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チョムスキー Chomsky, (Avram) Noam

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

チョムスキー
Chomsky, (Avram) Noam

[生]1928.12.7. フィラデルフィア
アメリカの言語学者。ペンシルバニア大学,ハーバード大学で言語学を学ぶ。 1961年以降マサチューセッツ工科大学正教授。『文法の構造』 Syntactic Structures (1957) をはじめとする著書や論文で画期的な文法理論を展開し,変形生成文法と呼ばれるその理論はいまや言語学の一大潮流となっている。主著『文法理論の諸相』 Aspects of the Theory of Syntax (65) ,『デカルト派言語学』 Cartesian Linguistics (66) ,『生成文法理論の諸問題』 Topics in the Theory of Generative Grammar (66) ,『言語と精神』 Language and Mind (68) など。反体制的政治活動家としても著名。 (→生成文法 , 変形文法 )  

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デジタル大辞泉の解説

チョムスキー(Avram Noam Chomsky)

[1928~ ]米国の言語学者。アメリカ構造言語学から脱却し、生成文法を提唱。哲学・心理学・コンピューター科学など他の多くの分野にも影響を及ぼす。また、反戦運動や現代アメリカ社会批判によって広く知られている。著「文法の構造」「文法理論の諸相」「統率・束縛理論」。→生成文法

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百科事典マイペディアの解説

チョムスキー

米国の言語学者。マサチューセッツ工科大学教授。《文法の構造》(1957年)をはじめ,《文法理論の諸相》(1965年),《デカルト言語学》(1966年),《英語の音型》(1968年),《統率と束縛》(1981年)等を発表。
→関連項目アイゼンマン言語学

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世界大百科事典 第2版の解説

チョムスキー【Noam Chomsky】

1928‐
アメリカの言語学者,思想家。言語学史上の一大革命ともいうべき〈生成文法理論〉の提唱者。数学,哲学,心理学や政治・社会問題に関しても,注目すべき所論がある。マサチューセッツ工科大学(MIT)教授。 フィラデルフィアの生れ。ペンシルベニア大学で言語学を専攻,とくにシンタクスへの関心を高め,《言語理論の論理構造》(1955),《文法の構造》(1957)を著して,斬新な〈生成文法〉の考え方を唱えた。すなわち,文法とは〈その言語の文をすべて,かつそれだけをつくり出す(生成する)ような規則の体系〉であるとし,その構築を目ざそうというもので,彼自身,まず英語を例に,あたかも数式のようなフォーマルな規則(〈変形〉と呼ぶ規則など)を多数掲げて見せた。

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大辞林 第三版の解説

チョムスキー【Avram Noam Chomsky】

1928~ ) アメリカの言語学者。伝統的な構造言語学を批判、生成文法理論を提唱、言語学のみならず、哲学・心理学・コンピューター科学など広範囲にわたり影響を与える。反戦運動や、現代アメリカ社会についての鋭い批判でも知られる。主著「文法の構造」「文法理論の諸相」「デカルト派言語学」など。 → 生成文法

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

チョムスキー
ちょむすきー
Avram Noam Chomsky
(1928― )

アメリカの言語学者。1961年よりマサチューセッツ工科大学教授。1950年代中期より、一連の著述によって文法学界に革命をもたらしたといわれている。88年(昭和63)認知科学分野での貢献により第4回京都賞(基礎科学部門)を受賞。
 ペンシルベニア大学においてゼリッグ・ハリスの下で構造主義言語学の教えを受け、ハリスの提唱した「変形」という概念を基礎にし、自身の変形生成文法理論を発展させた。学説は『文法の構造』Syntactic Structures(1957)において初めて公にされ、『文法理論の諸相』Aspects of the Theory of Syntax(1965)において、変形生成文法の標準理論といわれるものを完成させたが、その後も発展を続け、拡大標準理論を経て、『統率・束縛理論』Lectures on Government and Binding(1981)では、より有機的な理論を提示している。その後の展開においては、従来の規則や制約を取り除き、統語部門を、極端に簡略化された計算システムと考える方向を打ち出している(『ミニマリスト・プログラム』The Minimalist Program、1995年刊)。
 チョムスキーは、構造主義言語学の限界を指摘し、その理論的基盤となっている経験主義哲学を批判しつつ、自身は合理主義哲学による言語観をよりどころに、より精神主義的な言語理論を展開した。とくに、子供の言語習得能力を生得的なものと仮定し、その習得能力の解明こそが言語理論の終極的な目標であるとしている。チョムスキーの影響力は言語学界のみならず、哲学、コンピュータ科学、心理学、そして社会学にと広範囲に及んでいる。しかし、言語能力を自律的かつ特殊な認知機能と考え、その追究を言語運用の問題から独立的に進めるチョムスキーの研究方法は、言語能力と他の認知機能との連続性を重視し、能力とその運用は切り離して考えられないとする多くの認知心理学者などには疑問視されている。
 なお、彼は反戦運動その他の市民運動にも積極的で、この方面の著述活動も活発であり、思想家チョムスキーとしても知識人一般に広く知られている。[柴谷方良]
『勇康雄訳『文法の構造』(1963・研究社出版) ▽吉田武士・水落一朗訳『知識人の責任』(1969・太陽社/改題改訂版『アメリカン・パワーと新官僚』1970) ▽安井稔訳『文法理論の諸相』(1970・研究社出版) ▽N・チョムスキー、M・ハレ著、橋本万太郎・原田信一訳『現代言語学の基礎』(1972・大修館書店) ▽いいだもも訳『お国のために1 ペンタゴンのお小姓たち』『お国のために2 国家理由か絶対自由か』(1975・河出書房新社) ▽川本茂雄訳『知識と自由』(1975・番町書房) ▽川本茂雄訳『デカルト派言語学――合理主義思想の歴史の一章』新版(1976・みすず書房) ▽安井稔訳『生成文法の意味論研究』(1976・研究社出版) ▽井上和子他訳『言語論――人間科学的省察』(1979・大修館書店) ▽河村望訳『知識人と国家』(1981・TBSブリタニカ) ▽安井稔訳 『形式と解釈』(1982・研究社出版) ▽井上和子他訳『ことばと認識――文法からみた人間知性』(1984・大修館書店) ▽安井稔・原口庄輔訳『統率・束縛理論』『統率・束縛理論の意義と展開』(1986、87・研究社出版) ▽田窪行則・郡司隆男訳『言語と知識 マナグア講義録(言語学編)』(1989・産業図書) ▽外池滋生・大石正幸監訳、北原久嗣他訳『障壁理論』(1993・研究社出版) ▽益岡賢訳『アメリカが本当に望んでいること』(1994・現代企画室) ▽川本茂雄訳『言語と精神』改訂新装版(1996・河出書房新社) ▽外池滋生・大石正幸監訳『ミニマリスト・プログラム』(1998・翔泳社) ▽N・チョムスキー、黒田成幸著、大石正幸訳『言語と思考』(1999・松柏社) ▽山崎淳訳『9.11 アメリカに報復する資格はない!』(2001・文芸春秋) ▽塚田幸三訳『「ならず者国家」と新たな戦争――米同時多発テロの深層を照らす』(2002・荒竹出版) ▽益岡賢、大野裕、ステファニー・クープ訳『アメリカの「人道的」軍事主義――コソボの教訓』(2002・現代企画室) ▽ジョン・ライアンズ著、長谷川欣佑・馬場彰訳『チョムスキー』(1985・岩波現代選書) ▽今井邦彦編『チョムスキー小事典』(1986・大修館書店) ▽原口庄輔・中村捷編『チョムスキー理論辞典』(1992・研究社出版) ▽N・スミス、D・ウィルスン著、山田義昭・土屋元子訳『現代言語学――チョムスキー革命からの展開』(1996・新曜社) ▽ロバート・F・バースキー著、土屋俊・土屋希和子訳『ノーム・チョムスキー 学問と政治』(1998・産業図書) ▽田中克彦著『チョムスキー』(岩波現代文庫)』

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世界大百科事典内のチョムスキーの言及

【形式言語】より

…自然言語の分析に関する学問には,音素とその結合を扱う音韻論phonology,音素結合あるいは語の形態を論ずる語形論morphology,文の構成規則を明らかにする構文論syntax,および文の意味を扱う意味論semanticsがある。これらのうち,構文論の分野で1956年ころ,アメリカの言語学者チョムスキーが構文規則に対して数学モデルを与えたことにより,言語が厳密に形式化されるにいたった。この数学モデルは生成文法ともいわれ,人間の言語生成能力を,国語によらず統合的に説明するものとして注目を集め,以来,数学的文法論を展開する形式言語理論の研究が盛んになった。…

【言語獲得】より

…言語の構造(文法)を調べることにより,人間は自らの脳の構造を調べることができると主張したのはチョムスキーであった。単に文法を説明的に記述するのと異なり,膨大な(理論的には無数の)数の文を生成できるような,わずかな数の規則を見出すこと,その規則の集合をさらにできるだけ単純で抽象的な,あらゆる言語の基本になるような構造に収束させ記述することが,生成文法理論の目標である。…

【生成文法】より

…1950年代中ごろにアメリカの言語学者N.チョムスキーが提唱し,以後,各国の多くの研究者の支持を集めている,文法の考え方。文法とは,〈その言語の(文法的に正しい文)をすべて,かつそれだけをつくり出す(しかも,各文の有する文法的な性質を示す構造を添えてつくり出す)ような仕組み[=規則の体系]〉であるとし,その構築を目標とする。…

【文法】より

…したがってまた,〈よりよい体系〉とは何かという基準もはっきりせぬまま,各学者がいわばそれぞれの嗜好に応じて各人各様の文法体系を主張してきたわけである。しかし,近年に及んで(1950年代半ば),アメリカの学者N.チョムスキーは,〈その言語の文をすべて生成する(つくり出す),かつ,それだけを生成する(つまり非文は生成しない)〉ことを目標に据え,これを達成するような文法体系の構築を図るべきだとする〈生成文法〉の考え方を提唱,自らその具体的な理論を素描して見せた。数式のようなフォーマルな規則を駆使し〈数学的言語学〉とも呼ばれるその理論には,心情的に抵抗を示す向きもあるものの,今日ではすでに各国の多数の文法学者が依拠するにいたっている。…

※「チョムスキー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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