドネシア語の母語話者は時制がないので、動詞の時制や相の転換に対しては予測がきかない。これら、母語からの転移がプラスに作用するような場合は正の転位positive transferといい、逆に母語の知識が原因でかえって誤ってルールをつくってしまうような場合は負の転位negative transferとよばれている。日本人の英語学習者の場合には母語に冠詞が存在しないので、冠詞の脱落エラーが大変多いことが知られている(投野由紀夫『日本人中高生一万人の英語コーパス――中高生が書く英文の実態とその分析』2007)。

(b)般化(generalization
母語の転移と同時に大きな役割を果たすのが「般化(または一般化)」とよばれるプロセスである。これはある特定の構造や文法を通して得た用法や文法ルールを新しい構造や語彙に適応していく学習プロセスをいう。たとえば、英語では複数形に -s がつくと教われば、新しい単語で複数のものには何でも -s をつける。このような現象がエラーとして現れるのが過剰般化overgeneralizationである。たとえば、childの複数形としてchildsとしてしまう(実際はchildren)、goの過去形をgoedとしてしまう(実際はwent)などがそれにあたる。これらの現象は、学習者が主体的に文法のシステムをつくっていることを示し、過剰般化はとくにそういったルールを適用し自ら仮説検証を行って誤っていれば修正する、という学習プロセスを踏んでいると考えられている。

(c)簡略化(simplification)
初期のとくに会話において、第二言語学習者は文法的な機能を簡略化する傾向がある。たとえば、「あそこにお茶が入りました」という場合、「Sir, tea there.」と言ったりするような現象である(Littlewood, 2005)。これらは第二言語習得のプロセスとして必要な過程であるかは意見の分かれるところであるが、日常会話での発話機会を増やし、より多くのインプットインタラクションの機会を得る、というコミュニケーション・ストラテジーとしては重要な役割を担っている。

(d)模倣(imitation)
模倣はあらゆる学習において見られる学習プロセスであるが、第二言語の学習の場合にもとくに初級の学習者においてよく見られる行為である。模倣は通例、「Nice to meet you.(はじめまして)」のように意味と形の対応関係が1対1で構造に関しては言語的にきちんと解析できなくてもいわゆる「決まり文句formula」として丸ごと暗記して使うという方策がとられる。この模倣の段階から学習者は徐々に目標言語の構造に関する知識(「Nice to meet you.」ならば形容詞の直後にto不定詞がくる、というような文法関係の知識)を得るにつれて、「Nice to meet you.」という決まり文句の内部構造を自分で崩して、「Nice to have met you.」あるいは「Nice meeting you.」などの表現も使いこなせるようになる。こういった単なる模倣から仮説検証を経て言語能力として定着する過程を内在化internalizationとよぶ。

 なお、これらのすべての学習プロセスは教室内での授業を通して意識的に使う場合もあるし、通常の自然なコミュニケーション場面などを通じて学習者が無自覚に行っていることもありえることを付言しておく。

[投野由紀夫]

(2)第二言語の習得順序

第二言語習得の一連の研究でもう一つ言語教育学と関連が深いのは、習得順序の問題である。これは最初はアメリカのハーバード大学のロジャー・ブラウンRoger Brown(1925―1997)が英語の母語習得の様子を長期間観察したところ、異なる幼児の間での文法形態素の習得順序がきわめて類似していた(Roger William Brown“A First Language”1973)ことで、同様の研究が第二言語においても盛んに行われるようになった。1970年代から20年ほどの研究で一般的にある種の文法項目に関しては、自然環境でも教室環境でもあまり影響を受けない一定の習得順序が存在する、ということがさまざまな習得状況の記述的研究で明らかにされてきている。とくにこの場合の習得順序とは、自然発話などで無意識に言語使用を行った場合に出てくる形式を基準にして議論される。過去の研究では、文法形態素、否定構文、疑問文、関係節などに一定の規則性があるといわれている(Evelyn Marcussen Hatch (ed.)“Second language acquisition”1978)。またより包括的なものとしては、ドイツ語の第二言語習得順序研究から発展させたマンフレッド・ピーネマンManfred Pienemann(1951― )のLanguage Processing and Second Language Development(1998)がある。ピーネマンが他の研究者と異なる点は、習得順序の記述のみならず一定の説明を与えている点である。すなわち、言語処理上の認知的制約が言語習得の各段階で決まっていて、その制約の範囲内でしか言語処理ができないという理論である。

 現在では、これら記述研究による一定の習得順序の存在には、何かしら言語習得の規則性(コーダーのいう学習者自身の「内在シラバスbuilt-in syllabus」のごときもの)が存在すると考えられているが、それが何なのかは明確にわかっていない。

[投野由紀夫]

(3)第二言語の習得理論

第二言語習得の現象を説明するためにさまざまな理論構築が行われている。言語教育学の立場からいえば、これら第二言語習得理論の考え方を踏まえて、学習との関連の深い理論から教育上の示唆を得たりする。ウイリアム・リトルウッドWilliam Littlewoodの分類(2005)に従って以下のように大別して解説する。

(a)内的認知メカニズム重視の理論
 (i)創造的構造仮説(Creative Construction Hypothesis)
 (ii)インプット仮説(Input Hypothesis)
 (iii)普遍文法仮説(Universal Grammar Hypothesis)
 (iv)認知スキル学習仮説(Cognitive-skill Learning Hypothesis)
(b)習得が行われる文脈重視の理論
 (v)インタラクション仮説(Interaction Hypothesis)
 (vi)アウトプット仮説(Output Hypothesis)
 (vii)文化変容モデル(Acculturation Model)
 (viii)社会文化モデル(Sociocultural Theory)
(a)内的認知メカニズム重視の理論
(i)創造的構造仮説
これは1960年代から70年代にかけてチョムスキーの生成文法の考え方の影響を受けて、第二言語習得でも学習者の脳内にある「言語習得装置(Language Acquisition Device : LAD)」が独自に機能して学習者自身のなかで主体的に学習が行われるとする考え方。とくにピット・コーダーが過渡的能力transitional competence、ラリー・セリンカーLarry Selinkerが中間言語interlanguageと称した能力の基本となるようなアイデアであった。これらが、次に述べるインプット仮説などに発展していく。現在でも、学習者中心の言語教育を考える場合の大前提となるような考え方である。

(ii)インプット仮説
1970年代後半から80年代にかけてアメリカを中心に席巻したスティーブン・クラッシェンStephen Krashen(1941― )の第二言語習得の統合的な仮説。クラッシェンは1970年代の習得順序仮説の結果を受けて、第二言語習得には「習得acquisition」と「学習learning」の2タイプがあり、前者が脳内の言語習得装置によって一定の習得順序で無自覚に行われる習得の過程であるのに対し、「学習」は教室内で意識的に行われるもので、この二つを明確に区別すべきだとした。また「習得」された知識が本当の言語能力で、「学習」は「習得」には移行しない、という立場を示した(これは後に多くの研究者から異論が出される)。さらにクラッシェンは学習者が言語を使用する際に自分が習得した能力で会話などを始めても途中で十分ことばが出てこなかった場合、それを「学習」された知識で修正したり補足するということがあり、その意識的に発話を監視・修正する作業を行う装置が「モニター」である、という「モニター仮説Monitor Hypothesis」もこのインプット仮説の一部に含めている。これらの概念を前提に、インプット仮説では習得を促進するものが「理解可能なインプットcomprehensible input」であるとする。このインプットに大量に触れることにより、脳内の言語習得装置が活性化して習得を進める、というのである。また同時にこのインプットが有用な情報として脳内に取り込まれるためには、極度の緊張などのない安定したメンタルな状態が関与する、として「情意フィルタ仮説Affective Filter Hypothesis」をあげ、情意フィルタが低い、つまりリラックスした状態でもっとも効果的にインプットが取り込まれるとした。

 このように総合的な仮説であり、それまでの第二言語習得研究の成果を巧みに組み込んでいるので、1980年代はクラッシェンの理論の賛同者がほぼ大勢を占めて、ナチュラル・アプローチという教授法も提唱された(Krashen & Terrell“The natural approach”1983)。クラッシェンの考えの多くは、直観的にわかりやすく多くの外国語教師から賛同を得たが、続く生成文法の立場からの研究者に第二言語習得理論としての不備を理論的に批判され、1990年代以降は第二言語習得の研究者の大半がクラッシェンの理論を支持しなくなった。しかしながら、現在でもその主張の多くは言語教育のいろいろな分野で根強く信奉されている。

(iii)普遍文法仮説
これはチョムスキーの生成文法の枠組みを第二言語習得研究に応用しようという立場の研究者たちの理論である。この立場はとくにクラッシェンのインプット仮説を批判するような形で1980年代後半から注目を集め始め、チョムスキーが提唱するすべての子供が生まれてくる際に生得的にもっている言語能力である「普遍文法(Universal Grammar:UG)」がどのような性格のものであるかを、第二言語習得の研究を通して明らかにしようとする学問分野である(よって、研究分野としてはしばしばUG-based SLAとよばれる)。また、このような目的意識があるため、この分野で研究する学者の大半は普遍文法の解明が直接言語教育における応用へは結び付かない、と考える。彼らの興味の中心は、UGそのものが母語だけでなく第二言語習得にも機能するのか、機能するとすればどのようにか、という点に尽きる。第二言語習得という窓からのぞいてUGそのものの特徴を解明することで「人間の心」の問題に迫ろうとする立場なのである。

 チョムスキーが生成文法を提唱した当初は、文の深層から表層への変形規則を応用した教授法などが出てきたりしたが、現在ではこの理論の言語教育への応用にはきわめて隔たりがある、といわざるをえない。ただし、第二言語習得の説明的理論としては現在ももっとも活発な分野の一つである。

(iv)認知スキル学習仮説
この立場は前記(i)~(iii)と大きく前提が異なる。それは前記の三つの仮説がどれも、言語習得には他の認知能力とは独立した言語特有の習得能力(LAD、またはUG的なもの)が生得的に備わっていると考えるのに対して、この立場は言語習得を特殊な例外とは考えずに、一般的な認知学習能力で説明できると考える。とくに脳科学に代表される最近の認知科学の成果を取り込み、外界からの刺激(インプット)によって脳細胞がもつ情報が活性化され、それに関連した項目が並列分散処理する形式で実行されていく、というようなコネクショニズムConnectionismの考え方(Jeffrey L. Elman et al“Rethinking innateness”1996)がその中心にある。言語習得全般にそれらを応用したものとしてコンペテション・モデルCompetition Model(Brian MacWhinney“The Emergence of Language”, 1998)、第二言語習得に応用したニック・エリスのモデル(Nick C. Ellis“Implicit and explicit learning of languages”1994)などがある。言語教育的には、構造主義時代にも行われていたドリル系の作業を大量に与えて一定の言語操作を自動化させる、という発想に似ていて、その理論的背景が変わっただけともいえる。

(b)習得が行われる文脈重視の理論
(v)インタラクション仮説
前記(ii)のインプット仮説の一部を拡張してマイケル・H・ロングMichael H. Longが1985年に提唱した理論で、インプットが理解可能なものであるべき、というのはインプット仮説と同じであるが、そのインプットが理解可能になるための条件を細かく規定した。それは具体的には人間同士の社会的交渉social interactionのなかで、意味に焦点を置きながら、意味の交渉negotiation of meaning、意味の明確化の要求request for clarification、理解度確認comprehension checkなどが行われたとき、もっとも効果的に学習者にとって有効なものとして取り込まれる(これを「インテイクintake」とよぶ)というのである。

 このインタラクション仮説は、言語教育学の指導法と直結している仮説なので、現在でも広範囲に採用されている。とくに会話能力の向上には、教師による文法規則の説明のような一方的な授業形態から、生徒にことばを使った活動機会を与え、そこで前記のような意味の交渉の機会を設定するようなタスク重視の教授法などが普及してきている。

(vi)アウトプット仮説
カナダの言語学者メリル・スウェインMerrill Swainが1995年に提唱した理論で、これも(ii)のインプット仮説の発展形といえる。すなわちインプット仮説では理解可能なインプットさえ与えれば、習得は自然と促進される、としたのであるが、スウェインは主としてイマージョン教育(目標言語で一般科目の授業なども受けさせてしまう形態の教育)などにおけるインプットが大量にあっても発話が不完全な例をとりあげて、インプットが十分なだけでも習得は適切に行われず、学習者が自分でことばを使ってみる「アウトプットの部分」での手当が重要である、とした。

(vii)文化変容モデル
アメリカの言語学者ジョン・シューマンJohn H. Schumannが1978年に提唱したモデル。とくに海外からの移民の言語習得などを参考にした理論で、言語習得はその過程そのものが自分の文化から異国の文化に変容acculturateしていくプロセスだとする。したがって、自国の文化との隔たりが大きければ大きいほど、メンタル的に言語習得がむずかしくなる。逆に文化的にあこがれやその一部分になりたいという願望が強い場合には言語習得がより促進される、とする。

(viii)社会文化モデル
1930年代にロシアで活躍した心理学者レフ・セミョーノヴィッチ・ヴィゴツキーLev Semenovich Vygotsky(1896―1934)の理論は、最近教育界で改めて見直されており、「社会的構成主義」という立場で認知的な立場との違いを明確にしている。このモデルはそれらの影響が言語習得理論にも及んできたもの。すなわち、言語習得は個々の学習者の認知的な発達であるが、ヴィゴツキー流にいうとそれは学習者と外的世界・他者との相互作用のなかで達成されたあと、学習者に内化されることによって獲得される。そこで他者によって、自分が達成できないはずの内容のものを習得可能なレベルに下ろしてもらう(あるいは逆に自分を引き上げてもらう)ような状況を「スキャッフォルディング(scaffolding。原義は「足場」の意味)」といい、また自分がそのようにして習得可能な領域のことを「最近接領域The Zone of Proximal Development」とよぶ。ヴィゴツキーの理論は、学習者の内面重視の認知科学のなかで、学習が行われる社会環境を重視した理論として注目を集めており、学習環境の見直し、という視点で、言語教育のみならずさまざまな教育現場で採用されている観点である。

[投野由紀夫]

〔2〕学習者要因

第二言語習得自体は個々の学習者の内面でおこる現象であるが、言語教育と関連して非常に重要なのは、個々の学習者の「個人差」の問題である。前述したような第二言語習得のプロセス、順序、理論を踏まえて、これがどのように個々の学習者に反映されるか、その際に個人差の観点から考慮されねばならない問題は何か、ここに簡潔にまとめておく。

[投野由紀夫]

(a)認知的要因

学習者の認知的要因としては、年齢、知能、言語適性、認知スタイルなどが考えられる。年齢に関しては、言語教育との関係でもっとも注目されるのは「臨界期説Critical Period Hypothesis」である。これは言語習得には年齢制限があり、ほぼ10歳前後を境に母語と同じ能力を身につけることができなくなるという説である。これは脳の可塑性と関連しており、とくに発音の習得に関しては明らかに成人と子供では差異がみられる。しかし、一方で成人のほうが文法や語彙の習得に関しては短期間でほぼ同等のレベルに達するという研究結果もある。外国語の開始時期に関しては、この臨界期説を背景に、各国で小学校の低中学年から開始するところが多い。

 知能と言語適性はかなり不可分な領域であるが、古くから言語適性テスト(有名なものでは、1959年のジョン・キャロルJohn Bissell Carroll(1916―2003)とスタンレー・サポンStanley SaponによるThe Modern Language Aptitude Test:MLATがある)が開発されて、言語適性と実際の言語習得能力の相関を見る研究がなされている。たとえばRichard L. Sparksらの‘Prediction of performance in first-year foreign language courses’(in “Journal of Educational Psychology”Vol.87(4), 1995)では、MLATで測定した言語適性能力と、学校での英語(国語)の成績が、初めて外国語学習を経験した子供の成績ともっとも相関が高かったことをあげている。MLATで測定している言語適性とは以下のものである。

(i)音韻コード能力(phonemic coding ability) 外国語の音を後で記憶可能なように符号化できる能力
(ii)文法的感受性(grammatical sensitivity) 文中の文法的機能に関して推測できる能力
(iii)帰納的学習能力(inductive learning ability) 形式と意味の対応関係を認識できる能力
(iv)丸暗記能力(rote learning ability) 刺激間の連想をつくって記憶できる能力
 MLAT以降、言語適性テストの新規のものはあまり注目度の高いものは出てきていないが、ロッド・エリスRod Ellis(1944― )も‘Individual Differences in Second Language Learning’(in “The Handbook of Applied Linguistics”2005)で述べているようにMLATのテスト項目は現在でもきわめて有用度が高いといわれている。

 認知スタイルに関しては、場依存性field dependencyがよく話題になる。場依存field dependentなタイプの学習者は、物事を周囲の文脈のなかで全体的holisticにとらえようとする性向がある。逆に場独立field independentな学習者は、学習項目を分析的に他とは切り離してとらえる傾向がある。場依存の人は個々のものがよく独立してとらえられないという欠点があり、場独立な人は逆に個々のものを全体との関連でみられない、という欠点がある。またこのような学習スタイルは社交性とも関連があり、場依存の人は社交的で他とのかかわりを求めるタイプの人が多く、場独立な人は比較的一人で勉強することを好む(Rod Ellis, 2005)。これらの特徴をとらえて、言語教育では個々の学習者の認知スタイルに応じた最適な学習方法を選択させたり、タスクをその学習者のスタイルに沿ったものにあわせたりなどのくふうをして効果測定を行っている。

[投野由紀夫]

(b)情意的要因

情意的要因には人格、態度、動機づけなどがあり、そのなかでもっとも大きな要因は動機づけmotivationである。動機づけの研究はこの10年間で大きく発展してきた。従来は動機づけはロバート・C・ガードナーRobert C. Gardner(1934― )の“Social psychology and second language learning ; the role of attitude and motivation”(1985)に代表されるように、統合的志向integrative orientationと道具的志向instrumental orientationに分けられた。前者は学習対象の言語や文化に対するあこがれが強くその文化と一体になりたいという強い願望などが動機づけとなる場合、後者はより実利的に言語をとらえ、仕事や金もうけのために言語を学ぶというような動機づけのタイプである。これらと外国語習得レベルの相関を見て、統合的な動機づけがより優れている、というような結果が1970年代に出ていたが、その後、動機づけは国によってより道具的志向の方が習得レベルと相関が高いという結果も続出し、より複雑なモデルが望まれるようになった。

 現在は動機づけに関しては、より可変的なモデルが支持されている。すなわち、ガードナーのモデルでは最初に動機づけありき、でそれが成功へのバロメーターという考え方だったが、最近は言語学習の入口、中間、最後で動機の持ち方も変化していくと考えられている(Zoltan Dörnyei“Motivational strategies in the language classroom”2001)。これらの動機づけの可変モデルに該当するような、教師の側の動機づけを高めるくふうなどが具体的に研究されている。

[投野由紀夫]

〔3〕学習環境要因

前記〔1〕〔2〕の視点はそれぞれ第二言語習得の特徴とその習得を行う学習者の個別要因であったが、その学習者が言語学習を行うにはある一定の環境があり、その環境全体を論じる必要がある。とくに第二言語習得の理論との関連でいうと、教室環境も環境の一部であり、一つの環境のタイプにすぎない。外国から来た移民のように形式的な教室での指導は受けずに第二言語を習得する例もあるからである。その意味では、教師や教材も広くは環境の一部だといえる。しかし、ここでは言語教育学の視点を中心に、形式教授forml instructionの効果、教師要因、学習材要因、その他の環境要因、言語テストに分けて簡潔に解説する。

(a)形式教授の効果
1980年代は、クラッシェンのインプット仮説の強い影響で、一時は「教室環境では習得が行われない」とか「教室環境での授業は効果がない」といった極論まで飛び交うようになった。しかしマイケル・H・ロングの形式教授の効果に関する先行研究のまとめの論文(1983)が出て、一般的に教室での教授効果が明確に認められるという認識が高まり、とくに1980~1990年代は教室内での第二言語習得に関心が高まった。このなかで注目されるのは三つの観点である。一つは、教室での指導によって習得速度が速まるという点(Michael H. Long‘Does second language instruction make a difference? A review of research’in “TESOL Quarterly”Vol.17(3), 1983)、第二に、習得段階によって「学習可能」になる項目の場合は教授効果が望めるが、学習可能でない項目では教授可能性teachabilityが限定されること(Manfred Pienemann“Is language teachable? Psycholinguistic experiments and hypotheses”1989)、第三に従来型の文法形式にのみ注目して構造中心の教え方をする授業をfocus on forms(略して FonFS)と称し、それに対するものとして意味に中心を置くタスクのなかで適宜形に対する注意も払わせる指導法(これをfocus on form, 略して FonFという)の方が効果がある(Catherine Doughty & Jessica Williams“Focus on form in second language acquisition”1998)という点である。現在の日本における言語教育学はこの教室内でのタスクベースの教授法が日本のような学習環境でどの程度効果的かといった検証、また文法シラバスや場面シラバスが根強いなか、それぞれの長所を生かした指導をいかにするべきか、などが検討課題になる。

(b)教師要因
外国語教師に関しては、その国によって教員研修の事情も異なる。英語教師論については金谷憲らの書がある。おもに取り扱われているテーマとしては、外国語教師の能力・資質、教師の言語観・言語教育観と教授法・指導法の関係、教員養成・研修の問題などがある。1970年代を境に、学習者が中心の言語教育に転換していくなかで、教師の役割は授業の「主役」から「学習環境のオーガナイザー」的な役割に変容しつつある。教師は学習者の個々のニーズ、個人差、学習プロセスを理解しながら、それにあったシラバスのなかで適切なタスクを考案し、学習者の学習が促進されるような場を提供し、それを適切に評価してフィードバックする、という一連の学習環境をデザインする。そのような見方が「学習者中心の言語教育」というべきものとして、教師養成や研修などに生かされようとしている。

(c)学習材要因
与える学習材に関しては、大きな動向としてシラバスやタスクの設計という分野がある。前記のようなさまざまな言語習得・学習の観点や、それと教授効果がどう関連するかの知見を受けて、海外ではタスク中心task-based、内容中心content-basedのシラバスやテキストが数多く作成されている。また最近では大量に利用できるようになった言語コーパスを利用し言語使用の頻度や有用度を活用した新しい語彙中心シラバスのイメージなども研究が進んでいる(投野由紀夫『NHK100語でスタート!英会話――コーパス練習帳』2004)。この語彙統計との関連で、アジア圏の英語教科書と日本の英語教科書を比較した結果が、2008年度春の教育再生懇談会で報告され、日本の英語教科書の分量の少なさが指摘されている。今後、小学校への英語導入と連動して、教科書の見直しも大いに関係してくると予想される。

(d)その他の環境的要因
学習環境としては、日本においては小学校への英語導入が大きな課題になっており、現在文部科学省が学習指導要領の改訂で高学年からの領域としての導入が決まっている(2008年現在)。このように、教育行政として外国語教育政策をどのようにするか、という政策決定のレベルにおいて各国ともさまざまな試みがある。ヨーロッパでは「ヨーロッパ言語共通参照枠(Common European Framework of Reference:CEFR)」という多言語対応の外国語到達指標の使用が浸透してきており、主要な外国語教材などはみなこの参照枠を利用する傾向にある。日本においてもこれに準ずるようなフレームワークの策定が研究されている。また環境的な要因としては学習が行われる環境として教室だけでなくコンピュータ支援の言語学習(Computer Assisted Language Learning:CALL)教室、あるいはインターネットを利用した遠隔教授などのインフラ全体を含めた外国語教育の環境整備も重要な視点である。

(e)言語テスト
最後に、どのように教えたこと、学習したことを測定し評価するか、という分野で、言語テストの問題が言語教育ではついてまわる。言語テスト理論そのものがきわめて複雑な理論をもつ分野に現在進化しており、ここで詳述はできないが、大きな方向性として、項目応答理論に基づいて、学習者の言語能力に応じて最適なテスト項目をコンピュータがアイテムバンクから動的に選択して与えるような「コンピュータ順応型テストcomputer adaptive testing」の開発や、テストの種類などに応じて測定しているものがばらばらという不備を補正し、学習者の一般的な言語能力を推定しようとする一般化可能性generalizabilityの方向性への興味がある。それと同時に、4技能など個別のスキルごとにどれだけ適切に能力測定が可能かといった問題も関心が高い。

[投野由紀夫]

まとめ

以上のように言語教育学は主として第二言語の習得プロセスの理解とそれにかかわる学習者の個別要因、学習をとりまく環境要因の関連性を総合的に研究する分野である。筆者の専門上、前記の研究の引用はほとんどが英語からのものであったことお断りしておく。教育は多分に社会文化的な側面が強いので、特定の国では特定の教育理念や方法論がある可能性があり、今後はそういったものを相互比較対照した言語教育学の視点も必要となろう。

[投野由紀夫]

『金谷憲編著『英語教師論――英語教師の能力・役割を科学する』(1995・河源社)』『投野由紀夫著『NHK100語でスタート!英会話――コーパス練習帳』(2004・日本放送出版協会)』『投野由紀夫編著『日本人中高生一万人の英語コーパス――中高生が書く英文の実態とその分析』(2007・小学館)』『John Carroll & Stanley SaponModern Language Aptitude Test - Form A(1959, The Psychological Corporation, New York)』『S. Pit CorderThe significance of learners' errors(in “IRAL ; International Review of Applied Linguistics Vol.5”pp.161-169, 1967)』『L. G. Kelly25 centuries of language teaching ; an inquiry into the science, art and development of language teaching methodology, 500 B.C.-1969(1969, Newbury House, Rowley, Massachusetts)』『Roger William BrownA First Language ; The Early Stages(1973, Harvard University Press, Harvard)』『Jack C. RichardsError analysis ; perspectives on second language acquisition(1974, Longman, London)』『Evelyn Marcussen Hatch (ed.)Second language acquisition ; a book of readings(1978, Newbury House, Rowley, Massachusetts)』『John SchumannThe acculturation model for second language acquisition(in Rosario C. Gingras (ed.) : “Second language acquisition and foreign language teaching”pp.27-50, 1978, Center for Applied Linguistics, Arlington, Virginia)』『Heidi Dulay, Marina Burt, & Stephen KrashenLanguage two(1982, Oxford University Press, New York)』『Anthony P. R. HowattFive hundred years of English language teaching(in “ELT Journal Vol.37” pp.262-265, 1983, Oxford University Press)』『Stephen D. Krashen & Tracy D. TerrellThe natural approach ; Language acquisition in the classroom(1983, Pergamon, New York)』『Michael H. LongDoes second language instruction make a difference? A review of research(in “TESOL Quarterly Vol.17(3)”pp.359-382, 1983, Teachers of English to Speakers of Other Languages, Inc.)』『Robert C. GardnerSocial psychology and second language learning ; the role of attitude and motivation(1985, Edward Arnold, London)』『Michael H. LongInput and second language acquisition theory(in S. M. Gass & C. G. Madden (eds.) : “Input in second language acquisition”pp.377-393, 1985, Newbury House, Rowley, Massachusetts)』『Manfred PienemannIs language teachable? Psycholinguistic experiments and hypotheses(in “Applied Linguistics Vol.10”pp.52-79, 1989, Oxford University Press)』『Nick C. Ellis (ed.)Implicit and explicit learning of languages(1994, Academic Press, London)』『Richard L. Sparks & Leonore Ganschow & Jon PattonPrediction of performance in first-year foreign language courses ; connections between native and foreign language learning(in “Journal of Educational Psychology, Vol.87(4)”pp.638-655, 1995, American Psychological Association)』『Jeffrey L. Elman, Elizabeth A. Bates, Mark H. Johnson, Annette Karmiloff-Smith, Domenico Parisi and Kim PlunkettRethinking innateness ; A connectionist perspective on development(1996, A Bradford Books, The MIT Press, Cambridge)』『Catherine Doughty & Jessica Williams (eds.)Focus on form in second language acquisition(1998, Cambridge University Press, Cambridge)』『Carl JamesErrors in language learning and use ; exploring error analysis(1998, Longman, London)』『Brian MacWhinney (ed.)The Emergence of Language(1998, Lawrence Erlbaum Assoc Inc., Mahwah, New Jersey)』『Manfred PienemannLanguage Processing and Second Language Development ; Processability theory(1998, John Benjamins Publishing Company)』『Zoltan DörnyeiMotivational strategies in the language classroom(2001, Cambridge University Press, Cambridge)』『Rod EllisIndividual Differences in Second Language Learning(in Alan Davies and Catherine Elder (eds) : “The Handbook of Applied Linguistics”, 2005, Blackwell Publishing)』『William LittlewoodSecond Language Learning(in Alan Davies and Catherine Elder (eds) : “The Handbook of Applied Linguistics”, 2005, Blackwell Publishing)』

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世界大百科事典(旧版)内の言語教育学の言及

【言語学】より


【境界領域】
 以上述べたものは,主として言語そのものを研究する分野であるが,言語が人間および人間社会のその他の事象と無関係に存在するものではないことから,言語とその他の事象との関係を研究する分野が必要になる。言語と心理との関係,発話行動における心理などを考える〈言語心理学〉,幼児の言語習得過程を研究し,母語教育に役立てようとする〈幼児言語学〉(〈幼児語〉の項を参照)または〈発達言語学〉,言語障害を研究する〈言語障害学〉,母語や外国語の教育方法を研究する〈言語教育学〉(〈言語教育〉の項を参照),などがあり,また,〈言語社会学〉または〈社会言語学〉と呼ばれる分野は,言語の側の差異と人間集団の差異(階層のちがいとか出身地のちがいとか)の関係を多方面にわたって研究し,〈言語人類学〉は,言語の諸事象と文化人類学的諸事象の間の関係を調査・研究する。〈言語社会学〉には,言語政策などを扱う分野(〈言語工学〉とも呼ばれる)もはいり,また,複数の言語が話される国などの問題を扱う言語教育学的研究も含まれる。…

※「言語教育学」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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