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生成文法 せいせいぶんぽう generative grammar

翻訳|generative grammar

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

生成文法
せいせいぶんぽう
generative grammar

理想的な話し手・聞き手は,有限個の言語要素と有限個の規則から事実上無限の文をつくりだし,かつ理解する言語能力を有すると想定することができる。その言語能力を記述する文法,すなわち,当該言語の文法的な文をすべて,しかもそれのみを,事実上完全に列挙しうるよう明示的に定式化する仕組みをそなえた文法を生成文法という。

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デジタル大辞泉の解説

せいせい‐ぶんぽう〔‐ブンパフ〕【生成文法】

米国のチョムスキーを中心とする言語学者によって唱道された言語理論。人間の言語能力の創造性を評価し、表現された形から入って、その奥深くに隠されている言語構造を理論的にとらえようとする。変形文法変形生成文法。生成変形文法。

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百科事典マイペディアの解説

生成文法【せいせいぶんぽう】

米国の構造言語学チョムスキーらが1950年代半ばに提唱した文法理論generative grammar。変形文法ともいわれる。基本的には,の意味・論理構造に近いものを深層構造として想定し,それが一定の変形規則によって表層文へ導かれるとする立場。
→関連項目シンタクス

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世界大百科事典 第2版の解説

せいせいぶんぽう【生成文法 generative grammar】

1950年代中ごろにアメリカの言語学者N.チョムスキーが提唱し,以後,各国の多くの研究者の支持を集めている,文法の考え方。文法とは,〈その言語の(文法的に正しい文)をすべて,かつそれだけをつくり出す(しかも,各文の有する文法的な性質を示す構造を添えてつくり出す)ような仕組み[=規則の体系]〉であるとし,その構築を目標とする。この〈(過不足なく)つくり出す〉ことを〈生成するgenerate〉といい,上のようにとらえた文法を〈生成文法〉という。

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大辞林 第三版の解説

せいせいぶんぽう【生成文法】

チョムスキーが1950年代半ばに創始した文法理論。構造言語学の表面的な言語の分析・記述を批判し、文法的な文のみを無限に新しく作り出す有限個の規則の集合として文法を捉え、抽象的な深層構造を生成する句構造規則と、そこから具体的な表層構造を導く変形規則によって文生成の仕組みを説明しようとする。また、言語の本質を人間の生得的な創造的心的能力に認め、その多面的解明をめざす。変形文法。変形生成文法。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

生成文法
せいせいぶんぽう

変形生成文法または単に変形文法とよばれる言語理論。1950年代中期にアメリカのN・チョムスキーにより開発され、現在もなお発展を続けている。1950年代までは、構造主義言語学が主流であったが、生成文法の出現で言語学界は大きな転機を迎えた。とくに、かつてはなおざりにされていた統語論を大きく発展させ、意味論、音韻論などとともに文法機構全体が有機的に研究されるようになった。
 生成文法は合理主義的哲学に根ざし、文法の研究は、母国語話者の頭脳に内在する言語知識の解明、および子供の言語習得能力の解明にほかならないと主張する。従来の言語記述が記述の段階にとどまっていたのに対し、生成文法は、文法習得能力、文法知識の説明、という説明的段階の記述を目ざしている。
 元来「生成」という概念は、一連の規則によって当該言語の文を列挙するという意味で使われていたが、文法が文を生み出すという概念は破棄され、現在では明示的な記述というぐらいの意味しかもたない。
 生成文法は、文法の本質を規則の集合であると考え、各文法部門において、語彙(ごい)規則、意味規則、音韻規則、それに統語規則というものが考えられている。生成文法の中心をなすものは統語規則であって、これには、句構造規則と変形規則の2種類が想定されている。前者は、語順その他の文の基本構造を規定し、後者はそれによって認められた構造に変形操作を加え、表面的な構造を派生する。句構造規則によって認められた構造に、語彙部門からの語を挿入することによって、いわゆる深層構造が成立する。深層構造は、文の基本的統語構造を表示するとともに、意味解釈を受ける。一方、深層構造に変形規則を適用することにより、文の具体的な形、つまり表層構造が導き出され、この表層構造が音韻解釈を受け、文の発音が決定される。この生成文法の「標準理論」による文法モデルを図示すればのとおりである。
 深層構造と表層構造の区別および変形規則は、生成文法の中心的概念であるが、近年の発達においては、深層構造はより表層構造に近いものが想定され、意味解釈も表層構造またはそれに近い構造のみを対象として行われると考えられている。また、変形規則の種類や役割も大幅に制限されている。
 従来、個々の変形規則によって個別的に取り扱われていた現象を、より包括的な原理によってとらえようという方向に理論的展開が進められている。[柴谷方良]
『チョムスキー著、勇康雄訳『文法の構造』(1963・研究社出版) ▽チョムスキー著、安井稔訳『生成文法の意味論的研究』(1976・研究社出版)』

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世界大百科事典内の生成文法の言及

【意味論】より

…これは語彙的意味の研究に対立する文法的意味の研究といえよう。たとえば,動詞の性質から文構造の本質を見いだそうとする理論のうち,もっとも成果が上がっているのはテニエールL.Tesnièreの《構造的統辞論要理》(1959)で,構造主義的立場でありながらすでにN.チョムスキーの生成文法と数多くの共通点をもっている。 チョムスキーから起こった生成文法は最初は主として統辞論を対象としていたが,しだいに意味論の領域の問題を取り上げるようになり,多義語,同音異義語というような伝統的分野での新解釈を提示すると同時に,文法的意味や文構造の意味にも理論的研究が発表されている。…

【形式言語】より

…これらのうち,構文論の分野で1956年ころ,アメリカの言語学者チョムスキーが構文規則に対して数学モデルを与えたことにより,言語が厳密に形式化されるにいたった。この数学モデルは生成文法ともいわれ,人間の言語生成能力を,国語によらず統合的に説明するものとして注目を集め,以来,数学的文法論を展開する形式言語理論の研究が盛んになった。 またその直後にプログラム言語ALGOL 60が上記の文法を用いて形式言語として記述されたことにより,形式言語理論がプログラミングに強く関わることの認識が高まって,コンパイラ等の諸々の言語処理の問題が科学,工学の対象とされ,組織的なソフトウェア技術の開発へつながるようになった。…

【言語】より

…このような普遍性が存在することは単なる偶然なのだろうか,それとも何か根源的な理由があるからなのだろうか。1950年代にアメリカの言語学者チョムスキーが提唱し,今日盛んに研究されている言語理論である生成文法の考え方によると,それは,成長するにつれて言語を使うことができるようになる能力が,人間のみにあって類人猿にはないからである。 人間の子どもも,生まれたばかりでは言語を使うことはできないが,1歳ぐらいになると,言語として用いる音を,大きく,明瞭に発音することができるようになる。…

【言語獲得】より

…言語の構造(文法)を調べることにより,人間は自らの脳の構造を調べることができると主張したのはチョムスキーであった。単に文法を説明的に記述するのと異なり,膨大な(理論的には無数の)数の文を生成できるような,わずかな数の規則を見出すこと,その規則の集合をさらにできるだけ単純で抽象的な,あらゆる言語の基本になるような構造に収束させ記述することが,生成文法理論の目標である。最終的に導き出された構造は,その美しい単純さと言語普遍性とにより,人間の脳の生物学的レベルにおける何らかの基本的な構造と一致するはずだと考えられている。…

【シンタクス】より

…なお,シンタクスは意味とは無関係に独立の体系をなすと説かれることも多いが,少なくとも当面のところは,文法的な性質と意味的な性質の区別からして,実はそれほど明白ではないのが実状で,完全に独立の体系をなし得るのか否かは,なお予断を許さない。 永い言語研究史上,シンタクスの研究が盛んになったのはごく最近,すなわちアメリカの言語学者チョムスキーが1950年代に〈生成文法理論〉を提唱してからのことである。だが,それ以来研究は急速に進展,特に前掲の(ロ)(ハ)に関してあたかも数式のような観を呈するフォーマルな方法での記述が進み((ハ)はそもそもこの理論のアイデアである),(ロ)(ハ)をさらにいろいろな角度から規定する抽象度の高いファクターや規則性も相次いで見いだされてきた。…

【チョムスキー】より

…アメリカの言語学者,思想家。言語学史上の一大革命ともいうべき〈生成文法理論〉の提唱者。数学,哲学,心理学や政治・社会問題に関しても,注目すべき所論がある。…

【文法】より

… なお,以上(i)~(iii)の研究は,各言語(方言)の各時代の文法ごとにそれぞれ十分に行うべきものであるが,同じ言語の各時代の文法がある程度明らかになったところで,その歴史的な変遷の過程(〈文法史〉あるいは〈歴史文法〉)に目を向ける研究も起こるし,いくつかの言語の文法を対照吟味したり(〈対照文法〉という),さらには諸言語の文法の普遍性を探ったりする研究も起こることになる。
[生成文法]
 ところで,従来は,前記(iii)の文法体系の構築を図る場合,それによって何を達成しようとするのかという目標が明瞭ではなかった。したがってまた,〈よりよい体系〉とは何かという基準もはっきりせぬまま,各学者がいわばそれぞれの嗜好に応じて各人各様の文法体系を主張してきたわけである。…

※「生成文法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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