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「世界の工場」中国 せかいのこうじょうちゅうごく China―“workshop of the world"

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知恵蔵2015の解説

「世界の工場」中国

2001年11月のWTO加盟に象徴される中国の対外開放策は、日本や周辺諸国にとって貿易や投資機会を増やすことになった。先進諸国の企業進出が相次ぎ、鉄鋼、家電(冷蔵庫電子レンジ、洗濯機)、電子情報機器(DVD携帯電話パソコン)などでは世界一の生産高を記録している。中国の優位は組立加工を含む労働集約型の産業に顕著で、その製品輸出は世界的なデフレ圧力の一因になっている。これに関連して中国脅威論も出ているが、中国の鉄鋼、石油化学自動車などにはまだ非効率な生産方法が残っている。中国政府はこれらの部門への外資参加を制限し、合弁企業しか認めていない。また国有企業の整理や不良債権を抱えた銀行の改革が、これからの課題である。さらに自由化に伴い、国内の貧富の格差が開くと社会不安要因になりうるので、中国脅威論はやや一面的である。人民元は、現在においても中国人と外国人との間の取引が制限され、為替管理の状態にある。アジア通貨危機の時に、人民元の切り下げを回避できたのも、為替管理によるところが大きかった。ただし、中国では多くの分野で改革と自由化が進行しているので、人民元の取引自由化が課題となり、米国では、対中貿易赤字の増大を理由にして、人民元の切り上げを求める声が強まっていた。こうした動きに応じて、05年7月、中国政府は、為替相場の変動幅拡大を発表した。ただ、結果的に切り上げは小幅にとどまったので、いずれ再切り上げは避けられないとの意見が多い。

(石見徹 東京大学教授 / 2007年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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